政府専用機 退役へ 経営再建中の日航、整備困難に
毎日新聞 1月24日(月)15時2分配信
首相ら要人の外遊や緊急時の在外邦人救出に使う政府専用機「ボーイング747-400型」2機が数年以内に退役する方向となった。「あと10年は使える」(防衛省)というが、機体整備を委託する日本航空が今年度中に同型機を全て退役させ、整備が困難になるため。政府は近く検討委員会を開催し、新型機購入の方向で検討するものの、財政状況が厳しい中「民間機をチャーターすべきだ」との意見も出ている。【樋岡徹也】
防衛省などによると政府専用機は91年、米国の対日貿易赤字減らしに協力するために2機を360億円で購入した。日航に機体整備や搭乗員教育などを委託しているが、経営再建中の日航は燃費の悪い同型機を今年度中に退役させる方針。部品や人員の関係から、数年後には整備を受けられなくなる見通しになった。
自衛隊が自ら整備するには、設備や器材などをゼロから用意しなければならない。数百億円を超える経費が必要で「費用対効果の観点から適当ではない」(防衛省)という。このため、新機種導入の是非など今後の方針を決める必要があり、政府関係者は「人気機種はオーダーから納入まで数年はかかり、改装や飛行訓練も考慮すると、再来年度予算の要求までに決めないと間に合わない」と話す。
ただ、政府専用機の必要性への理解が十分に得られている状況ではない。日航が政府専用機の整備だけのために部品や人員を確保するとコストが上がることから、防衛省は11年度予算の特別枠に、前年度より11億円多い41億円を維持費として要望した。しかし特別枠を巡る「政策コンテスト」で、A~Dの4段階評価でC判定となって17億円しか認められず、他の予算を削って維持費を捻出せざるを得なくなった。
政府関係者は「先進国は全て政府専用機を持っている」と説明する。だがコンテストで公募した意見でも「事業を実施する必要があるか」の問いに、約6割が「そう思わない」と回答した。
◇政府専用機
約150人を一度に輸送でき、日本から北米や欧州まで無給油で飛べる。会議室のほか盗聴されない秘匿通話装置やインターネットが利用できる装置もある。航空自衛隊千歳基地に所属する自衛隊機で、パイロットや客室乗務員も航空自衛官が務める。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110124-00000019-maip-soci
「政府専用機はJALが整備しているからどうなるのか」なんて話を聞いてはいましたが、そう来ましたか。
雑誌なんかで他国の政府専用機の飛来情報なんてのを見ますが、B737クラスの機材を使っている国が多いですね。
おそらく737クラスだと小回りもきくし、ある程度長く飛べてジャストサイズなんでしょうね。
747-400では着陸できる飛行場もかなり大きな飛行場に限られてきますから。
サイズの問題もさることながら、整備の問題も大きいんでしょうか。
しかし、自衛隊が自腹で出来ないんですかね。数百億の予算が必要とのことですが、ホントかな?とも思うんですね。
自衛隊は全く旅客機と縁がないかと言えばそうでもないんですね。
浜松基地に配備されているAWACSや小牧に配備されている空中給油機はボーイング767を改良したものですし、これらの機材が搭載しているエンジンは同じゼネラルエレクトリック社製の派生型です。そもそも767は整備コストを抑えられるよう、747と同じエンジンを搭載できるという触れ込みで開発されたくらいですから共通性は高く、全くゼロというわけではありません。
また、日本航空では今年度中にB747が退役しますが、全日空では後数年使う計画ですし、貨物専業の日本貨物航空はB747の最新型を発注しています。
JALの一件で747は燃費が悪い、低効率というイメージがすっかり定着してしまいましたが、使い方によっては必ずしもそうとは言い切れないそうです。
たとえば東京-沖縄では最大の双発機B777-300と747-400のキャパシティの違いは40名程度なのですが、案外この40人の差が大きいのだそうです。
とはいえ、それが政府専用機向きかというと疑問なのですが。
ただ、旅客機としての747は日本からいなくなってしまうわけですから、政府で持っているのもいざという時には貴重な存在になるかもしれません。
あまり人気のなくなった747-400を売却したところで二束三文になりそうですし、何とか使い倒してしまうのも手かとは思いますが。
この政府専用機を導入した目的が対米貿易黒字の相殺というのが大きかったわけですから、はっきり言えば無駄遣いという結果になるでしょうね。
自衛隊としても整備以外にも難しい問題を抱えているのかもしれません。
機動性を失わない範囲でコスト圧縮が出来ればいちばん良いんでしょうけどね。