仕分けは1事業につき30分ですが、やはり30分で終わらせるのは厳しいです。
一応日程上では30分作業をして5分インターバルがあるのですが、担当者が席を入れ替わるとすぐ次に行く状態です。
ですから、評価シートはその事業の作業が終わるまでに仕上げてしまわないと挽回ができなくなります。
前日までに用意してきた原稿で意見がまとめてあっても、いざ議論が始まって他の委員からいろいろな質問が飛ぶと見方が変わります。
仕分け人の間でその辺のすりあわせができていればもっと楽なのでしょうが、逆に用意した原稿をそのまま写すようでは議論の意味がありません。大変ですが、その場で頭をひねって何とかまとめるしかありません。
去年の民主党の事業仕分けのシーンが頭にあり、仕分け人は好きなことをいって高飛車な態度で良いご身分だとも思ったのですが、実際に自分でやってみると全くとんでもない誤解だということに気づきます。
午前中は20分延びて終了。
コーディネーターが午後は定刻開始を宣言しましたので、1時間の昼休みは40分に。
控え室に戻り用意されていた天神屋のお弁当を掻き込むように食べました。
他の班は比較的定刻通りに進んでいるようで、まだ控え室に戻っていない班は1班だけでした。
最年少の仕分け人Mさんにも様子をうかがうと、最初の事業では全く質問もできなかったようでしたが、少しづつ調子は上がっているようです。
自分の班に戻り、県民委員のSさんと午後の事業について意見交換をします。
そんな程度でお昼の休憩はおわり。もっと資料に目を通したりすれば良かったんですが、そんな程度でしょう。
午後の仕分けに入る直前、班付きのスタッフの方が私のところに来られて
「閉会式で県民委員代表として感想を述べていただきたいのですが....」
と打診されました。一瞬迷いましたが「わかりました。用意しておきます」と答えました。
でも心の中では「あちゃー、えらいことになったな」と少しパニクっていました。
午後の事業は似た分野のものが多く、しかも異なる事業なのに同じようなメニューが並んでいたりすることから、下調べの際にもどちらがどちらなのか分からなくなって混乱したりしたものです。
なぜ違うのか説明も求めたのですが、どうもしっくり来るものではなかったのが残念でした。
その所為もあって午前に比べやや辛めの判定が多かったです。
ちなみに判定についてですが
(1) 不要
(2) 民間
(3) 国・広域
(4) 市町村
(5) 民間委託で県実施
(6) 県実施だが要改善
(7) 現行通り
の7種類です。
中でも誤解を生みそうなのが
(1)は「不要」ですが廃止だけでなく、ゼロベースで再構築の場合もこれに含まれます。
ですから、「不要」とされたものが完全に廃止されず、内容を変えて再度復活しても場合によっては仕分けの意見は反映されたことになります。
(7)「現行通り」は今と全く同じという意味だけではなく、今のスキームでさらに拡充という場合も含まれます。
評価にあたっての意思は評価シートの「評価に当たってのコメント」で補足します。
これにより7つの区分以上にきめ細やかな意思の吸い上げが可能になっています。
マスコミの報道ですといかにも不要と判定されたものは全てなくなるような言い方をされますがそうではありません。
また、法的拘束力はないので、最終的な意思決定機関である議会は、仕分け結果を全く無視しても法的には何ら問題がないのです。
面白いもので、仕分け人の間で思考のプロセスは同じでも評価が違ったり、評価は同じでも思考のプロセスが違っていたりすることもあります。コーディネーターが「議論のプロセスを大事にしたい」と強調していましたが、議論のプロセスこそが本当に大事なのです。
こうして10事業の仕分け作業はすべて終了。
午前中にやった事業がなんだか大昔に見たもののような錯覚にとらわれてしまいます。
終了は16:20。午後は10分遅れで済みました。
班付きのスタッフの方の情報ではまだ終わってない班が一班あるとのことです。
その時間を使って、感想の原稿を作ります。
他の仕分け人の方たちは皆さんくつろいだ雰囲気で談笑されていますが、こちらは必死です。
「大変だねぇ、頑張ってね」なんて声をかけてくれます。
書きたいことはいろいろあります。
やっぱり事業概要の資料はもっとわかりやすく書いて欲しいし、事業の歴史的背景、事業を取り巻く環境や事業実績を動的に把握できる資料が欲しい。業務棚卸表は秀逸だけど、それによる単年度主義や縦割り、木を見て森を見ず的な思考の問題。毎年度の業務棚卸表の連結環の役割をする帳票の必要性など。
でも、それは構想日本の人たちが指摘するだろうから、あえて、一県民がこの2日間見て、聞いてそこから感じたこと、この仕分けが終わったあと事業を託す人に伝えたいメッセージ。同じ県民委員なら他の人も考えているであろうことで構成することにしました。
閉会式は前に用意されたひな壇に着席することになりました。
一日作業を一緒にやってきた皆さんの中で充実感を分かち合いたいところですがこれは仕方ありません。
問題のスピーチは目の前に川勝知事、両脇には多数のテレビカメラや,スチルカメラ、記者、見覚えのある民放局のアナウンサーの顔も。足が震えて何度か引っかかりそうになり、用意してきた文章も一部端折ってしまいましたが、何とか伝えたいことは伝わったんじゃないかなと思います。
<続く >