安全と収益はトレードオフ? スカイマーク問題 | はい、タケコプター

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備忘録としての日記です。よろしかったらご覧下さい。

今日午後に、仕事の用事があって国土交通省のサイトを見に行ったのですが、


「スカイマーク社における安全管理上の不適切な対応について」 という項目がありました なんかやらかしたのか?と思い見てみると、


1.事案の概要

 本年2月5日、スカイマーク017便(羽田-福岡)の機長は、運航開始前に先任客室乗務員が十分に声が出せない状態にあることに気づき、緊急時の乗客の誘導等に支障をきたすと判断し、当該乗務員の交替を求めた。これに対し、社長及び安全統括管理者である会長は、機長に対して客室乗務員の交替を行わないまま運航するよう求めたが、同機長がこれを拒否したことから、機長を交替させ当該便を運航させた。


という内容でした。

http://www.mlit.go.jp/koku/cab10_hh_000022.html


夕方以降、報道もいろいろでていますが、この外国人機長は即刻クビになったようです。


素人から見ればCAが風邪で濁声なんてのは大したことないじゃないかと思いますが、よく考えてみれば、緊急時にパニックに陥った乗客に指示を与えるには、それなりの大声を出すことが必要ですからね。

そもそもCAの本分は保安要員です。 トラブルなんて滅多に起こらないからいいんじゃないかと言われれば、そうかもしれませんが。


航空機の安全に関してはいろいろな伝説があります。


昭和41年3月4日夜、カナダ太平洋航空のDC-8型機が濃霧の中羽田空港に着陸しようとして滑走路の手前に激突する事故がありましたが、その事故の直前、日航機が羽田への着陸を諦め福岡へダイバート。当時の日航の社長はこの機長の判断を絶賛し、「パイロットは臆病であれ」と発言したそうです。


ちょっと昔の話では、元衆議院議員秘書の評論家が、客室乗務員の指示に従わず座席のリクライニングを元に戻さなかったためスポットに引き返す騒動がありました。

口うるさい客といえども、毅然として望む姿勢が航空機のクルーにはあります。


その辺に経営者が介入するというのは、少なくとも日本の航空会社ではあまりなかったことじゃないでしょうかね。 少なくとも経営者がパイロットの判断に介入して航空当局からお咎めを受けたケースというのは、定期航空を手がける会社では聞いたことがありません。 それこそJAL辺りで経営者がクルーの判断に介入し、おまけに解雇なんてことがあれば、たちまち経営者は労組に吊し上げられることでしょう。


航空会社はどこも経営が厳しいなか、スカイマークだけは好業績を上げています。


独裁的な経営者による型破りな経営の賜物なのでしょうけど、果たして収益ばかりが重視されていいのかなという疑問はあります。 社長の言うことを聞かないヤツは即刻クビなんてことがまかり通れば、パイロットも

「ギリギリなら無理してでも行っちゃえ」って判断になるでしょうから。


実際、経済性を優先して破局に至ったケースってのは小生が知っているだけでもかなりあります。


今のような航空会社同士のチキンレースが続き、安全のタブーにも踏み込んだ型破りの経営をする航空会社だけが生き残るのだとしたら、それはちょっと怖いことです。


安さが売り物のスカイマークですが、安いにはやっぱりそれなりのワケがあるんですな。