【80年代洋画】恋しくて(1987) | 後追い80's

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80年代カルチャー発掘備忘録

 

 

先日、感想記事を書いた『シーフォーミー』を観た直後、どうにも後味が悪かったせいで無性に口直しがしたい衝動に駆られてしまい、通常なら映画は1日1本以上は観ないようにしているところ(それ以上観ると内容を忘れてしまうし余韻にも浸れないから)、数少ない例外として何か観なきゃ気が済まない気持ちだったので、「こんな時こそ80年代洋画だ!」と思い立ち、87年公開の『恋しくて』をスターチャンネルの字幕版で鑑賞。

 

『ブレックファスト・クラブ』『フェリスはある朝突然に』『ときめきサイエンス』のジョン・ヒューズ監督が脚本と製作を手掛けた80年代青春映画。

 

いずれ観てみたいとは思っていたものの、DVDのジャケット写真の印象からしてそんなに面白そうには見えなかったせいか、自分の中では存在感の薄い映画だった。

 

しかし、蓋を開けてみると・・・あらビックリ。

 

ジョン・ヒューズ関連作品ではこれが一番好きかもしれない。

 

といっても、ジョン・ヒューズ関連作として初めて観た映画『ブレックファスト・クラブ』はまだ一度も観返していないから、再びあの映画を観返してみないことには断定できないけど。

 

本作と同じくジョン・ヒューズが脚本と製作を手掛けた『プリティ・イン・ピンク』に似た構造にも感じられた。

 

映画としても『プリティ・イン・ピンク』と甲乙つけがたい印象。

 

 

とはいえ、まずはこのDVDジャケットに物申したい。

 

暗いわ!(笑)

 

実際はこんな梅雨時のような雰囲気の映画ではなく、80年代らしい陽気さに溢れているので、ジャケ写のイメージで大分損していると思えてならない。

 

主演のエリック・ストルツも映像で見るのとはイメージが全然違うし(こんな硬くない。もっと柔らかくて優男な感じ)、ヒロインの1人であるメアリー・スチュアート・マスターソンもこの写真とは印象が違うし、実際にはもっと可愛らしかった。

 

真ん中は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でもお馴染みのリー・トンプソンなのだが、彼女でさえ印象が違って見える。

 

3人の良さ(個性や魅力)が半分も表現できていないようにしか見えないんだけど、この写真。

 

まだこちらの方が劇中のイメージのままだし、興味惹かれるジャケットになる気がするんだけどなぁ。

 

 

こちらも捨てがたい

これだけ良い素材がたくさんあるのに、何故にDVDのジャケットはアレになってしまったのか。

 

というわけで、ここらで簡単に主要キャラの紹介でも。

 

 

キース(エリック・ストルツ)

 

主人公の高校男子。内気でどことなくルーク・スカイウォーカー風味の優男にも見えるが肝が据わっており、いざという時には大胆さも顔を覗かせる。

その大胆さが功を奏し、高嶺の花として男子の憧れのマドンナ的存在のアマンダをデートに誘い見事OKをもらって話題の人に。

親しく付き合っている友人はワッツだけで、自分を「はみ出し者」だと思っている。

画が得意でクリエイティブな才能に恵まれているので、そちらの道に進みたいと夢見つつも、息子を大学に進学させたい一心の父親と進路のことで衝突してしまう。

 

 

ワッツ(メアリー・スチュアート・マスターソン)

ボーイッシュを通り越して、自分の事を男だと思っているかのような話し方や粗野な振る舞いをしており、家庭環境に問題を抱えているようでドラムに打ち込むことによって現実逃避をしているところがある。

キースが唯一の親友で心を許しているが、キースがアマンダにぞっこんになるにつれ、心を悩ませるようになっていく。

 

 

アマンダ(リー・トンプソン)

高校のマドンナ的存在。

高校の人気者で金持ちのハーディと付き合っているが、女癖が悪いハーディに嫌気が差していたところにキースからデートの誘いを受けたので、ハーディに対する当てつけのようにデートをOKしてしまう。

一見キラキラしていて何もかも順風満帆に見える彼女が意外な境遇や悩みを抱えていることが明らかになっていく。

 

 

といった感じで、基本的にはこの3人を巡る三角関係を描く内容となっている。

 

『プリティ・イン・ピンク』では主人公の女の子がプロム(卒業を目前にした高校生のために開かれるダンスパーティ)に出ることに全てをかけた物語だったけど、本作では学校でも目立たない内気な男子が学園のマドンナとのデートに一世一代の大勝負をかける物語といった感じ。

 

キースは当初アマンダと話すきっかけを作ろうと、アマンダが早朝授業に駆り出される事を知るやいなや、わざと罰を受けるような悪さをして早朝授業に出るのだが、肝心のアマンダは先生に上手く取り入って免除されており、早朝授業の教室には柄の悪い不良しか来ていなかった…。

 

つまり天国だと思って鼻歌気分で向かった場所が地獄だったというオチなのだが、ここで仲良くなった不良が最も肝心な場面で大いに活躍してくれることになる展開が実に気持ち良かった。

 

そして、最後の急展開。

 

えっ?そういう事になっちゃうの??…と一瞬面食らってしまったけど、最も胸のすくような結末になってくれたわけだから、結果的には大満足。

 

この結末、ある意味『プリティ・イン・ピンク』とは逆バージョンだなぁ。

 

個人的には、この結末も含めて本作の方が好みかもしれない。

 

 

だからこそ、この映画のブルーレイが出ていないのは納得できませんのよ、わたくし。

 

『プリティ・イン・ピンク』と『ときめきサイエンス』のブルーレイが出ているのに本作が出ていないっておかしいだろ!としか思えないので。

 

 

しかし、この映画のおかげで『シーフォーミー』のモヤモヤが全て吹き飛んだ。

 

やっぱり良いなぁ、80年代の青春ものって。

 

あの何とも言えない余韻、後味の良さ。

 

 

性別を越えた親友だと思っていたキースに対する恋心や嫉妬に苦悩するワッツが何とも可愛らしくて最も印象に残った。

 

今回は字幕版を観たのだが、同時に吹き替え版も録画していて、そちらの声優陣を見ると・・・クワトロ大尉、エマ中尉、ブルマ、ラオウ、ギレンと錚々たる面々で凄い!!

 

吹き替え版を観るのも楽しみだ。

 

 

サントラも聴き始めたけど、まだ序盤のみ。

 

 

ちなみに、主演のエリック・ストルツは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティ役として6週間も撮影したのに降ろされてしまった事が有名だけど、そのBTTFでは叶わなかったエリック・ストルツとリー・トンプソンの共演が本作で実現したと考えると、ちょっと面白いと思った。

 

 

おまけ

 

当時のチラシも3人の良さが出ていてなかなかに良い感じ

 

 

昭和って感じのフォントやデザインに味わいを感じてしまう(笑)

 

 

 

 

ちょっとだけネタバレあり感想

アマンダは最後、凄く潔くてビックリした。

 

まだ本気の恋になっていなかったからこそ、あれだけあっさりと譲れたのだろうけど。

 

涙を流しながら夜道を歩いていたワッツが何だか愛しく感じてしまった。

 

そして、こういう展開になる事を「実はちょっと予感があった」なんて言ってしまうセリフも好きだなぁ。

 

もし私がキースでもワッツを選んだ。

 

というか、むしろ最初からアマンダにはいかない(笑)

 

ああいう自己顕示欲や承認欲求が強そうなタイプのお嬢様には全く魅力を感じないので。

 

素朴でボーイッシュなショートが可愛らしいワッツ一択でしょ。

 

男性用の下着を履いているぐらい何だって言うんだ(笑)

 

 

ちなみに、こちらは2012年に撮影されたキースとワッツの素敵な1枚。

 

 

こうして写真を見比べると、本作がどれだけ昔の映画なのか、時の流れを実感させられる。