ハリウッドが一昔前のような映画を作らなくなった原因とは | 後追い80's

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80年代カルチャー発掘備忘録

先日、ハリウッドがオワコン化したのはその体質に問題あり!?という記事を書いたばかりですが、今日たまたまこのようなニュースを目にしました。

 

 

ハリウッド黄金期のような作品が作られなくなった理由をマット・デイモンが語っているのですが、興味深かったので要点のみ抜粋します。

 

>「DVDは我々の収益の大きな部分を占めていました。しかしテクノロジーの発展で、それが廃れてしまった。我々が昔作っていた映画は、劇場で全収益を稼がなくても良かったわけです。劇場の公開から6ヵ月後にDVDのリリースがあって、そこでまた一定の収益を得られますから。映画を再公開するようなものです。それがなくなったとき、我々が作ることができる映画に変化が現れました。『恋するリベラーチェ』という映画を作ったときには、配給会社の重役に、作るのに2,500万ドル(約35億円)かかると言われました。映画をマーケティングするための印刷と広告、P&Aと呼びますが、P&Aにもそれだけかかると言われました。つまりその時点で5,000万ドル(約70億円)が必要になる。さらに収益の半分はエグジビターと呼ばれる映画館のオーナーたちに渡す必要があります。つまり私は、利益を得る前に1億ドル(約140億円)を作る必要があるのです。2人の人物のロマンスについてのストーリーで(劇場だけで)1億ドルを作るのは、素晴らしい皆さんに出演して頂いたとはいえ、もの凄い賭けですよね。僕の大好きな映画であり、僕の生活の糧となってい映画が作られていた1990年代とは状況が違うんです」

 

>2019年のCNBCの報道によると、アメリカにおけるDVDのセールスは2000年代後半から減少を開始し、2005年に163億ドルあったDVDの総売上は、2018年には22億ドルへと減少。2019年までの13年で86%減少したという。CNBCはその原因について、不況、映画のオンデマンドやデジタルコピーを購入する顧客の増加、ストリーミングサービスの台頭をあげている。

 

要約しますと、テクノロジーの進化のせいで一昔前のアメリカらしい映画が作られなくなったという事でしょうか。

 

先日の記事では、動画配信サービスの時代になりDVDが売れなくなった事によって食べていけない俳優さんが増えたという話をしましたが、今回の話によって作られる映画の内容にまで影響を及ぼしていた事が分かってきました。

 

配信の時代になってますますソフトが売れなくなり、あまりメジャーではない昔の映画がソフト化されにくくなっているように感じますし、再販もされにくくなったせいか法外なプレ値がついているブルーレイソフトなどをよく見かけるようになったりと、ソフト購入派の私にとっては迷惑な事ばかりで、今の所デメリットしかありません。

 

しかも、サブスク配信なんて向こうがサービスを打ち切ったら観れなくなるわけですから、そんなシステムを支持する事など出来ませんし、好きな作品は手元に置いておかないと気が済まないので、今の映像産業のやり方はとても歓迎する気になれないのです。

 

単に選択肢が広がるというだけの話なら支持できますが、こうした会社は「独占」という卑怯な手を使ってきますから、自社が権利を持つ作品はソフト化しないケースばかりで、配信サービスに加入するという方法でしか観る事が出来ないというやり方には大きな不満しか感じません。

 

何故ならそれは決してユーザー目線に立ったサービスではなく、あくまでも向こう側の都合でしかないからです。

 

こんな事を強気で堂々とやってくるようになった時には、資本主義も末期に来たと感じたものですが、残念ながら世の中はこの流れを歓迎しているようなので、このまま昔のように良い映画が作られず、すぐに忘れられてしまうような作品がその場限りで次から次へと消費されていくだけという文化になっていくのではないかと懸念しています。

 

それに加え、今の流れは富の一極集中を更に加速させることにも繋がると思うので、そこも賛同できない大きな理由の一つでもあります。