薬師丸ひろ子さんの初主演映画。
確か昨年のBS放送を録画していたんだと思うけど、観たい気持ちが高まるタイミングを待っていたら軽く1年過ぎてしまった(よくある事)。
原作が漫画だという事は知っていたけど、まさかアニメと抱き合わせ上映された映画だとは知らなかった。
本作が劇場で初公開されたのが80年の7月26日で、その時は『まことちゃん』というアニメと同時上映され、二度目に公開されたのは83年の3月12日で、その時は『うる星やつら オンリー・ユー』と同時上映されたとの事。
ちなみに2回目に上映されたのは、いわゆるディレクターズカット版で、私が今回観たのもこちらの方。
まず、単刀直入に観た直後の感想を言ってしまうと・・・とても良かった。
内容的には抽象的で意味不明な描写や展開も多いし、メチャクチャだと感じた部分もあるけど、それらの要素も全てひっくるめた上でも、どういうわけか満足感が高い。
その理由を上手く説明できなくて困ってしまうけど、とにかく好き(笑)
本作が初公開されたのが80年だと考えると、撮影された時期は79年か80年初頭辺りだろうか。
とにかく、その頃の日本の街並みがたくさん出てきて、それを見ているだけでもたまらなく眼福なのだ。
街中は活気に満ち溢れ、それでいながらのんびりとした穏やかな空気が流れているというバランスが最高に心地良い。
私は80年代中期の雰囲気が一番好きだけど、それは自分の記憶に残っている80年代がその辺りからだからであって、もしかすると本作が撮影された頃の時代が最も良かったのかもしれない。
『ねらわれた学園』を観た時にも、チラッとそんな事を感じた。
街中でデートするシーンでは、道路を走る車にも興味深く見入ってしまった。
その中で、もの凄くカッコいいメタリックブルーの外車が横切っていくシーンがあって、それの車種名が知りたいのだけど、調べる手段が分からない・・・。
いずれどうにかして突き止めたい。
あと、チョイ役で真田広之さんと原田美枝子さんが出てくるのだが(豪華すぎる)、その際に原田さんが乗ってくる車がコルベットC3だったのはカッコ良すぎた。
車から降りてくると、けだるそうな表情でタバコをふかす。
とても都会的で、いかにも当時の大人の女性像といった感じがした(といってもまだ大学生ぐらいの設定だったが)。
何にしても、コルベットがとても似合っていたなぁ。
ほんの一瞬だけのシーンだったにもかかわらず、強烈なインパクトだった。
のっけから話が脱線してしまったので、ここからようやく本筋の話に入ります。
鶴見辰吾さんが演じる田代勇介は、外国に行っているおじ夫婦宅の一軒家で九州から上京して一人暮らしを始めるのだが、不動産屋に男性の同居人を依頼したところ、向こうの手違いでクラスメイトとなる山葉圭という女の子が引っ越してくる。
この山葉圭を演じるのが薬師丸ひろ子さん。
こうして新たな高校生活と奇妙な同居生活が同時に始まるのだが・・・といった話。
勇介と圭は互いに惹かれ合うも、いつも喧嘩ばかりして素直になれず、そこに杉村秋美という秀才の美女が勇介に言い寄ってきたり、勇介の友人で秀才の中山わたるが圭に思いを寄せたりと、ややこしい関係になっていく。
ちなみに、杉村秋美を演じているのは石原真理子さん。
女優としての石原さんを見たのはこれが初めてかもしれない。
そのせいか、最初は石原さんだとは判別できなかった。
というのも、石原さんは眉毛が太いイメージがあったけど、本作ではかなり細い眉だったからだろう(個人的に彼女は細眉の方がずっと良いと思う)。
思っていた以上に綺麗な人だった。
私は玉置浩二さんのファンでもあるので、石原真理子さんと薬師丸ひろ子さんと聞くと、どうしてもプライベート方面の事を連想してしまう。
まさかこの2人が共演していたとは・・・。
恐らく、玉置さんはこの映画が大好きだったんだろうなと、余計な推測までしてしまった(笑)
いかん、いかん。自重しなければ。
勇介の友人である中山わたるを演じていたのが尾美としのりさんである事は、観終わった後に初めて知った。
仮に分かった上で観たとしても、私が知っている尾美さんとはあまりにも違い過ぎるので、とても同一人物だとは思えないだろう。
鶴見さんは普通に面影があって分かるんだけど。
今度は尾美さんにフォーカスして観返してみたくなった。
しかし、原作が漫画なだけあって、ストーリーのハチャメチャっぷりが凄い。
なんせ高校生になったばかりの男女が一つ屋根の下で同棲生活なんてするわけだから。
しかも、唐突にボクシング部のキャプテンが転がり込んできて、3人での生活が始まったりするし。
カオス過ぎる(笑)
全編に渡って、意味不明だが妙に印象に残るような意味深な描写が多い。
この映画が何を描きたかったのかさえ、よく分からなかったので、ユーザーレビューを色々と読んでみたところ、一つだけ凄い洞察力と推察力を感じたレビューと出会った。
このレビューを読むと、意味不明だった描写もちゃんとした意図をもって演出されていたのだと納得できる。
そういった視点で見ると、なかなか深い。
でも、このレビュアーの方の読み解く能力が卓越しているだけであって、お世辞にも分かりやすい演出とは言えないので、辛辣なレビューをしている人が多いのも致し方ない部分はあるように思える。
ただ、私は何も考えず普通に観ても十分楽しめた。
深いところまで理解が及ばなくとも、引き込まれるだけの魅力があったから。
映画なんて、それがあれば十分だと思う。
というか、むしろそこが一番大事なところではないかと。
それにしても、本作の薬師丸さんはいつにも増して可愛かった。
『ねらわれた学園』『セーラー服と機関銃』『探偵物語』『Wの悲劇』・・・と観てきた中で、本作における薬師丸さんが最も魅力的に感じられた。
圭が嫉妬から激怒して勇介に平手打ちを連発するシーンがあるのだが、私もあんな可愛い子からビンタされてみたかった・・・と初めて思ってしまったぐらいだから(笑)
あんな熱のこもった平手打ちなんてされようもんなら、逆に惚れてしまうってもんですよ。
それ以前に、あんな可愛い(容姿だけでなく、圭の性格も含めて)子と思春期に同じ屋根の下で暮らすなんて、正気を保てる自信が無い(笑)
あのシチュエーションに放り込まれて好きにならないなんて無理ゲーでしょう。
その点、勇介はよくあれだけ自分の気持ちを抑えられたなぁと感心してしまう。
名前も知らない不良少女と間違いを犯してしまったのは、我慢してきた代償なのかもしれないな。
しかし、最後のあの唐突な終わり方は・・・ちょっと肩透かしを食らった。
それも先ほどのユーザーレビューを読んで、あのラストシーンが意味するものを理解して納得はできたものの、やはりブツ切りみたいに終わった印象は拭えない。
それでも、観終わった後に残った余韻は凄く爽快なものだった。
何とも不思議な感覚。
やっぱり昭和の青春っていいなあ。
憧れてしまう。
私もあんな大らかな空気感の中で思春期を過ごしてみたかった。
そういえば、80年代はローラースケートが凄く流行っていた事もこの映画を観て思い出した。
でも、幼少時代の私は極度のビビり屋だったので、そういった怪我をするリスクが伴う物を楽しむ人達の気が知れないぐらいにしか思っていなかったけど、今になって一度はやっておきたかったと思うようになった。
余談になりますが・・・昔『HEYx3』に玉置さんがゲストで出た際、浜ちゃんが若い頃に薬師丸さんの写真集を買っていたという話になり、「1冊何千円もするのを3冊も出しやがって。買わなしゃあないんですわ」と言っていて、当時はそれを見てゲラゲラ笑っていただけだったが、本作を観てその気持ちがメチャクチャよく分かるようになった(笑)
うん、確かにそら買わなしゃあないですわ(笑)
本作の満足度は・・・84点