月曜日の朝
高校へ行くのが凄く怠い
いつもはそんな事ないのに

昨日の話が原因なのはわかりきっているけれど

ドンッという衝撃音と共に背中に痛みが走り2,3歩前につんのめった。

「ヘイ陸、なに月曜日からふさぎこんでんのよ。」
僕の背中を押してきた人は、すごく爽やかな笑顔で朝の挨拶をしてきた。

「時乃さんと涼子さんと静動くん、おはよう。」
振り向いて三人に挨拶をする。

「おはようございます、括木さん。」
「陸くん、おはよう。」
涼子さんと静動くんが挨拶を返してきてくれた。

「あらあら、背中に跡が付いていますよ。」
涼子さんはそういうと、僕の背中を数回はたいた…跡?

「まさか、時乃さん僕の背中を押したのではなく、蹴りました?」

「当然、陸が月曜日なのにこの世の終焉を迎えたかのような顔をしてたから気合いを入れてあげたのよ。」
時乃さんは誇らしげにそういった。

…世界の終焉を迎えるか
あながち間違っていない気もする僕が此処でみんなで笑っていられるような世界は終焉を迎えてしまいそうだから。

それを思って、溜息をついた瞬間に時乃さんから本日二回目の蹴りというなの気合い入れを受けてしまった。



≪ タイトル未定(27)

「やはり、時乃雫が琴乃羽様が探していた『始動』の能力を持つものかと…」
がっしりとした体つきのスーツを着た男がそういった。

「おそらく静動時斗はそれとは逆の能力をもっていると思われます。」
もう一人白衣をきた男がそういった、二人は今日ショッピングセンターで女性が刺された時に救助用のヘリコプターに乗っていた人物だ。

「『始動』の能力そんなのあるわけないだろ、逆の能力って『静止』?時斗(ときと)だけに時を止めるって。」
小柄な少年はハハハと軽く笑い飛ばして、机にうなだれた。

「そんなファンタジーみたいな事信じれるわけないよ、それに時乃さんは高校入学からの付き合いなんだし。」
少年は物凄く不快そうに言うと、スーツを来た男を睨みつけた。

「静動時斗が『静止』またはそれに似た力を持っているのは間違いありません、でないと本日救助した女性の傷口に対して説明が出来ませんよ。」
白衣の男が軽いため息をついた。

「静動くんは止血が得意だと言ってたら、止血のつぼを知っているかもしれないじゃないか。」
少年は子供らしい反論をする、自分でもそんな事は無いと知っていながら。

「それこそ幻想と言うものですよ、貴方はしっているはずですよそんなものは無いと。」

「それに、時乃雫が『始動』の能力に目覚めたのはつい最近の筈だ、夏休み開けに時乃雫と静動時斗が早退した日に東條が捕まった更にそいつは『草剪の剣』を盗んでいたそうじゃないか…」

「むしろ貴方ならその時点で気付いていてもおかしくないんですよ。」
白衣の男が責める様に少年を見る。

「ほら、静動くんのバックには『久遠』もいるし。」
少年は必死にかみ付く。

「括木当主は『久遠』に対抗できるだけの知略がある、と琴乃羽様はおっしゃってましたが。」

「そんなのただのリップサービスだよ、では『久遠』に対抗できるだけの知略がある当主はいかにして『久遠』に対抗できるか考えた結果、対抗策無しと判断したでいい?」

「そこまで、ご学友を巻き込むのが嫌ですか。」
白衣の男の問いに、括木陸は答えなかった。
ただ、白衣の男を睨み付けていた。

「しかし、琴乃羽様には時乃雫が『始動』の能力の持ち主だと既に報告している、括木当主が望まなくても時乃雫を手に入れるための作戦を練らなければいけなくなりますよ。」
白衣の男はそう言い残し、スーツの男と共に部屋から出ていった。


「なんでだよ、なんでよりによって時乃さんと静動くんなんだよ。」
陸は思い切り机を殴った、机を殴った音と痛みだけが静かな部屋に染み渡った。


≪ タイトル未定(26) ≫ タイトル未定(28)

「むー、なんかつまんない解答だなぁ。」
雫が心底不満そうに頬を膨らませた。

「つまんないって、友人が危ない目にあっていて、それを助けられるのに助けないでいいのか?」
はぁ、と溜息をついた。
雫はそういったのは真っ先に助けに行きそうに見えるけど。

「そういう意味でつまんないって言ってるわけじゃないよ、もういいや、家に着いたし、また月曜日にね。」
雫はそう言いさっさと家の中へ入っていった。

「何か怒らせること言ったのか。」
解答がつまらないって事は、雫が望んでた答えでは無いって事なんだろうけど、あの答え以外に何を答えろと。

「あのヘリはいったいどこから来たのか。」
一人になった帰り道で今日のあの出来事を思い返してみる。
あの町の病院ね屋上にヘリポートはあるが、災害等の緊急時にしか出さないはずだし。
救急車が全て出払っていて、使うしかなかったとか、流石に非現実的過ぎるか。

救急車が出払っていないなら、誰かが呼んだって事になるよな、偶然にもそれだけの事が出来る奴があの場にいたということになるが。

時斗がヘリの事を気にしているのは、ヘリに乗っていた人に違和感を覚えたからだった、まるでこちらを観察しているような怪しい目つきだった。

「重蔵が帰って来たら、一応調べてもらうか。」
そういって、家の玄関を開け帰宅した。


≪ タイトル未定(25) ≫ タイトル未定(27)

「ウィル大丈夫?」
レイがウィルをの体を揺すっている。
暫くしてウィルは目を開け、飛び起きると頭を抱えた。


「マジかよ・・・」
「相手がどれだけの力量を持っているか考えず、感情にまかせて突っ込んでくるからこうなるんですよ。」
スルトが少し離れた場所に座って、本を読みながらそう答えた。


「それに、今回は相手に一撃を与えたら良いだけなのに

正面から力任せ大降りをするなんて避けてくださいと言ってるようなものですよ。」
ふう、と溜息をついてスルトは続けた。


「もし、これが私ではなくサラを狙っている組織の者だったら、貴方は死んでます。」 
スルトはウィルをキッと睨み付けた。


「約束どおり旅に同行するのは認めよう、だが魔族の貴様に教えてもらうことなど何も無い。」
ウィルはそう言うと、町の方へ走っていった。


「むぅ、何故彼はあそこまで魔族を嫌ってるのですか、それとも単に人に教わるのが嫌いなだけしょうか。」
スルトは読んでいた本をパタンと閉じてそう言った。


「師匠がいるって言っていましたから、人から教わるのが嫌いってわけではないと思います

ただ、子供の頃に魔王に住んでた町を滅ぼされてしまって、それで・・・」
レイがもの悲しそうに呟いた。


「魔王に・・・ディノが理由も無くそんな事をするとは思えませんが。」
スルトは難しい顔をしている。


「私もディノスはそんな事はしないと思うんですけど。」
レイはそう嘆いた後にディノスの方を見た。


「貴女はディノスが魔王ディノだって事を知っているのですか。」
スルトが不思議そうにレイを見た。


「昨日、初めて知りました。」

「そもそも、ディノは何故所をうろうろしているのですか。」
スルトもディノスの方を少し睨むように見た。


「流石に二人には説明しないといけないよね。」
ディノスはそう呟いて、レイとスルトに話を始めた


≪ 監獄の町(57)

九段坂のファミレスで二時間程談笑した後、それぞれが帰路についた。


「いや~今日は楽しかったね。」
雫がニコリと微笑んだ


「そうだね、最後にあんな事が無ければ、ただ楽しいだけですんだが。」
ショッピングセンターでの出来事を思い出してため息をついた。


「まぁ、やるだけの事はやったんだし、後僕たちに出来ることは刺された女の人の無事を祈ることだけだよ。」
雫が苦笑しながら、余り気にしない方がいいよと言った。


「所で、今回のような事に僕が巻き込まれたりしたら助けに来てくれる?」
少し間があった後、し具区が急にそう聞いてきた。


「今日と同じような状況だったら、誰だろうが流石に助けに行くさ。」
雫が頭に右手を当てて軽く首を左右に振った。


「それなら、誘拐とかは」


「雫の護衛が今の主な任務だから、当たり前だろう?」


「じゃあ、その任務が終わってたとしたら?」


「助けに行くだろうな、久遠の力を使ってでも。」


「まぁ、それが陸くんでも涼子さんでも富迫くんでも同じだけどな。」


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