6月4日19時 サントリーホール

指揮/エリアフ・インバル
ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB109 (2021-22年SPCM版*第4楽章付き)[*日本初演]

都響の記念すべき第1000回公演を飾るのは、インバルの振る最新の補筆版のブルックナー9番
N響の2000回公演の曲目が、仰々しく投票で決められたのに対し、潔い選曲だ
ブルックナーの版の問題に対して、3番、4番、8番の第1稿でのレコーディングなどインバルの果たした役割は大きいが
その宣教師とも云うべきインバルが米寿を迎えてなお新しい版に臨む姿勢には敬意を表すばかりである



オケは16型で、本日のコンマスは山本さん
演奏は速めのテンポで進められたが、入念にリハを重ねたのであろう、非常に上質なものだった、
特に1、2楽章は完璧に近いアンサンブルだった、強奏する箇所でも音が全く濁らず、神々しささえ感じられた
3楽章後半に若干のミスがあったようだが、大きな傷ではない

さて、続く4楽章の演奏は、随所に「らしさ」が感じられる、これまで聴いた中でも最良のものであった
しかし、今回つくづく思った、補筆の4楽章はそれまでの3楽章に比べて完成度が低すぎる、
はっきり言って、蛇足になるだけなので要らない

ともあれ米寿を迎えたインバルの指揮ぶりは矍鑠としたものだった、一般参賀が2回あった