10月16日14時 芸劇
指揮/トーマス・ダウスゴー
チェロ/宮田 大
曲 目
ランゴー:交響曲第4番《落葉》
シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 op.129
ソリストアンコール
山田耕作/赤とんぼ、シューマン/トロイメライ
ニールセン:交響曲第4番 op.29《不滅》
ランゴーは初めて聴く、同じデンマークのニールセンの次の世代の作曲家で16曲もの交響曲を残している
指揮のダウスゴーもデンマークの指揮者でランゴーの交響曲全集を録音しており、都響には2度目の登場と言う
今日の演目は交響曲4番で「落葉」の表題を持つ
ダウスゴーは、日本人が抱く銀髪で痩躯の北欧人のイメージ通り、真っ白のマスクで颯爽と登場し、きびきびとした動きでタクトを振る
ランゴーの音楽は解説にある通り、ニールセンよりずっとロマン派の色が濃いものであるという
単一楽章の曲を構成する13の部分のうち8つに付けられた表題は、「絶望的な森のざわめき」、「疲れ」、「絶望」など暗い雰囲気のものが多いが、メロディ自体は耳には優しいもので有った
何かを暗示する旋律を奏でるのにオーボエが多用されていたのが印象的であった、
前半の2曲目はシューマンVc協、今日のコンサートは明らかにデンマークがテーマとなっているのだが、何を隠そう私の目的はこのシューマン最晩年の傑作なのだ、
最初にレコードで聴いてから40余年、しかし、ドヴォルザークと並び立つこの名曲を、私は実演で聴いたことがなかった
そのうち、と思っているうちに時間が経過し、ここ数年は意識して探していたのだが、首都圏の演奏会でこの名曲は漸にして取り上げられることはなかった
こんないい曲を何故何処も採り上げて呉れないのだろうと、臍を?み、地団太を踏む日が続いた
そして、2022年、遂に都響のラインナップにシューマンVc協が載った、しかも当代一のソリスト宮田大を迎えて
しかしコロナだ、油断はならぬ、何事もなく開催されることを祈念し、無事今日の日を迎えた
ランゴーが終わって、中央にVc用のステージが設営される、ステージ右手の手前に置かれた第2ティンパニーは後半で使われるのだろう、再びオケが集結して指揮者とソリストを待つが、一向に姿を現さない
客席に不穏な空気が流れ始めたその時、開演前にある「音の出る機器の電源を落とし、補聴器の装着を正しく行う」ことを要請するアナウンスが流れる、
一曲目の演奏中に何やらトラブルがあったようだ、どうやら演奏者のトラブルではないのは良かったが、全く迷惑な話だ、アナウンス後も暫く待たされた後に、宮田、ダウスゴーがステージ左手に姿を見せて安堵
短い序奏の後、Vcが第1主題を朗々と奏でる、曲は1~3楽章通して演奏されるのだが宮田大のソロは本当に素晴らしかったの一言で有る
アンコールはシンプルだが、宮田大の力強いが抒情に富んだ弓捌きが、食後のデザートのように堪能できた
シューマンVc協、本当にいい曲だからこれを契機に各所で演奏されるといいな
余りに気分が揚がったので休憩では1人スパークリングで乾杯、席に戻り、ステージを見るが第2ティンパニーの位置はステージ右手の手前から動いていない、
てっきり休憩の間にステージの右手奥に移動しているものと思っていたが、どうやら今日はティンパニーの競演を比較的そばで鑑賞できそうだ
後半開始前に、再度例のアナウンスがあった
不滅も切れ味の良い演奏だった、ティンパニー合戦も間近でみることができ満足である
そういえばダウスゴーは一回もマスクを外すことは無かった、ニュースなどで聴く限りはEU諸国では殆どマスクを着用している人はいないと聞いているが、その意味ではダウスゴーは私の北欧人のイメージを裏切ってくれた
