プリわんのお馬な日常 -9ページ目

プリわんのお馬な日常

「競馬は記憶のゲームである」をベースに、独自の視点からあらゆる競馬のお話を掲載しています

阪神大賞典でまさかの逸走。続く春の天皇賞では断然人気ながら11着大敗。3冠馬オルフェーヴルは果たして復活するのか?その一点に大きな注目が集まった春のグランプリは、余計な御世話だとばかりに現役最強馬の圧勝で幕を閉じた。





公約通りネコパンチが玉砕覚悟の大逃げ。しかしそれほどダッシュがよくなく、思ったほど引き離すことはできなかった。かかり気味に追走した2番手のスマイルジャックから3番手のビートブラックまでは差があり、1000m通過58秒台とはいえ、後方馬群は平均ペースだった。



先行した2頭が早々に下がってきたことで、3番手のビートブラックが押し出される形になったが、中団でじっとしていたオルフェーヴルはそこから4馬身以内にいた。勝手に前がバテるありがたい展開を楽に追走し、直線は内目のコース取り。前走は何だったのかというようなオルフェーヴルらしい弾けっぷりを見せ、ルーラーシップに2馬身差をつける完勝だった。



前走の春の天皇賞時は、阪神大賞典での逸走の後で調整から馬具からいろいろなものが普段と違った。そのためまるっきりやる気がなかったわけだが、良化がスローとも言われいい話がほとんど聞こえてこなかった今回は、本当にデキが悪いのかと疑うほど馬の闘争心に火が点いていた。ゲート前の輪乗りでもテンションが高く、レースでも行く気満々だった。



馬体面ではややさびしい部分はあったかもしれないが、それでも最終追いの走りに違和感はなかった。精神面の問題ということで、ほとんどの人間は立ち直るのかとかもう走りたくないのではないかとか、暗い方向に考えてばかりいたが、そこはやはりやんちゃなステイゴールド産駒。ただ拗ねただけだったという結論に落ち着く。



池添騎手も勝負どころで馬群を割る競馬をしたのはファインプレーだった。おそらく池添騎手はレース前からオルフェーヴルなら勝てるという自信があったはずだ。しかし、それでも前回あのような結果になっていたし、どこかに闘志が戻っていなかったら・・・という気持ちがあったはずだ。そこで池添騎手は、いつもの大外を回して力でねじ伏せる競馬ではなく、あえて馬群に突っ込むことで、オルフェーヴルの闘争心を確かめたかったのだろう。見事に吉と出た。



この春の一連の出来事は、周囲にとっては大きな教訓になったはずだ。人馬のほんの少しの行き違いがこれほどレースに影響してしまうということを教わった人間は多いはずだ、それも天下の3冠馬直々にである。早くから大目標に掲げていた凱旋門賞にはぜひ行って欲しい。これほどの闘争心を持った馬である。フォルスストレートで先頭に立ってしまってもそのまま踏ん張ってしまっておかしくない。人間の勝手な判断で馬を振り回すのは失礼だ。馬の邪魔さえしなければ結果はついてくる。





香港帰りのルーラーシップは力を出し切っての2着だった。スタートこそ遅れたが、スッと好位に取り付くと、折り合いも位置取りもコース取りも仕掛けどころも完璧。まさに理想的な競馬だったが、勝ち馬が強すぎた。馬体を併せても厳しいだろうし、コース取りの差があったとはいえ、同じコースを通ってきて勝てたとも思えない。遠征帰りでも力は示したし、いよいよ本格化してきた。古馬中長距離路線では間違いなくトップクラスの実力馬になったが、それだけに余計に相手の強さが際立ってしまった。



3着ショウナンマイティはオルフェーヴルの真後ろを追いかけて進出したが、仕掛けられてから一気に離されてしまった。この馬の競馬はできているし、勝負どころで外に出すのはリスクが高いと判断した浜中騎手も好プレーだった。しかしながらこれだけ圧倒的な強さを見せられては、相手を褒めるしかない。



4着のウインバリアシオンも頑張ってはいるが、どうにもあと一押しが利かない。ただ、今回はパドックから変に体がこわばっていたし、返し馬でも本来のダイナミックなフォームは影を潜め、どこかぎこちない身のこなしだった。今年4戦目ということもあり、いくらか疲れがあったのかもしれない。今後、展開次第でGⅠタイトルを獲れる可能性は十分だが、しっかりと勝ちきるにはもうワンランクパワーアップしたいところ。ちょっと今回は積極的過ぎたか。



5着に踏ん張ったマウントシャスタは斤量差を最大限に生かす積極的な競馬。直線入り口では先頭に立ちあわやのシーンを見せたが、さすがにそこからの底力勝負では苦しかった。この馬はどうにもまっすぐ走ることができず、デビューしてからこれまで必ずよれている。今回も4角で馬場のいいところを走っていた割に、直線はラチにへばりついていた。鞍上の指示に敏感すぎるのかもしれないが、NHKマイルカップの時のような密集した馬群でもフラフラ走るので危なっかしい。能力そのものはあるだろうが、もまれる展開ではまだ厳しいだろう。成長すれば楽しみな存在であることに間違いなく、この経験が生きれば。




最終的に4番人気に推されたエイシンフラッシュはそこから5馬身も離されてしまった。道中かかり気味だったとはいえ、坂で完全に前から置き去りにされる内容は物足りない。調教の動きもよかったが、ドバイ帰りで見えない疲れがあったか。展開的にはもっと頑張れるはずだが・・・




天皇賞馬ビートブラックは自分の競馬ができたが、本来持ち味を発揮するであろう勝負どころで早々に手応えが悪くなってしまった。3角過ぎから頭が高くなり、浮ついた脚取りだったあたり、またしても本気を出さなかったということか。距離もベストパフォーマンスを発揮するには短すぎたかもしれない。気難しさが解消する日は来るのだろうか。




フェデラリストはスムーズに流れに乗ったが、4角で大外に振られ、直線伸びかかったものの坂下で突然パッタリ止まった。どこかおかしくしたのではないか気になるほどで、まったく力を出し切れていない。



トゥザグローリーはやはり早めに好位勢が前を捕まえる展開では厳しかった。もっと縦に長くなる展開ならよかったが、宝塚記念は毎年3~4角で厳しい流れになりがち。本質的に合わない。ただ、よーいドンの瞬発力勝負になるGⅠレースなどめったになく、ここ2年の有馬記念のように馬群が密集する形になって好走できれば・・・ということになってしまう。それでは申し訳ないがGⅠを勝つことは困難だし、もっと強くなれないと王道路線では苦戦を強いられるだろう。








オークスや阪神ジュベナイルフィリーズを勝ち、現役引退後は繁殖牝馬として供用されていたトールポピーが、22日深夜にノーザンファームで腸捻転のため死亡しました。


特に前ぶれがあったわけでもなく、突然のことだったようです。オークスまでとそれ以降で走りが全く変わってしまいましたが、大舞台に強い血筋は妹のアヴェンチュラも証明してくれましたね。早すぎる死ですが、残された2頭の産駒の活躍を願います。



お疲れ様でした。



◎ビートブラック
○ショウナンマイティ
▲ウインバリアシオン
△ルーラーシップ
△オルフェーヴル
△フェデラリスト
☆スマイルジャック




三冠馬オルフェーヴルの潜在能力の違いは明らかだが、周知の通り重要なのは内面の状態だ。阪神大賞典から天皇賞で失った闘争心が果たして戻っているか。オルフェーヴルにとってはこれが唯一にして最大の壁だ。

陣営はずいぶんと弱気なコメントを出していたが、エアラフォンを置き去りにした調教の動きは、抜群は言い過ぎかもしれないが、かなりよかったように思う。池添騎手との信頼関係には亀裂が入ったかと思われたが、鞍上の指示にはしっかりと反応してストライドを伸ばしていた。昨秋はもっと重心を低く構えていたが、今の状態でも勝てて不思議はない。

ただ、それでもやはり原因が原因だけに、慎重にならざるを得ないのは仕方ないところ。圧勝の可能性も十分にあるが、ここは立ち直れたかどうか様子を見るべきだろう。評価は△。



他の有力馬がマークしていたオルフェーヴルの惨敗でどうにもフロック視されがちだが、◎ビートブラックの天皇賞におけるパフォーマンスはフロックと呼ぶには程遠い素晴らしいものだった。


ペースや戦法で波乱を演出した馬は「なんとか凌いで粘りきった」勝ち方が多い。しかしビートブラックの天皇賞は果たして、「なんとか凌いだ」程度の走りだったろうか。京都の外回りの坂上から先頭に立ち、ペースを自分でどんどんつり上げて最後まで勢いが落ちないのである。当然この馬のスタミナがあってこそできる芸当だが、あのままあと一ハロンほど走っても先頭を守りきれていたのではないか。ゴール前で差を詰められたクィーンスプマンテやビッグウィークではなく、セイウンスカイや、メジロパーマーの宝塚記念のような安心して勝利を確信できる、強すぎる内容だった。

距離は長いに越したことはないが、今回も前回同様に引っ張ってくれる逃げ馬がいる。ゴチャつく馬群よりも前で競馬ができれば走りやすいコースも選択できるし、前回と同じ強気な競馬をすれば勝機は十分。天皇賞を勝ちながら同じように軽視されたヒシミラクルも、持ち前のスタミナを生かしたいつものロングスパートで、シンボリクリスエスやネオユニヴァースといった中距離の主役をなぎ倒した。真面目に走ればあれくらいは当然。そんな真の能力を見せつけたビートブラックが春のグランプリをも制する。



外差し有利の今の馬場を考えれば、ショウナンマイティとウインバリアシオンの追い込み馬二頭はかなりの恩恵を受ける。比べると距離適性で上回るショウナンマイティを上にとりたい。大阪杯勝ちからもわかるように阪神内回りコースはピッタリの舞台。ここ二走は展開不向きでも自慢の末脚を発揮できており、いよいよ充実期に突入したと言える。


一方のウインバリアシオンは新たにコンビを組む岩田騎手がどう乗るか。脚をためてこその馬だが、意気込みから察するに今までより前で競馬をするような雰囲気がある。いつも通りの競馬なら勝ち負けに加われるだろうが…


印こそ抑え評価だが、香港で悲願のGⅠタイトルを手にしたルーラーシップも当然主役級の存在。ただこの馬の場合は一戦に全力を注いで次走疲れを引きずるパターンが恒例となっているだけに、圧勝した前走と同じパフォーマンスができるかどうかは走ってみないとわからないのが正直なところ。負かした相手が安田記念11着のサムザップというのもあまり強調できない。

着実に力をつけてきたフェデラリストも好勝負できる。中距離のスペシャリストになるだけの素質は秘めているし、展開に左右されない脚質と確実に弾ける瞬発力は大きな武器だ。


大穴はスマイルジャック。安田記念では詰まるシーンがありながら上がり最速をマークし復調気配。調教の動きも不調時とは比べ物にならないほどいい。元々ダービーであわやのシーンを見せた馬で、年齢を重ねてどっしりしてきた今なら、当時のように折り合いに苦労することもないだろうし、これくらいの距離のほうがいいかもしれない。相手は揃ったが魅力は十分。



人気の一角を担うであろうトゥザグローリーは瞬発力勝負でこその馬。出入りが激しく落ち着くシーンがなかったり、流れに緩急がつくとモロい。今回は前述の通り引っ張る馬と追いかける馬がいるため勝負どころ、あるいは道中でのペースアップは確実。出番なしと見た。