6週連続GⅠシリーズのラスト、安田記念。1番人気が6倍台という前代未聞の混戦を制しGⅠタイトルを手にしたのは、昨年の同レースで同厩の後輩にクビ差で敗れていたストロングリターンだった。
大方の予想通りマイラーズカップを逃げ切ったシルポートがここでもハナを切る展開。しかし今回はそれを前年の覇者リアルインパクトが追いかける形になり、楽逃げできなかったシルポートはペースを上げざるを得ず、自然と後方有利の流れに。そんな中でじっくり自分の競馬に徹したのがストロングリターン。直線はスムーズに進路が開いたのも幸いし、早めのスパートからエンジン全開。自慢の末脚を存分に発揮して、並んで伸びてきたグランプリボスを抑え込んだ。
昨年2着に敗れた安田記念以後はこの1年で2戦しか使えなかっただけに、力関係は計りづらかったが、能力そのものは高かった馬。度重なる故障で出世は遅れたが、デビュー戦でサンカルロと接戦を演じたときから素質の片鱗は見せていた。6歳にしてようやく完成の域に近づいた同馬だが、まだよくなる余地もあるだろう。久々にマイル路線の主役を張ってくれる活躍を期待したい。
今年惜しくもクビ差で戴冠を逃したのは昨年の3歳マイル王グランプリボス。近走はなかなか本来の走りができず不振が長引いていたが、復活を示す2着だった。調教の動きがよかったのも調子を上げているサインだったと言えそうだ。交わされてからも差し返そうという根性を見せていたし、スランプは脱したと言っていい内容。それだけにこのクビ差は悔しいクビ差だろう。
15番人気で3着のコスモセンサーは強い3着。好スタートを切ったが、前走同様に僚馬シルポートにハナを譲りすっと好位のインで我慢。直線は開いたところからグイグイ伸びた。上位2頭に早めに来られた分先頭に立っている時間こそ短かったが、最後までしっかりとした脚取りで伸び続けた。昨秋からずっと安定した成績を残し続けているように、メキメキ力をつけているのがよくわかる。この馬も本格化したと言える。
昨年の覇者リアルインパクトは先述の通りシルポートにプレッシャーを与えに行って厳しい展開を作っての6着。昨年と比べて展開が速く斤量も重い厳しい状況においてこの競馬なら力は見せたと言える。
1番人気に推されたサダムパテックは伸びを欠き9着。上位2頭の前で流れに乗り勝ちパターンかと思われたが、いざ追い出すとまったく伸びがなかった。鞍上の談話にもあった通りこれといった敗因が浮かばず不可解な敗戦。時計勝負が不得意なのだろうか・・・?
久々のマイル戦だったローズキングダムは流れ込むだけの13着。この馬にしてはずいぶんとおとなしかったが、気配そのものはよかったと言っていい。ただダッシュが利かずに後方からの競馬を余儀なくされ、道中はハイペースを追走するので一杯一杯。最後まで脚はしっかり残っていたし、結果的に3200mの後にいきなり半分の距離でレースをするのは厳しかったか。この流れを経験したことでもう抑えは利かなくなるだろうし、今後はマイルから長くて2000mまでの馬となるだろう。
16着と大敗したアパパネは雰囲気は悪くなかったが、前走のヴィクトリアマイル同様に馬体に迫力がありすぎた。馬体重こそ-2キロだったがかなり立派になりすぎているし、体つきが強い頃のものではなかった。ゲート入りを嫌って尻っ跳ねを見せたときには本来の力が出せるかと思ったが、よくよく考えてみれば蹴りあげる回数がいつもより断然多かったように思う。もしかすると好調時に見せる仕草ではなく、ただ単に競馬がいやだっただけかもしれない。そろそろタイミングか。
ペルーサはまずまずのスタートから気合いをつけられて先行。ここまでは作戦通りだったが、3角過ぎから手応えがなく鞍上の手は動きっぱなし。4角を回った時にはすでに減速していた。初のマイル戦でただでさえ速い流れの中でガツガツ攻める競馬をしたことで、結果的にまたジャパンカップ同様に馬がレースを投げてしまった。どうにも本気を出してくれない。
ちなみに夏場は休養に出す予定のようだが、これはミスジャッジだろう。ただでさえ競馬を舐めきっている現状で、この安田記念でもレースをやめてしまっているにもかかわらず、またここで休みを入れたら、馬がこの程度でも休めると勘違いしてしまう。というよりもうしてしまっている。元々ペルーサ自身、現役屈指の賢さを誇る馬だけに、余計に本気で走らなくなる可能性が高くなるだろう。そうなればこの安田記念で序盤から気合をつけて行った内容は完全に無意味なものになってしまう。なにか状態面で不安があるのなら別だが、藤沢調教師らしくない判断に少しばかり残念な気持ちだ。
今回ストロングリターンがマークした1分31秒3はダノンシャンティがマークした驚異のタイムより0.1秒速いレコードタイム。最近はどうにも速い時計の決着が多く、ゆえにダノンシャンティのタイムがこうもあっさり更新されてしまっては価値があるのかどうかよくわからなくなってくる。硬すぎるからどうとか故障がどうとかは別問題として、ちょっと時計が出過ぎで見ていて面白味を感じないレコードになってしまうのが正直なところだ。