亡き父の後輩で86歳になられるTさんから「どうしてもお父様のお墓参りがしたい」とお電話をいただいた。

ご高齢であることや、昨年肺の病気で3か月入院されていたこともあるので、お一人で茨城からいらっしゃると聞いていたので、最初は固辞していたのだが、どうしても!!というので「ご自宅までお迎えに!!」「いやいや最寄り駅までいきます」の問答を繰り返した後、最寄り駅に車でお迎えに行き、帰りは強引にご自宅まで送って行く心づもりでお約束をした。

 

晴天に恵まれ、駅でその方との待ち合わせ場所に行くが、なにしろ40年くらいお目にかかっておらず電話でしかお話ししていないので、遠き昔の面影を探すだけがてががり。携帯も持っていらっしゃらないので、落ちあえるかドキドキ真顔

 

数分後、すらっと背の高いスーツ姿のシニアダンディであるその方と落ち合えた。

86とは思えないくらい若々しいお姿で、昔、すらっとしたイケメンさんだったことを想い出したキラキラ

 

お墓の前で手を合わせると、Tさんは「〇〇さん、こちらの世界では本当にお世話になりありがとうございました。心から感謝申し上げます。家族のようにかわいがっていただいて本当に感謝しています。今日こうしてご挨拶ができてありがとうございます。もう少しで僕もそちらの世界に参ります。その時は、またどうぞよろしくお願いいたします。」と、大きい声で祈りの言葉を発せられた。

 

なんて立派なお墓参りなんだろう・・・と、胸が熱くなった。

主人も私も涙を流しながら、「遠くまで父のお墓参りにいらしていただいて、父も喜んでいると思います。本当にありがとうございました」とお礼をお伝えする。

 

父の姉もTさんのことを家族のようにかわいがっていたそうで、Tさんの若い頃は父の実家によく週末泊まりに来ては家族のように接していただき「肉ばかり食べるな、野菜も食べろ」と祖母に怒られたり、いろいろなことがありました、と語るTさん。
命日の近い叔母も、喜んでいたことだろう。

 

Tさんはその後、丸の内でご友人とランチのお約束があるというので、強引に丸の内まで車でお送りし、道すがら父の仕事ぶりや仕事場での父の様子や「男の中の男だった」という話を聴かせていただき、私の知らなかった"仕事をする父の姿"を知ることができとても佳き時間となった。

 

東京駅について、ご挨拶するときに「またお会いしましょう」と固く握手をしてお別れした。

 

父の世代の方々がこの世を旅立つ年齢になり、この世を離れていくのは寂しいことでもあるけれど、それぞれが新しいステージの始まりでもあるのだろうな・・と、なんともいえないさみしさに胸がきゅんとしつつ、自分もあと少ししたら、その世代になるのだから、一日一日、大切に過ごしていきたいなと改めて思う時間でした。

 

父と叔母、祖母への、よいお供養の時間になりました。

ありがとうございます。