ひとしきり泣いた後、君は顔をふせたまま暫く動かなかった


そして


いつまでもなくならない嗚咽の中、消えそうな小声でそっと呟いた



「もう無理…」











崩れてしまいそうな弱々しい華奢な身体が、もっと小さく震えて


虚ろに見つめるその瞳は、やり場のない苦しみを写しながら、諦めたことに満足している…


何ができるわけでもない

その肩を抱くことさえも…


どうすることも…

できない…





頑なに閉ざされた心を
開く鍵が見付からない

内側から粉々に壊れてゆく気持ちの欠片

拾い集めようとしても
指先が届く前に間に合わない


意識を保つギリギリのところで、苦痛に耐えていても

待っていたのは孤独
そして
例えようもない絶望だけ…




望まれない手助けは
虚空に描いた絵をなぞるように意味のない救出


到底及ばない救出でしかなかった


いったい何なんだ…
我が身がえぐられるようなこの感覚は…



越えられない恐怖
満たされてゆく終焉
崩壊した心
頬を伝う涙
無責任な慰め
正気を忘れた今
再び絶望の天使が舞い降りる



現実味のない楽観
身を焦がす苦痛
答えの出ない堂々巡り
嘘で固めた言い訳
嫌気がする振舞い
悲劇の中で葛藤を繰り返す



戒めを重ねても
総てが無駄に終わってゆく


自分を取り戻せない君は
微笑みながら業火の中に身を投じる


あまりにもかけ離れた世界

暗い、どこまでも暗い闇


キャンドルライトの灯火は、涙の雫で消えてしまった…



あぁ、こんなにも寒い…



心の中に深く入り込めば込むほど、再び出てゆく時、一歩一歩、歩く度に血を流すことになるのはわかっていた


あぁ、こんなにも冷たい…





それでも、



見守ることしか許されなくても

一切が無駄だとしても





見捨てたりはしない

見捨てることは出来ない

傷を負うよ

今までもこれからも…



僕の夢や思いは、いつでも心の中に…。


そして遂に歩くべき道を見つけたんだ

だからもう行かなくちゃいけない

分かるだろ、

ここに居たらいけないんだ





乾いた土が僕を取り巻いて、視界を遮る

埃にまみれた荒野の中へ…




安らかに眠れ、彼の人々よ

僕は涙が枯れるまで泣き続ける

それが僕の唯一の役目だから

僕は泣き続ける、永遠の護り人

それが僕の唯一できることだから…



そして旅立つんだ

行く先に安息なんてないかもしれない

今よりもずっと苦しいかもしれない

それでも歩き始めたんだ


さぁ目を閉じて

何も心配はいらない

僕は君を自由にさせるよ




心からの優しさが、時に新たな悲しみの種を蒔く


慈愛に満ちた微笑みから、罪と罰を背負った涙が流れ

そして

永遠の暗闇の中で、声を出して泣いていても、自分の鳴き声すら聞こえない


考えうる最悪の事態も、必ずその兆しがあったんだ

見落とすことを恐れて

僕はずっと目を閉じていたんだ


それももう終わりさ


僕はここから旅立つよ




目的を望まない

関わりを求めない

必要を与えない

自分のすべてを無に帰そう


風のささやきに耳を傾けて…

遠くの彼方へ旅立つよ

いつの日か、光の欠片を掴むまで


僕は涙の護り人

許されざる者の名を刻み、永久に続く物語を綴る



恐れないで

怖がらないで

胸に空いた大きな穴も

深く傷付いた心の闇も


いつかは癒える時が来る



その時が訪れるまで

孤独の丘の上で泣き続けよう


その丘を見つけるまで

目に見えない川を越えて

消えゆく荒野を歩いて


遥か彼方へ旅立つよ


僕の夢や思いは、いつでも心の中にあるんだ…


終わることのない哀しみを胸に抱いているけれど


いつの日か、必ず光の欠片を掴んでみせるさ




哀しみの天使も
光に包まれ天空の彼方へ


さぁ飛び立とう…

哀しみは必ず消えてゆく…

純粋なる緊張は、既に奪われてしまった。

まるで隠された病に冒されているようだ。

それでもこの苦痛を埋めなければならない。


狂気の封印の間で、
因果の流れの中で、
葛藤を繰り返し、螺旋の道を辿るが如く。

そして時が巡り始める…。


言葉に出来ない…、再び…。





悲しみの肖像が
一枚一枚の絵になり
心に積み重なってゆく

潤んだ瞳を写す
水面のような微笑み
誰にわかるはずもない
あなたが見てきた苦悩なんて


篭の鳥は盲目に囚われ
まるで身体の一部が引き裂かれるような痛みを知った

手に入れられなかった
闇の中の光よ
失う前に消えてゆく


関わりは僅かなもの
気付けば見えない風花
失う前に消えてゆく


聞こえない絶望の嘆き
目を閉じると浮かび上がる
焦点の合わない追憶


振り返る後ろ姿

哀しみの笑顔

潤んだ眼差し

どこまでも素直な優しい言葉は、私の心を混乱させる

気丈に振る舞う親しげな仕草は、私の心を壊してゆく





私には到底出来ない

あなたを救うことなんて…

内に秘めたる冷酷さを
どんなに隠しても
闇の住人が覆いを剥がす

気付かぬふりをして
救い出そうと試してみても
届かない現実を知るだけだった



思い出にするには
あまりにも短すぎる日々

胸を焦がしたいつもの場所で、私は今も毎日立っている

思い出にするには
あまりにも短すぎる日々

あなたの面影が
いまだに輝く…

思い出にするには
あまりにも切ない日々

忘れ去る日が来るまで
私は、毎日、いつもの場所で立っている