だいぶ遅くなってしまいましたので月組大劇の感想を極簡単に
思えば退団公演を生で見るのは紅さん以来。(華ちゃんはありますけれど)
やっぱり通常の公演とは空気が違う。ファンの、組子の、スタッフさんの、様々な思いが
劇場内渦巻いていて、
どこか重たい雰囲気なんですが、かといって決して心地の悪いものじゃない。
自分も襟を正して見送らなければ、そんな気にさせてくれる。
お披露目とも通常の公演ともまた違う空気がそこにはあります。
ひと昔前までは、退団公演は男役の美学を見せて本人の希望も叶え、
組子に託して去っていくのがデフォルト。
いいと思ってるんじゃないかなんて感じる部分も。
その方や組子の熱狂的なファンじゃなければ「う~ん」と思う作品も多々。
もちろん退団する人やファンが楽しんでくれての公演ですし、
「退団公演は1回キリだからそういう演出が良い!」って思われる方も多いとは思うんですが、
その方のファンであったとしても「あれ?」ってなる作品も中にはあったり。
ですが、最近は本当に演出家の先生方が自分のやりたい作品ってだけでなく、
その方に合った作品作りをしてくださるというか、「最後にこの作品を当てて下さってありがとう!」
となることが多くなりましたね。
そんなこんなで今回。お芝居、ショー共に珠城りょうの集大成であり、
珠城&美園時代の月組を代表する作品といっても過言じゃないでしょう。
(たまき君の一番の作品はサヨナラショーでトリを務めた作品でしょうけれどw
サヨナラショーも彼らしいセトリでした。ちなつ君大好きすぎる部分含め)
実際、初宝塚を経験した知り合いも退団公演なんて知る由もないのに
お芝居で涙していたそうで(ショーの方ももちろん楽しんでくださいました)
退団公演としても素晴らしいものですし、退団公演抜きにしても楽しめる良作だったと思います。
ということでお芝居の『桜嵐記』から
正直、この時代の、さらに楠木正行ってどうよ?なんて思っていました。
平安ほど雅でなく、戦国ほど有名人物や数多あるドラマもなく、
江戸の豪華絢爛さや明治大正の文学世界、古代の神話性もない。なぜあえてのチョイス?と。
もう何度この言葉を言ってきたことでしょう。「ウエクミ先生御見それしました」
自分の無知具合が恥ずかしくなる(そしてまた一つ歴史に詳しくなる宝塚ファンあるある)
貴族社会の雅さにヒリヒリとする駆け引き、武士社会の泥臭くも熱いドラマ、
そして楠木三兄弟はじめ登場人物の生きざまと悲劇なはずなのにそれを感じさせない清々しさ。
まさに上田先生と芝居巧者な月組の合わせ技がなせる業ですね。
続く