②の続き新鮮な気持ちで感想を
演出、セットについて。華やかな宮廷の話の割にはずっと暗い照明。
それはそう、時代はハプスブルクの終焉。宝塚ではオブラートに包まれていますが、
原版の「♪最後の証言」ちょっと前ではルキーニが「この舟(ハプスブルク家)は沈む掛けている」と
次々にシシィの周りに起こった不幸を羅列していきます(シシィの良き友人だったルードヴィヒも)
ご存じルドルフも死に、次の後継者だった甥のフェルディナンドもサラエボ事件で暗殺。
フランツはシシィ亡き後18年ものその至高の地位にいましたが、その後を継いだ
甥の子カールは2年も満たずに廃位。そりゃ100年も煉獄で裁判を受けていた
ルキーニ曰く「ハプスブルク家なんてとっくに滅んじまったぜ」ですわ。
ちなみにですが、、、あくまで宝塚版だけで考えても、初演当時はルキーニが
裁判を受けて(つまりシシィが殺されて)100年は経っていなかったんですよね。
あの煉獄のシーンだけはちょっとした未来の話、、、なんて(まぁ約100年ではありますが)
と脱線しましたが。宮廷シーンが華やかさというより厳かであり暗く重たい空気が
流れているのに対し、民衆シーンは怠惰な空気とそれを吹き飛ばす怒りの
エネルギーに思わず当てられてしまいます。そこに更に割り込むかのように
“マダム・ヴォルフ”の淫靡で艶やかな舞台と“病院”の何ともいえない緊張感。
一つ一つがめぐるめく激しく入れ替わっても、流れとして途切れない舞台展開の鮮やかさ。
またライティングやセリの使い方が改めて上手いというか。極限に絞ったライティングの先に閣下。
個人的にはあの黒天使が降りてくる所はゾワゾワっと来ました。(えぇ、こんだけ何度も観てて
あぁやって降りてくるのを初めて知ったものですから)黒天使といえば、あんなにも動いて
上手い事トート閣下の心情を表しているんですね。今回よく理解できました。
(ってか、あんなにクールぶっている閣下なのに、心の声ダダ漏れですやん!ってw)
最近映像をよく使うことが多いですし、映像技術の発達から舞台表現の幅が広がったのも事実。
でも、やはりセットを使うことによって立体感や重厚感がでてきますよね。映像が悪いとは
決して思わないですが、映像が主な舞台セットはやっぱり物寂しい気がします。
、、、まぁあのどこでもタンスは初めて観た時からどうしても笑ってしまうんですが(笑)
しかも、帰るときはシシィに怒られて律義にドアから帰るところが何ともかわいい
フィナーレはロケットと男役群舞はいつも通り。あのドアコンコンな振りを生で見た感動!
振り数の多い最近の群舞の中ではクラシックな分類ですが、やっぱり
「きたー!」感はありますよねロケットも振りがとっても可愛くて好きです。
女性陣のとデュエダンは新しく。『エリザ』のデュエダンであんなラテン調なのは
今までなかったのでは?二人ならではの大技も炸裂していましたね
エトワールは次期トップのさくらちゃん。流石の美声っぷりでした
衣装、ナンバーについて。改めて思いますが、本当に名曲揃いですよね!
こんなにも多大なナンバーにあって、捨て曲(という言い方は礼を失しますけど)が
全くないというのが凄い。宝塚用「♪愛と死の輪舞」は本当に宝塚版に
よく合っているというか、なくてはならない曲ですね。世界観にも合っています。
掛け合いの所とか実はテレビで見てもあまりよくわかってなかった部分も
合ったんですがそこは生。ステレオで聞けるので良く聞き取れました(笑)
ただ、、、本当に難しいですよね。旋律通りにただ歌うだけでも難しいし、
それに感情を乗せるとなると更に。音をしっかり取れたら多少なりとも
“作品の意図した想い”を乗せることが出来るのがこの楽曲でもあるんですが、
(他の海外μも割とそうですけど)想いを込めすぎて音を外してしまうとせっかくの
ナンバーの魅力も薄らいでしまう。でもって、肝心の音が本当にとりずらいですね
よく知っている(聞きこんでいる)ナンバーだけに、「もっと、もっと頑張れ!」と
思わず手に汗握ってしまうことも。音を探りながらではなく、パーンと
その音に声を当てることが出来たら更によくなりそうですね←と何を偉そうに
衣装ですが、年々豪華になってきますね。特に最初の登場シーン。
どんどんメタルロックなヴォーカリストと化してきてますよねw
個人的にやっぱり目についたのは2幕最初の赤いマフラー?なところ。
暗めの赤紫系ならありますが、あんな鮮やかな赤い差し色は
今までなかったのでは?(どちらかというと黒青系ですし)
閣下が黒いコートに赤いマフラーを巻いているとしか思えなくて微笑ましい
続く