② の続き感想といっても解説(考察)なのですが
・「♪太陽が帽子をかぶってる」
2幕幕開きでジャッキー&ジェラルド中心に歌うナンバー。タップもあり振りも楽しく好きなナンバーの
一つなのですが、よくよく歌詞を聞くと?「太陽がシャッポー(帽子)被ってる♪」って曇りってこと?
「あいつはピーナッツ炒るのが上手い」のあいつって?そもそもピーナッツって唐突過ぎる
どうやらあまり日の見ないロンドンに太陽が照って喜んでいる直接的な意味あいと、ずっと当主が
居なかったヘアフォード家にようやく太陽(ビル)が帰ってきた。しかもちゃんと紳士の嗜みである帽子を
被って教養を身につけて階級に相応しくなった。(He's been roastin peanuts out がピーナッツを炒ると
いうよりメイフェア育ちではないランベスでこんがり焼けたという意味にもとれるらしい)まだあんな調子の
ビルですがwようやく跡取りができた(一応お披露目は成功ということで)喜びを表現しているとか。
・「♪顎で受けなさい」
ニュアンスはわかります。でも顎で受け止めるってどうやってこれも歌詞は「♪ take it on the chin」
つまり英熟語で「何事も勇気をもって受け止める」という意味(ボクシングから来ているそうですね)
もう歌詞にはなれてしまっていますが、よくよく観るとどうにもミーマイは直訳しすぎて
・高貴の身は義務を伴う
ヘアフォード家の家訓、、、なんてことない「ノブレス・オブリージュ」貴族社会全体の嗜みですね。
続いて「♪ヘアフォードの歌」で「ノルマンのウィリアムの時代から♪」というのはノルマン時代の
ウィエイアム1世、つまり現王室の始祖のこと。そんな古くからヘアフォード家は存在したんですね!
(そりゃマリアがやっきになってビルを教育するわけだ)昔の貴族はこの時代の貴族の様にお気楽ではなく
中世英国は騎士文化でしたから、それこそ「高貴の身は義務を伴う」「死んで重ねる栄光」だったでしょうね。
・絹の耳から豚の財布はできない
元々は「豚の耳から絹の財布はできない」というイギリスの諺をビルが言い間違いしたもの。
でも、これもこの諺を知らないとビルが言い間違いしたことすらわからないという。。。
・ヒギンズ教授
ご存じ『マイ・フェア・レディ』で花売りのイライザをレディに仕立てあげた言語学者ヒギンズ教授。
(実は『ミーマイ』の方が古いので、『MFL』の原作『ピグマリオ』から引用したと思われ)最近セリフが
カットされてしまってますが(今回も?)ジョン卿が軍隊で友人になったピカリング大佐も『MFL』の人物ですね。
それにしてもサリー。愛がなせる業とは言え、あの教授のしごきに堪えて短時間であそこまでの
教養を身につけるなんて凄い(まぁあの屋敷(てかマリア)に認められさえすればいいのですが)
・「私たちは正しい扱いを受けると心が動かされがちになるのです」
サリーの一番感動する台詞であり、一番わかりずらい台詞。これも先ほどの『マイ・フェア・レディ』より
「レディと花売り娘の違いは、どう振るまうかではなく、 どう扱われるかにあるんです。」と同じ意味。
つまり血筋なんてものは関係なく、ランベスとメイフェアの違いはそのように扱われたかそうじゃないかの
違いだけということ。最後までビルの尻を追いかけてたジャッキーに比べてよりレディらしいサリー。
ハッピーエンドに隠されがちですが、最後に最大級の貴族社会への皮肉だなぁと。
現在もなおここまで濃くはないですが残っているイギリス階級社会。元々この作品、労働者階級から
上流階級への皮肉が込められてますよね。(上流社会の人間もそのように育ったからそのようにしか
生きられない、そう義務付けられているというのもありますが)お気楽すぎる、穿った見方をすれば
マイナスに印象操作されたヘアフォード家の面々、召使い達も含めてツッコミどころの多い貴族マナー、
楽しいことばかりして過ごしているように見えて貴族しがらみに縛りつけられている貴族たち。
意図せずビルとサリーが見事そんな貴族社会をぶった切ってくれる。ただ楽しむだけでなく、そんな
裏側も深読みしながらみてみるとまた違った『ミーマイ』の世界が楽しめる?かもしれませんね!
(とはいえ、へアフォード家の面々も愛すべき人達だと思いますよ)
個人の感想は続きで