雪組大劇『星逢一夜』『La Esmeralda』感想④ | ★F**kin' Perfect★

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徒然なるままに、つらつらと。。。

の続き右矢印ここからは個人の感想。(ネタバレ含みますので未見の方ご注意ください)


星逢トリデンテ(早霧せいな・咲妃みゆ・望海風斗)

いつものように近所の悪たれ達と遊ぶ源太と泉。泉の為に背伸びをしてw笹を取ろうとした源太に

上から小石が落ち、その小石が普段は交わることのない紀之介と蛍村の子供たちを引きあわせる。

あの時紀之介が小石を落とさなかったら、結末は同じでもこれほどの辛い思いをしなかったのだろうか?


孤独な少年紀之介。側室の次男坊として肩身も狭く城内では居場所もなく、いわゆる“武士の手習い”より

星を見ることが何より好きだった聡い少年。自分のことより泉や村の子たちを思いやる優しさもあり。


村の子たちのリーダー、、というよりは緩衝材的存在だった源太。(お山の大将は氷太だろうしw)

誰かが喧嘩をすると「まぁあいつのこともわかってやれよ」と気遣いが出来、自分の幸せよりも

泉の幸せを第一に思い、そして例え憎き領主の息子であっても寄り添うことのできる優しい少年。


二人はあまりに賢すぎて、あまりに優しすぎた。紀之介の賢さが紀之介を三日月藩や蛍村という

星から遠ざけ、源太の優しさが紀之介を傷付け、源太の賢さが一揆へといざない、紀之介の優しさが

引き返すことの出来ない結末を導いた。どちらとも最善の道を選んでいるからこそ、より悲劇が濃くなる。


その二人の間に立つ泉。野を駆けまわる猪のようであり、桔梗の花言葉のように清楚で誠実。

何より強い心の裏腹には脆さも持ち合わせてる少女。紀之介&源太と星逢イイ男ベスト2に

愛されるなんてなんて羨ましいんだ!ってならないのは、誰よりも一番辛かったのが泉だから。


きっと紀之介の事は最初に喧嘩する前から惹かれる存在だったんだと思う。周りが気づくぐらい紀之介が

好きなのに気持ちを打ち明けられないまま紀之介が江戸へ。愛しい人、でももう道が交差することはない。

そう恋心を忘れようとした矢先の“星逢祭り”7年後に出会った紀之介は見目麗しい青年となっており。


ここでの3人のやり取りが堪らないですねしょぼん結ばれないのはわかっていても求めてしまう晴興。

源太のお嫁さんになると聞いたときと友と思っていた源太の土下座を見た時、晴興は否応がなしに

自分の立場と責任を思いださずにいられなかった。そして、何より晴興の優しさが申し出を拒んだ。

一方、愛する人が他の男が好きなのをわかっていて愛する人の為に土下座までした源太。紀之介を

忘れられない泉をずっと傍で見ていた気持ちはいかほどだったか。そんな源太だからこそ、晴興も泉を

託したわけですが、、、そんな二人のやり取りを見た泉が結局やり切れない思いだったのでは

ないでしょうか?自分の為に土下座までしてくれた源太の元に嫁がなくてはいけませんしね。


この一件で晴興と源太達に溝が出来ますが、更に広げてしまったのが晴興の賢さ。星を見るということは

1年の流れがわかるということ。つまり先を見通す力があるということで。吉宗公の改革が今は実らずとも

先の世に必ず国にひいては民衆に還元されると見越し、強い態度で推し進めていきます。それこそ

非難の的になる事も厭わず。しかし、民にとっては未来のことより今日明日食べるものの方が大事。

三日月藩かでも晴興への反発が高まり蜂起の一歩手前。その民達を纏めたのがかつての友だった源太。


三日月藩で一揆の兆候がある話を聞いても、その首謀者が源太であり直接源太と会った時も眉毛一本

動かさない晴興。喜怒哀楽を前面に出した表情豊かな子供の頃も苦悩に満ちた星逢祭りの頃の晴興も

もう面影はなく。そんな晴興に対し、少しは子供の頃の情が残っていることを期し今度は全藩民のため

頭を下げる源太。しかし「ならん」とにべもなく断る晴興に、土下座をした手に思わずグッと力が入り。


引き返すことができないところまで来た物語。源太の優しさは晴興の心を追い詰め、晴興の優しさは

晴興自身を苦しめ。殲滅できるだけの戦力を有しながらも老中自ら一騎打ちを申し出た意図も、

「降参しろ!」「まだやるつもりか」と悪役のような台詞を吐きながらも手にしてたのは木の棒だったのも、

そのまま切り伏せれば良かったものの自分の刀を源太に差出し自らは鈴虫の刀を取ったのも、

そして御自ら決着を着けたのも。客席は痛いほど晴興の気持ちが伝わるのに、あの場にいた全員が

彼を理解できないでしょうね。事後、三日月藩の民衆たちにとっては天野晴興の名は藩政を顧みず

藩民を弾圧した忌むべき存在として語り継がれ、藩士達にとっても本来なら功になるところ自ら蟄居を

申し出、結果藩士たちを路頭に迷わせた暗君として恨まれるでしょう。彼の孤独の闇が辛いしょぼん

(晴興と源太が背中合わせになり星を見上げたあの瞬間だけは、二人の心が通じ合ったと信じたい。)


なんとなくですが、紀之介は死にたがっていたんだと思います。あの櫓で待っていたら、もしかしたら

泉が紀之介を殺しに来るかもしれない。実際そうなりかけましたが、そうはならなかった。誰もが紀之介を

理解しない中、泉だけは一人紀之介の孤独と優しさを理解していたから。泉の存在が紀之介に残された

最後の星だった。だからこそ、最後の最後で紀之介は本気の夢を語り、そして泉の気持ちを軽くすため

戯言として流した。あの時だけは“晴興”ではなく“紀之介”に戻っていましたね。


星逢祭りの日に星を眺め涙する泉。きっと遠い空で同じく紀之介も星を眺めていたことでしょう星空

それはまるで、空が曇って互いの空を見上げるしかない織姫と彦星かのように。(その場合、天の川は

幼き日のキラキラとした想い出で、雲は源太かな←「七夕の日は大概曇ってる」by紅ゆずるw)



制作発表の時は「いや~ちょっと無理あるやろ」と思っていた子役時代が、他の人も含め何ら違和感なく。

純粋無垢でひたすら可愛い音譜子役姿で銀橋ダッシュする姿が何とも愛おしかったです(だいもん足遅w)


“優しさ・賢さ・強さ”という芯の部分は子役時代から変わらないのですが、活発だった少年から若き藩主、

そして冷酷な老中。気の強い少女から思春期の娘、そして母。優しい少年から包容力のある青年、

そして九州男児。3年・7年・10年という月日の流れをそれぞれ自然に表現されてて上手い!

特に、30代の大人の男女になった時の演技が人としての深みが出ててよかったです。

(少年期の演技との対比が映えるから余計にですけどね。だからこそ、ラストの演出がにくいしょぼん


ちぎさんのキャラと相まって熱い役が似合うように思いますが、どちらかといえば動より静の耐える役の方が

合いますよね。少年期の溌剌とした姿は元々子役が多かっただけによく似合っていましたがw

迸るように主題歌を絶唱する姿に晴興の苦悩が重なり。最後の立ち回りも壮さん譲りで美しかった。


だいもんは流石の美声。子源太の最近のだいもんからすると珍しい可愛さでしたがwやはり大人になって

護るものが増え、湯しかごちそうがないという泉に「。。。ごっそうさん」との言葉が温かくて。喉を

少し傷めてるのかな?と思うぐらいセリフが所々かすれてましたが、歌声は流石の物でした!


みゆちゃんの女優っぷりにはほとほと感服!ショーでは歌の弱さが目立ってしまうのですが、芝居で

憑依した時は本当に聞かせてくれますね。ラストだけ一瞬一人の女性に戻った姿が印象的。



続く右矢印