① の続き
時を経て出会った二人(早霧せいな・咲妃みゆ)
手口は大胆にして繊細。大泥棒なはずなのにドジ踏んだり、その状況すら楽しむ。闇稼業ながら、
どこか陽のオーラすらある男。それがルパン三世。今回も初っ端から挙動が怪しげな過ぎて
「とっつぁん鳥肌立っていないの!?」(それガ二マールw)とも思いましたが、結局バレて逃走。
途中五ェ門や鉢合わせた不二子と合流。首飾りまでたどり着き、ヒゲダンスでレーザーを潜り抜け(笑)
お目当ての首飾りを手にするも、でたらめな呪文を唱えてしまったためタイムスリップ。追いついた銭形も
もれなく巻き添え(「エロイムエッサイム」はフランス語で悪魔召喚の呪文なのですが、、、もし普通に
すんなり首飾りをとっていたら、そもそもタイムスリップは起こらなかったんでしょうかね?)
時は18世紀ベルサイユ宮殿。割と早い段階で現状を把握しタイムスリップの現実も受け入れるルパン。
慌てたり悲観視せずに前向きになるのが何ともルパンらしい一輪の薔薇(人の)をマリーに差出し
その場を退散。タイムスリップさせてくれる人を探しだし、その居場所も付きとめます。
が、お目当ての人物は詐欺師でも、元は錬金術師を目指していたのがわかり、上手いこと焚き付けて
その気にさせ(髪の毛使ってヒゲダンスまでしてw)何とか現代に戻る糸口をみつけ、再びマリーの元へ。
一方のマリー。『ベルばら』でお馴染みの彼女ですが、どちらかというと某映画寄りといいますか。
人前では一応王妃たる姿を取り繕ってはいますが、子供がそのまま大人になったような無邪気な女性。
舞踏会で一瞬会っただけの(しかも不審者)が自分の寝室に忍び込んでいたら、大声を挙げるのが普通。
でも、彼女は誰にも懐く子犬のように彼の来訪を喜び(悲劇の王妃の姿とはあまりに異なるので、
ルパンも戸惑ったでしょう)ルパンを連れてパリ郊外へと出かけます。(相当遠いと思うんですけどね)
無邪気を通り越して無知と言ってもいいほど。王妃がいなくあった後の王宮がどんな騒ぎになるのか、
知らない男性(ルパンだったからよかったものの)とパリの街を歩くのがどれほど危険なのか。
勿論知識としては知っているはず。でも、“知っている”だけであって“理解”していない。
マリーも“知らない”事は自覚していたのでしょう。「籠の中に閉じ込めておいて何も知らないと批判するのは
ずるいわ」対し、優しく慰めるのでもなく突き放すかのように「被害者ぶるのはみっともないぜ」とルパン。
その気になればなんだって知れたはずだ。その言葉の裏には不器用な優しさとエールが含まれていて。
優しさといえば、マリーが酔っぱらって将来を聞いてきたときも。その後の人生はわかっていたけれども
おくびにも出さずに、明るく話を聞かせ部屋まで送っていき。このマリーが可愛くて釣られるように
笑顔になるルパンと寝かしつけてからの複雑な表情の対比が、彼の心境を思うと胸を打ちます。
が、カリオストロの部屋に戻った時はいつものルパンでwあの悲しんでいたのはフリだったんかい~!
と思いきや仰天提案が!為政者は無知・無能なだけでも罪ですが、人としてはそれだけで罪とは言えない。
何より、あのダイヤモンドの笑顔を失うことは大泥棒としても見過ごせなかったんでしょうね
再度カリオストロをその気にさせてwマリーとの再会を果たすルパン。最初こそすっかり妙齢の女性らしい
佇まいでしたが、ルパンとわかり一気に当時の輝きを取り戻したマリー。あの方の趣味も役立ち(笑)
華麗に追ってを躱して無事死地を脱出した一同。そして別れ。現地では何も物にしなかったルパンですが、
“マリアの涙”とマリーや客席の心はまんまと盗んで行き現代へ。またとっつぁんに追われる日々に逆戻り
チギさんの“リアルルパン”感。(他の一味もですが)ちょっとした仕草や表情、ちょっとがに股気味な歩き方、
すらっと伸びた足、そして「あらららら~」(笑)本当にジェンヌの二次元を三次元にする力に驚愕。
と同時に、宝塚らしさも損なわず。カリオストロちゃんをイジめてみたりw周りをおちょくるようなしぐさを
してみせても、ビシっと決めるところは決める。立ち回りは武器なしにしては割と派手にやっていましたが、
身体能力の高さを発揮して躍動感ある動きでした。(そして、ピストルを持った途端に嬉々としてましたw)
ルパンの強さは盗みの技術ではなく“意思の強さ”と“人間味”だと思うのですが、チギさん自身とリンクする
部分もあり。最後去るシーンのように、軽やかに次のステップへと駆け昇っていくのだろうなと。
あとは、、、やっぱり歌かなぁもう少し歌詞がハッキリ聞こえるようになればいいのですが、、、
(主題歌の「ダイアモンド♪」が“だいもん”って聞こえてたのは内緒w)ゆうみちゃんとの声の相性はいいと思います。
そのゆうみちゃん。無邪気でいて憎めない、でも色々思うと少しいたたまれない気持ちになってしまう。
そんな今までにないマリー像を打ち立ててくれました!ただ、仮面をかぶっている状態の王妃と
素の状態のマリーとの対比をもっと出してくれたら。牢獄のマリーは少し『ベルばら』を引きずってる気も。
今回特に二人が恋人だったり愛しあったりするわけではありませんが、たった数時間の出来事であっても
ルパンとマリーの間に確かな絆があったように、ちぎさんとゆうみちゃん二人の信頼関係が観られました。
どんな風に演じてもきっと返してくれるだろうなという、お互いの安心感とでもいいましょうか?
芝居巧者の二人ですから、これからどんな“ちぎみゆ”を魅せてくれるのか楽しみにしています
続く