星組大劇『眠らない男』感想④ | ★F**kin' Perfect★

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徒然なるままに、つらつらと。。。

の続き右矢印やっぱりあちら目線です目


真実の目撃者と薄幸の王子(英真なおき・天寿光希)

生まれた地より離れ、父親は歴史に悪名高い暴君と言われ続けて育ったひとりの青年の元に、

一人の老軍人が訪れた事によりこの物語は始まります。青年の名はライヒシュタット公、ナポレオンの息子。

訪ねてきた男は、かつて父の友人であり信頼していた部下、そして父を裏切った男。


彼は一番男に聞きたかった事を心に秘め、さも旧友に出会ったかのように彼を迎え、そして言います。

「一番父の近くにいた貴方の目からみた父の姿を教えて欲しい」それがこの物語の全て本


マルモンから聞く話は、過度に粉飾された英雄でもなく、母の母国の人達や今自分が手にしている

図書館の蔵書に書かれた悪人でもない、混迷の時代を“嵐のように生きた男”の等身大の話。


自分は生まれてこのかたずっと籠の中の鳥と同じだが、まるで荒鷲のように自分では成しうることの

出来ない“愛”と“理想”にひたむきな生き方は興味深く、何より父として誇らしく思えて

ならなかったのでしょうニコニコ話を聞くナポ2世の、中の人のブラックさ1ミクロも感じさせない笑みww



話は進み、マルモンの言葉の端々から歴史の影を感じ取り、同じく表情を曇らせるナポ2世。

それでも、自分の誕生の話になると面映ゆい表情になるが、ふと父の愛した人の事を想い・・・


ナポ2世は母親の愛を与えられずに育ち快く思っていなかったそうなので、代わりにジョゼに向けて

母親に向ける想いにも似た一種の憧れを抱いていたのだと思います。が、自分の誕生のせいで

追いやられてしまったジョゼは自分の事をどう思っていたのか、ふと不安に駆られたのでしょうショック!

マルモンから「本当に喜んでいた」と聞かされ、彼が言うのだから真実なのだろうとホッとした表情で得意げ


そう、彼が言うなら。最初の頃は緊張もしていたし身構えていた空気のあった二人の間が、この頃になると

すっかりとうち解けています。ひたすら父を「先輩」と親しげに呼ぶ男に対し、父性に似た感情も

抱いていたのかもしれません。だったら、なぜ?とうとう、ナポ2世は一番聞きたかった事を切り出します。

「なぜ父を裏切ったのか?」


そこからのマルモンの語りが変に2世に媚びるのでも、自分を正当化するわけでもない。「陛下に

ついて行くことが最早出来なくなった」と。その言葉、表情、その他全てでナポ2世は悟ったのでしょう。

誰もが正しいと思った事をしただけなのに、誰もが理想を追い求めていただけなのに、と。


「もしも貴方が陛下に会えたら、語り合ったでしょう」かつてのウジェーヌの言葉(ナンバー)が

よほど心に残っているのか、それともナポレオン、ウジェーヌ、ナポ2世の3人の姿が重なって見えたのか。

全く同じナンバーで時を経て父子が同じナンバーで諭されている姿が、、、泣けますしょぼん



最後、まるで憑き物が落ちたかのような晴れ晴れとした表情のナポ2世。マルモンにとっても長年背負った

ナポレオンに対する罪の意識が、ナポレオンの息子によって解き放たれた時でもあります。


まるでその空間だけ空気が澄んでいるかのような、刹那的で壮絶なまでの美しさアップ思えば、彼は

この1年後に父親の元に旅立ってしまうのですよねしょぼん向こうで父と語り合っているのでしょうか?



今回、ストーリーテラーとして物語を進めていくお二人。あくまで物語の舞台は現代の自分たちである事を

主点に置きつつも、本編を邪魔せず、わかりやすく伝えなければならないと言う難しい役どころ。

二人の語り口が耳に心地よく、物語に観客を引きこむのに一役買っていました!!


最初、あまりのビジュアルの違いに紅さん=じゅんこさん(?)状態だったのですが汗

醸し出す雰囲気が同じと言いますか、優しさや表情が歳を重ねても変わらないのだなとグー

最初の出会いのシーン、ほんの一瞬ですが間がある(ように感じられた)のですが、まるで父親と似てないw

ナポ2世ですが、爛々とした目の輝きにナポレオンの姿を観たのかな~なんてチョキ


一方“白軍服が異様に似合ってしまう”人w白軍服姿といい、目の醒めるような金髪といい、それに似合う

肩幅といい(笑)もう、文句なしの王子様(一回ルドルフ観てみたいですね)割と“表情で語る”事が

多かったと思いますが、今までは大芝居気味なてんてんですが今回は抑え気味と言うか。

ちょっとした目の動かし方や表情の作り方に、心情を上手く載せていたと思います音譜

なにより“涙”だからさ~この人の涙には弱いんだってしょぼん



続く右矢印