事業部長や幹部と個別の面談をすることがあります。その際、人事課題のヒアリングをさせてもらいながら、その本人の現在の仕事やキャリアについても話すようにしています。

 

その際にいくつかの切り口で聞くようにしているのですが、質問することで議論が深くなる良い切り口があることがわかりました。

 

 

活躍を加速させる「GCPモデル」というものです。

 

GCPは3つの単語の略で、「Goal、Challenge、Performance」の頭文字です。言い換えるなら「目標、挑戦、成果」です。この3つを面談で質問したり、自分で整理してみるととさらなる活躍のために何を注力すべきかがわかります。

 

■Goal(目標)

 

「今はどんな目標を持っているの?」という質問から始まります。回答自体はここ数ヶ月の業績目標でもいいですし、長期の野望や野心などでも問題ありません。

 

ポイントは燃える目標になっているか。燃えるというのは抽象的ですが、その目標の意味を自分の言葉で語れるかどうかです。何の意味があるかがわかれば、インパクトの大きさや組織貢献の度合いを理解した上で日々の業務に向かうことができます。たとえば営業として1000万円の受注をとる場合、3ヶ月で1000万円がとれれば過去最速の記録となるとか、部署で目安としている一人前の目線を超えられるなどの説明ができて、やり切る気持ちがあれば意味が理解できているということになります。

 

■Challenge(挑戦)

 

「チャレンジしていることはどんなこと?短期でも中長期でもいいよ。」という質問です。

 

ポイントはワクワクしているかどうか。チャレンジというのは、本人にとっては前向きな未体験ゾーンへのアクションです。何かを創り出す、生み出すことにワクワクしていればOK。上記の目標の延長戦にあるすごい成果物を話してくれるケースもあれば、足元の取組とは別なものとして仕込んでいるものを話してくれることもあります。

 

目標も挑戦も、時間軸を聞くようにしています。今は社会や産業の変化が激しいので、短い時間軸で燃える目標を持っていくことも効果的なやり方のひとつだと考えています。たとえば半年ごとのスパンでできる最大限のチャレンジを目指せば、3年でも6つの成果物をつくることができます。

 

短期スパンで物足りなさを感じるようになったら、長期に広げていくことをお勧めしています。数年後にどんなインパクトを生み出せると面白いかということを一緒に議論したり、自分で考えてもらうようにしています。

 

■Performance(成果)

 

「最近の成果にはどのようなものがあるかな?」という質問です。

 

いわゆる業績や成果物のことです。自分自身が認識している成果物がどのようなものがあるかを聞くことで、主体的に生み出したアウトプットを確認することができます。自分で出した物であれば、達成感を感じていたり、何かしらの学びや次の挑戦意欲が湧くなど次のアクションにむけて議論することができます。またその成果物にむけてどのように工夫したのかを聞くと、その人の才能や強みを発見することもできます。

 

注意しているのは、パフォーマンスです。特に高いパフォーマンスを出す経験ある人材や幹部の場合、ゴールとチャレンジを自らアップデートしていく人も多いのですが、仕事に謀殺されていたりするとパフォーマンスだけに盲目的に集中することがあります。パフォーマンスが出ていることはとてもすばらしいことですが、ふと「何をやりたかったんだっけ」などの違和感に感じたりします。

 

ちなみに、「Goal、Challenge、Performance」この3つを常にバランスさせる必要はありません。今がどうなっているか、現状把握で使うのが一番おすすめです。

 

今はパフォーマンス(成果)に集中するという時もありますし、ゼロベースでチャレンジ(挑戦)しているときもあるので、どこかに偏りすぎないように見る切り口として活用できます。たとえばチャレンジする意欲はあるのになかなかチャンスをもらえないという時には、周囲からパフォーマンス(成果)に対する評価が低くて、まだ任せるレベルにないと思われているかもしれません。3つの切り口で自分だったり仲間の状況を見ることで、成長の余白を見つけることができるようになります。

 

社内ヘッドハンターの部署である人材戦略本部では最近、幹部向けのサポートをする「リーダーズエージェント」という役割を新設しました。幹部を中心に面談し、成長や活躍を支援する役割ですがその対話の際に、このGCPモデルを使って現状を教えてもらうようにしています。このGCPモデル自体も、人材戦略本部のみんなが「どうやったら活躍状況をより正確に寄り添って理解できるか」と議論して編み出してくれました。

 

幹部人材や経験ある人材がさらに大きく成長できるように、環境づくりを進めていきます。