先日、社内で会議についてのアンケートをもらいました。「会議の工夫がされているかどうか」という質問でしたが、たくさんの工夫や良いやり方が集まりました。

今回会議のことを聞いたGEPPOでの声は、役員会でいつも読み込んでいます。GEPPOは毎月月初に質問が変わるのですが、だいたい毎月第2、3営業日くらいでその時点で入力されているすべての回答を読ませてもらって、その週の役員会で速報を伝えています。それ以降に入ったものも毎週時間をとって読み込んで、随時役員会に持参しています。

その会議の工夫におけるコメントの中に、「GATで会議やるようにしてます」「GATを大事にしてます」など「GAT」という言葉がたくさん出てきました。

「GAT」というのは、会議の進行やまとめ方の評判の良い人にヒアリングをしてまとめたフレームワークです。新卒のみんなはじめ、入社が短い人は直接聞いたことがない人がいるかもしれませんが、一時期全社的にファシリテーション力を上げようという取り組みをやったことがあり、その時に共有した考えがこのGATです。



成果が出る会議のフレームワーク

「GAT=ゴール、アジェンダ、タイム!」

G ゴール。何ができればOKなのか。
A アジェンダ。議題は明確か。
T タイム。時間を守っているか。


この3つをやっておけば、自然と良い会議につながっていくというものです。

 

■ゴールのポイント「何ができればOKなのか」

ゴールの上手な人は、会議を「依頼する時点から」動きます。会議の前の動きが違うということです。

・なぜその会議をやるのか
・何ができればその会議は成功なのか
・決定をしたいのか、アイデアの数を増やしたいのかなど

ゴールを依頼の時に投げる。

 

参加を依頼された人もそのゴールのためにやることを事前に用意したり、むしろ会議にせずにどんどんチャットなどで進めようなど、進め方についての提案を逆にもらえたりすることもあります。

ゴールや目的が明確ではない会議は、呼ばれる側からすると意味がわからないのでやる気も出ませんし、準備もしようがありません。その場で集まってから始めてゴールを説明するのはあまりに時間の無駄になってしまいます。

会議を設定する人は、参加者の時間を消費するという考え方が大事です。会議に出る分だけ、ほかの仕事ができない、つまり成果が減るということですが、会議をやろうとする人の中には、会議をやること自体が目的化してしまい時間の浪費という点への配慮がないことがあります。会議が上手い人は、「仲間の時間を消費する以上、「意味のある会議だと伝えるのが呼ぶ側の義務だ」と理解して動いてます。

会議は依頼時点で、「何ができればOKなのか」を伝える。

呼ばれる側もどんどんゴールを聞いてもらって、不足があればアドバイスなどをしていただければと思います。

会議の当日にも冒頭に、改めて会議のゴールを伝えましょう。今日集まってくれたお礼を伝えた上で、今日のゴールをホワイトボードなど、みんなが見えるところに書いておくと脱線しても戻れるのでオススメです。

■アジェンダのポイント「議題は明確か」

アジェンダは「議題」の意味です。その会議の時間で、どんな課題項目をどのような順番で話すのかということを伝えることがこのアジェンダの重要な点です。

会議力で評判の良い人に共通することがあります。それは

事前にアジェンダ。

です。

できる人はアジェンダを事前に伝えています。一方で会議の不満が多い部署は、ゴールやアジェンダが不明確というのがほとんどです。仮に事前に渡せない場合でも、会議が始まる一番最初にアジェンダを伝えるだけでも話し合いの事前ということになるので、最低ラインとしてやるのが良いです。

資料もあるなら先に渡す。見る時間があれば、見ておいてくださいというのが呼ばれる側からするととてもありがたい配慮です。

私もメンバーとの面談や、新しいプロジェクトの議論の場合には「事前アジェンダ」を用意して、送るようにしています。その本人に少しでも余裕がある場合、そのアジェンダにそって自分なりの考えをまとめてきてくれたりするので、会議の生産性がものすごくあがります。

 

たとえば社員と面談するときには、下記のようなアジェンダを事前に投げています。

 

今度の面談のアジェンダ

・今のチャレンジ

・中長期のチャレンジ

・質問や相談したいこと

アジェンダはこのように数行でも十分です。このように簡単に単語を並べる程度でも、事前に書き出しておくことでなんとなく頭が働いて考えるようになります。

だからこそゴールとアジェンダは、できるかぎり事前に伝える必要があります。本当は会議を設定したタイミングに投げるのがもっとも良いですが、前日でもいいですし、たとえ30分でも事前に渡した方が参加者は準備ができるので効果が高まります。

■タイムのポイント「時間を守っているか」

このタイムには2つのポイントがあります。

その2つとは、

 

「開始と終了」を守る。

 

です。上手な人は両方とも守っているのですが、「開始時間の遅刻には厳しいけど、終了時間はダラダラと伸びがち」など上司や部署によってはどちらかしかできてないケースがあり、不満がたまりやすくなります。

「待つのも待たせるのもイヤ」

以前、役員会で共有された考え方です。役員だろうと誰だろうと、待つのはイヤ。待たせることも、待ってるみんなの時間が浪費されるという点でイヤ。特に役員とか上司が遅れるというのは、参加しないと議論が先に進まないこともあるので余計によくないという考え方です。

逆に会議力の高い人やチームで評判が良いのは、

予定より早く終わること。

これに尽きます。少しでも早く終われば、その会議の決定事項の動き出しがちょっとでも早くなります。また、次の会議への準備や物理的な移動もスムーズになるので、参加者の精神的余裕も生まれます。

 

ただしもちろん、時間内に議論が終わりそうにない時もあるかもしれませんが、実はここで会議が上手い人とそうでない人がはっきりと分かれる、大事な習慣があります。

5分前になったら、次を決める。

なんてことはない話ですが、残り5分になったら「次について話す」ということです。もちろん5分前ぴったりにやる必要はありませんが、会議力が高い人は終了時間になってから慌てるのではなく、終了時間が来る前に成果を出すための動きをしています。私はこれを「5分前メソッド」と呼んでいます。

「残り時間も少なくなってきたし、今後の進め方どうしようか」

と投げかけて、次回の会議日程を決めたり、宿題を確認したりするなど「アクションにつなげる」のです。明日やるならその場で時間調整したほうが結果的に調整の時間が減るので早いですし、その場で誰かが責任者になって案をまとめるという宿題を役割分担するなどです。とにかく、アクションにつなげることが大事。


残り5分で話がまとまるのは、会議のオーナーが独裁的にに決議する場合くらいです。これはこれで決まって動くので、良し。ただし、みんなでああでもないこうでもないと民主的に議論をしている場合には、残り5分くらいの時点で焦ったところで決まることはほとんどありません。良くない案が決まるか、決まらないか。

自分が会議オーナーではない場合も、「残り5分になりましたし、今後の進め方どうしましょうか」などと投げてもらうことでその時点で冷静になって「次のアクション」に目線を合わせることができるようになります。

本当によくないのは、下記のようなパターンです。

 

・時間がオーバーして、5分ほどのびる

・上司や会議オーナーが時計見て「あ、時間すぎてる!」とあわてる

・次の予定や会議がある人が、あわてて部屋を出ていく

・その議論で何も決まらず、次のアクションも決まってない

・バタバタした結果、全員にその会議自体が忘れ去られる

 

これならやらないほうがよかった、となります・・・これは「会議泥棒」ですね(涙)。

残り5分になったら素直にあきらめて、次のアクションを決める。

 

これくらいでちょうど良いです。


さて最近、私はこのGATに「S」をつけて「ガッツ」と呼んでいます。「S」はスリム(Slim)の意味です。

■スリムのポイント「スリムな会議か」


評判の良い会議は、時間も人数もスリムです。

たとえば会議の設定時間。60分にせず、30分とか15分など短くするのを基本にするなど。アジェンダなら、議題は3つまでを限界とするなど。人数なら、議論では最大8人が限界とするなどです。

上限を決めておく。

「上限」を決めておいて、スリムな状態をキープするという考え方です。

特に大切なのは人数です。あの人も呼びたいとかあの人も呼ばなければ申し訳ない、などの謎の忖度があるとむやみに人数が増えていきますが、人数が増えるごとに会議の生産性は確実に落ちます。理由は簡単で、所要時間の中での一人当たりの発言時間が減り、結果的に発言しない人が増えるからです。

先日、下記のような記事を見つけました。

 

会議の生産性はまだまだ改善できる 
https://www.dhbr.net/articles/-/2977?

‪「不必要な参加者は会議進行の妨げにさえなりかねない。「7人ルール」を忘れないでほしい。参加者が7人を超える毎に、正しく、早く、実行可能な意思決定ができる可能性は10%ずつ低下していく。つまり参加者が16-17人になると、意思決定の有効性はほぼ完全に失われてしまうと言ってよい」‬

たしかに10人くらいになると、議論や意思決定はほぼ成り立たないですね。何よりお互いに気をつかって、率直な意見が出にくくなります。私も以前、9人でやっていた会議が8人や7人になっただけで、こんなに発言が増えるのかと驚いたことがあります。部署やチームで「8人ルール」などの目線を決めておくと、むやみに人数が肥大化することも避けられるのでオススメです。サイバーエージェントの役員会でも、会議は基本的に「8人が限界」と決めています。


成果が出る会議のポイント

「GATS!=Goal, Agenda, Time, Slim!」

G ゴール。何ができればOKなのか。
A アジェンダ。議題は明確か。
T タイム。時間を守っているか。
S スリム。上限があるか。
 

とはいえまずは3つのポイント、GATが大事。

 

ゴール、アジェンダ、タイム!

 

まずはこれを徹底するだけで、会議は本当に良くなります。

 

最近は事業部のみんなから人事に依頼をもらってファシリテーション研修などもやっています。私もGATを徹底して、サイバーエージェントの会議がひとつでも良くなるように動きます!

 

 

会議のオススメ本です。私はこの2冊、いろいろ試して会議力上げました。