『THE TEAM』の著者である、麻野耕司さんと対談させていただきました!
朝渋のイベントということで朝7:30からでしたが、ものすごい盛り上がりでした。朝渋すごい
テーマは、リーダー育成のための決断力。たくさんの話題で議論をしたのですが、特に盛り上がったのが
どうすれば決断力を強くできるのか?
というテーマでした。
そこで紹介したのが、
決断の再生産
という考え方です。これをひとことで言い換えると、
「人の決断を、自分の決断にしてしまう」
ということです。
決断力を上げるのに一番良い方法は、他愛もない話ですが最終責任者になることです。後ろに何もない状態で決断せざるを得ない環境に入ること。新会社をつくって社長になるなどはとてもわかりやすい話ですね。目標設定も事業戦略も最後は自分で決めるしかありません。
ソヤマン(曽山哲人)@SOYAMA「サイバーエージェントは03年来、若手延べ71人に子会社の「社長のイス」を与えてきた。決定権をもたせ、たとえ失敗してもキャリアの傷とはみなさない」原石を逃すな(1)「特進」で任せてみる:日本経済新聞 https://t.co/529ns9OSUi
2019年04月03日 07:26
しかし、社長という肩書がなくても、ものすごく成長している人というのはたくさんいます。それでも組織の中でたとえば部長や課長をやっている方において、ものすごい成長している人もいればそうでない方もいる。そこには何の差があるのか、これまでずっと考えてきました。
あるとき、気づきました。ずっと成長している人は、「人の決断を、自分の決断にしている」のです。
それは、ある幹部が所属するチームを集めて会議をしていたときの話です。その幹部は、上司から受けた厳しい決定事項を、「自分の言葉で」語っていたのです。反発も起こりえるような決定事項を、自分の言葉で語るというのは苦しいこともあるはず。
自分の言葉で語るには、工夫が必要です。頭の中を整理して、自分の言葉に変換する必要があります。こういうことができる人の頭の使い方が気になったので、決断の再生産のプロセスとして要素分解してみました。
まず、上司など他の人から決定事項が伝達されます。「うわー、これは厳しい決定事項だな」と思うかもしれません。
ここでダメなのは「名前の伝言ゲーム」ですね。「上司の〇〇さんがこう言ってたからやれ」みたいな感じです。ちなみにひとつはっきりさせておきたいのは、上司の名前を使うことが悪いわけではありません。意思決定を伝達する際に、誰が決めたのかというのはレポートラインをはっきりさせたりする意味でも必要なことがあります。
大事なことは、「上司のセリフはわかったけど、お前はどう思ってるんだ」というところに向き合えるかどうか。あくまで人からもらった決断に、自分がどう向き合うのかという点が大事な分かれ目になります。
決断の再生産ができる人は、まず「よし、これは自分なりに進めるしかない」と決断します。人の決断を、自分の決断にすると意思決定するのです。決定事項の意図や中身はまだ頭の中で整理できてなくていいので、まずは「自分の決断にする」と決めることが第一歩です。
ここからようやく、頭の中で自分の言葉に変換するプロセスが始まります。
自分の言葉にするには何が必要か。それは、決定事項の意図を理解することです。
最も簡単な方法は、その意思決定を伝達した人に意図を聞くこと。意図を聞くことで、自分の言葉で語ることができる考え方や整理した言葉を持つことができます。まずはここから始めるのが得策です。
しかし注意点があります。何でもかんでも「意図はなんですか」質問ばかりすると、面倒だと思われる可能性があります。意図を聞く質問というのは「意図を話すのはあなたの仕事だ。私は意図は考えない」という受け身の姿勢が強く出ることがあるからです。自分にとって重要な時には、遠慮なく聞けばいい。ただし聞いてばかりだと「私は主体的には考えず、受け身な人です」と伝わることがあるので注意が必要です。
実は、成長が早い人は、簡単には聞きません。聞かないかわりに、やっていることがあります。
決断の再生産が上手な人は、「その場で言い換える」
自分なりに解釈するために、まず「自分でこの決定事項を説明するぞ!」という決断が早い。だからこそ、その伝達事項を聞く時の頭の使い方が変わります。「自分の言葉ならどのように説明するか」ということを同時に考えながら、メモをしたり聞いたりしています。
「要は、こういうことだよね」
これは、サイバーエージェントの役員会でよく使われる言葉です。当社は事業範囲も広いため、特に自分の担当分野ではないところになると、すべての細かいところまでを実際に見たりしているわけではありません。それでも役員としては、自分の部門の現状の業績を棚にあげてでも、会社全体の意思決定に責任があります。そのためには、自分なりに頭の中で「言い換えて」説明できなければなりません。その決定事項を成功させるために追加したほうがいい要素は何か。不満が出た場合にどのように伝えて理解をしてもらうか。こういう整理が必要です。
「要はこういうことだよね」というセリフは、何かニュースを見た時に言い換えても自分の言葉で記事を語れるようになるので良いですし、上司や先輩の意思決定も「要はこういうことだ」といえるようになれば、同僚や部下にも伝達しやすくなります。「要はこういうことだよね」というセリフはその場で言い換えのメソッドとして簡単に使えるので、新入社員にも幹部にもオススメです。
さて決断の再生産に向けて、ここまで2つのステップがありました。
1)自分の決断と決める。「この決断は自分の決断」
2)意図を理解する。「要はこういうことだよね」
これらのステップを踏まえると、「自分の言葉で語る」ことができるようになります。これが3つ目のステップです。
「こういう決定が来たけど、自分はこう考える。だから成功させよう」
シンプルな言葉だと、このようなセリフになります。みなさんがリーダーの場合、これを受け止めるメンバーはリーダーであるあなたの言葉に注目します。普段仕事をしていてチームを引っ張ったりまとめてくれているリーダーは、この決断をどうとらえているのか。どうしたいと思っているのか。きつい時ほど、リーダーである自分の言葉がメンバーに勇気を与えます。
自分の決断にすると決め、意図を理解していると自分の言葉に重みが出ます。仮に議論になるにしても、逃げることなく正面から冷静に議論することができます。
この3つのステップが、決断の再生産の流れです。
「決断の再生産」 3ステップ
1)自分の決断と決める
2)意図を理解する
3)自分の言葉で語る
これを何度も何度も高速でやることで、やってる人とやってない人で差が出ます。やっている人は「自分の言葉」での決断が増えていき、結果そこで得られる学びも自分のものとなっていきます。
私は、人材が育つために最も重要なことは「決断経験」だと考えています。成長している人は、自分がしたと思える決断の量が圧倒的に他の人より多い。そして決断の質も非常に高いものになっていきます。同じ年齢、同じ会社、同じような経歴の2人でも、決断の量と質で大きく市場価値は変わります。
社長の藤田が新入社員へのメッセージで語った「No Pain,No Gain」も、非常に近い意味があります。
「非常に辛い目に合うと、それ以上に辛いことが起きない限りは、それ以下は平気になってくるんですね。要はメンタルが鍛えられているということ。No Pain,No Gainというのは辛い目に合った分強くなり、仕事ができるようになるということです」と藤田が語った通り、自分が決断したかどうかはともあれ大変なことを乗り越えれば、次は平気になる。自分で決めた意思決定が大変でも、それを乗り越えれば平気になるし強くなれる。決断経験の価値というのはそういうことです。
大きな組織でも、小さな組織でも、いきなり自分が最終責任者のトップになることはそうそう多いものではありませんが、「決断の再生産」であれば組織の中でどの位置にいてもできる。これはもちろん新入社員でもあてはまります。当社では新入社員の最初の配属で、少人数のグループ会社や事業部に行くということでもなく、大人数の事業部の中に入ったにも関わらず、強烈な成長をして結果的に経営陣になっているメンバーがたくさんいます。
小規模な部署であろうと大規模な部署であろうと、そういう活躍するメンバーと話をすると「自分の組織をこうしたい」、「チーム全体での勝利を考えています」など、自分の視点だけではなく上司にあたる事業部長などの視点からの発言が出てきます。これはまさに自分なりに決断の再生産をしている証拠。自分なりに意図を解釈して、自分だったらどうするかを考えて行動する。こういう人は視点が高いので応援が集まり、応援が集まるので結果として成果も出やすくなるという「運」ともいえる流れを引き寄せているのです。
決断の再生産は、全員に機会がある。
決断の再生産で、一つでも多くの決断経験を増やしていってもらえればと思います。サイバーエージェントでもどんどん裁量を渡して、責任を任せる環境づくりを進めます!
新R25に対談内容がまとめられてあります。決断経験を自分の学びに変える方法なども触れられています。
渡辺将基(新R25編集長)@mw19830720若い人は絶対読むべき内容。曽山さんもこのテーマはもう語り尽くしたと思いきや、「決断の再生産」という新しいワードが出てきた。 視点は自分より“2つ上”を意識。リーダー志望の若手が積むべき「決断経験」とは?|新R25(… https://t.co/hOlFYSzCnv
2019年04月04日 10:06
対談をイラストで議事録まとめしてくださった方がいらっしゃって、これもすごくうれしかったです!グラレコってすごいですね。
https://twitter.com/nono_spgr/status/1112865636915400704
https://twitter.com/onpaperkobe/status/1112865395612909570
https://twitter.com/milkprincess17/status/1112871256724926464
さて、この「決断の再生産」という言葉ですが、ソーシャルでたくさんの反響がありました。麻野さんはじめ、たくさんの方がシェアしてくれたのが嬉しかったです。
麻野耕司 / 「THE TEAM」Amazon書籍総合1位@asanokoji経営や上司の決断を自分の決断のように捉える「決断の再生産」というコンセプトはここ最近聞いた話の中で一番響いた。 自分の決断として伝えることにより、他人の決断の背景を真剣に考えるようになる。自分も周囲も本気で動く。 チームにも自… https://t.co/chZNfUAbnD
2019年04月02日 15:51
namiko@namiko88021リーダーじゃない人は、リーダーの決断に対して、なぜその意思決定になったのか自分で意味付けしたり、そのプロセスに至った理由を自分で考えてみることが大事な気がする。 リーダーシップはリーダーが持つべきものではなく、一人一人が持つべきもの。 決断の再生産が自分を成長させる #朝渋
2019年04月02日 08:07
原田 光 | ノビトワークス@harada_se「決断の再生産」メチャクチャ大事。 自分自身もハッとさせられた。 ここを突き詰めていかないと結局、本当の意味で自分ごととして仕事をこなしていけない。 https://t.co/1btqALTkhS
2019年04月04日 15:08
麻野さん、朝渋の井上さん、素晴らしい機会をありがとうございました!
今回のイベントの題材となった「THE TEAM」は本当にオススメ。すごい決断が生まれる事例として、サイバーエージェントの「あした会議」も紹介されています。強いチームを作るための考え方やポイントがまとめられており、自分のチームにあてはめて考えられる本です。
ツイッターで学びメモを書いてみました。
ソヤマン(曽山哲人)@SOYAMAチームには目的が必要。共通の目的がない集団はチームではなくグループでしかない。 #THETEAM
2019年04月07日 10:34
THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)
私もますます挑戦して、決断経験を増やしていきます!