権限移譲には3ステップある | デキタン(できるヤツ探求アメブロ)

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ソヤマン(サイバーエージェント人事統括・曽山哲人)のブログです。

リーダーやマネージャーと話していると時々話題にあがるのが、どのように権限移譲をすればよいかという悩みです。

 

権限移譲はしたいけれど、失敗されると困る。

 

こういう葛藤の往復のもと、結局は不安が強くなってなかなか任せることができず結果的には自分で抱え込んでしまって、苦しい状況になってしまう。私自身にも同じような経験があり、苦労しました。

 

権限移譲や抜擢が上手なリーダーを見ていると、権限移譲には3つのステップがあることがわかりました。

 

 

権限移譲の3ステップは、「やる、見る、任せる」。

 

 

1)やる。

 

まずは自分自身が模範となってやる。どのようにやるのかを見せるということです。組織の立ち上がりの時や、新しいものを取り組むとき、または緊急時など一気に立ち上げる時にはこの「やる」フェーズに徹底的に時間をかけていきます。背中で見せるステップです。

 

2)見る。

 

自分は手をほとんどかけずに、「見る」。手をほとんどかけない分、進捗の報告を定期的に受けたり、順調に物事が進んでいるかを観察するというものです。

 

権限移譲で一番見逃されがちなのは実はこの「見る」ステップで、経験の浅いリーダーが権限移譲しようとすると、この「見る」ステップを飛ばしてできるかぎり関与しない次のステップである「任せる」段階に飛んでいくので、不安が募ったり、失敗が起きてから自分の権限移譲のミスに気付いたりします。そうならないように報告や相談のタイミングを事前に決めておき、「見る」タイミングをわかっておくというもの効果的です。

 

参考:『好感が持てるホウレンソウ』

http://ameblo.jp/dekitan/entry-10860605352.html

 

3)任せる。

 

ほとんど全てのプロセスを任せており、確認するのは「目標と成果」の2つくらいです。任せるフェーズになると、任せる側と受ける側双方での信頼関係が出来上がっており、進捗を軽く報告していくだけで物事が前に進んでいきます。仮に進捗が悪い時には、すぐに時間をかけて議論するなど、「進め方はどうでもよく、成果を出すことに集中できている」関係性になると受ける側自身も仕事が進めやすく、仕事をお願いする側もかける時間は最小限でよくなります。

 

 

この3つのステップによって出せる成果インパクトを数字に例えると、

 

やる   1人分

見る   10人分

任せる 100人分

 

くらいのインパクトの差があると感じています。

 

「やる」ばかりのリーダーは、一人としてはすごいけど成果量がなかなか大きくなりません。実はこのワナはリーダーだけでなく人事などの本社機能にもあるもので、「それやりますよ!」と一瞬聞こえの良い言葉で預かるものの、なんでも預かろうとして結果的にスピードが遅くなったり、忘れてしまったりということがあります。

 

「やるやる詐欺」にならないように、メンバーや自分がサポートする事業部門がどんどん自分たちで決めて進められるようにするのも、より大きな成果を出すために必要なことです。

 

一方、「任せる」ステップにしているつもりのリーダーも成果が出ていなければメンバーから信頼が得られません。成果がなかなか出ない時には、自らの「やる」ステップが必ず必要です。こう動けば成果が出るんだということを自ら見せること。状況が難局であればあるほど、自分の「やる」を見せて、次に「見る」フェーズを少しづつ増やす。

 

この3ステップは同じ組織において行ったり来たりするのが特徴です。一度任せるフェーズにいけばあとは何もしなくてもよいということではなく、新しい目標を掲げたりする場合にはそれまで「任せる」リーダーから、「やる」リーダーに自らを変化させることが求められます。

 

私の場合は人事の中でもいくつかの部門を見ているので、部門によって「やる、見る、任せる」の関与度を分けています。現状は立ち上げ中の事業人事部における「やる」を増やし、他の部門は「見る」や「任せる」ステップでそれぞれの幹部と目標を共有しています。

 

成果量が最大になるように、人事部門全体でも自分自身でも「やる、見る、任せる」を定期的に棚卸していきます。