当社では部署内の異動だけでなく、異動公募制度の「キャリチャレ(キャリアチャレンジ制度)」、社内ヘッドハンター「キャリアエージェント」など、複数の異動の手段があります。

自ら手をあげる異動だけではなく、打診されたりする異動ももちろんあります。私自身も人事への異動も異動辞令を受けて実現したものです。

どちらのパターンの異動だとしても、大いに活躍する人する人がいます。ちょうど先日実施した人事メンバーとのミーティングで、異動したあとに活躍する人について議論することがあったのでその議論も踏まえて、整理してみました。



■異動で活躍する人のポイント


1)異動を「成長のチャンスだと定義」する

一言で言うと、自分のキャリアに対する「意味づけ」です。今回の異動を自分にとって意味があるんだと自覚するということです。自分から手を挙げた異動であれば「自分で決めたんだから」と思えますし、打診や辞令を受けたものでも「わざわざ声をかけてくれたのだから、これはチャンスだ(もしくはチャンスになるはずだ)」と思う。このように異動自体を自分の人生に対して「意味がある」と意識することで、異動初日からの動き方や姿勢が変わります。

2)異動先での「野心を持つ」

異動で成功する人は、できるできないを別にして異動したあとの野望が大きいです。「こういう成果を出すぞ」「こういうことをなしとげてやる」などのような思いなどがそれにあたります。役割変更や異動などの環境変化は自分にとってリセットできるチャンスなので、思い切ってリスクある野望を掲げてみる。ただし、大きな野望を持つ場合にはひとつ注意が必要です。それは野望を聞いてもらえる信頼関係を創ること。野望だけが空回りすることもあるので、すべては新しい部署の上司や同僚と信頼関係を築いてから。良い関係を創りながら、野望にもチャレンジしていくと成長が加速します。

3)「初動サプライズ」を狙う

初動サプライズというのは社内で使われている言葉で、異動してすぐに受け入れてくれた部署メンバーにポジティブな意味の驚きを生み出すというものです。「初速すごくいいですね!」などと受け入れ部署の上司から褒められればまさにそれが初動サプライズ。特に大事なのは初日、そして最初の一週間。一週間もすると組織の雰囲気がつかめるとともに、自分の仕事の慣れもすこしづつ生まれてきます。この時点で周囲から良い動き、もしくは成果だと認めてもらえると信頼関係が生まれ、周りからの配慮や応援が増えてきます。大きくいうと「仕事ぶり」ということになりますが、普段の業務でポジティブサプライズを狙って成果を出すことだけでなく、日報などでの発信などでも初動サプライズは狙うことができます。

4)「ゼロリセットする」と決める

これはまるで初めて仕事をする新卒一年目のような気持ちで仕事に取り組む、と決めて仕事にとりかかることです。経験を持っている人の成長を阻害するのはこれまでの自分の経験であることが多く、大小関係なくそれまでに得た成功体験が新しいチャレンジをすることを止めようとしがちです。自分が傷つくことがない安心できるエリアで仕事したり活動することを「コンフォートゾーンに入っている」という表現を使うことがありますが、異動元でのコンフォートゾーンのまま仕事をしてしまうと、新しい部署でのスピード感や勢いに乗れずにもがくことがあります。そこでゼロリセットで仕事に臨む、と決めることで一歩踏み出しやすくなり、結果的に周囲の環境や新しい知識を吸収することができるようになります。


異動する本人だけでなく受け入れ部署でも、上記を意識してサポートしてあげると異動してからのスタートダッシュが早くなります。

異動というのは本人にとっても受け入れ部署にとっても、新しい変化が起きるものなので成長のチャンスである一方コミュニケーションのずれが起きることもあるなど、効果性が高さと難易度が高さが同居しているものです。

異動がスムーズだとそれだけ本人の立ち上がりも早く、結果的に組織の成果も出やすくなります。受け入れ側の部署に特に力を借りることになりますが、異動というのは本人の意識と同時に受け入れ側の上司の力量でも大きくパフォーマンスが変わります。結果的にはそれが風土や文化となり、組織文化としてつみあがっていきます。

事業人事部としても、よりスムーズな異動ができるように取り組んでいきます。