先日はグロービス経営大学院にて、講演の機会をいただきました。

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リーダー育成に関する議論ということで、グロービス経営大学院研究科長の田久保さんにお誘いいただきました。東京だけでなく、大阪や名古屋、仙台などにも同時中継され、合計約400名の方にご参加いただいたとのことです。

取締役の卜部と、執行役員の横山にも同席してもらいました。二人のおかげでリアリティのある話ができて、私自身もたくさんの学びがありました。

田久保さんからは「サイバーエージェントは、現在日本で最もリーダー育成がされている会社のひとつだ」とご紹介いただきました

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その中で私がお話しさせていただいた、人材育成で大事にしているポイント。


1)環境が人を育てる
2)決断経験を増やす
3)セカンドチャンスを提供する。


この3つの概念をぐるぐる回すことが、サイバーエージェントの人材育成において重要視していることです。

自らの意志で動くことができる環境がまずは必要。しかし環境があって管理職などになっても、主体的に決断する量と質が少ないと結局は大きな成果も生み出せないし、成長もしない。これは大企業の中であろうと、ベンチャーの経営者であろうと同じです。

そしてセカンドチャンス。いろんな会社の経営者や人事の方とお話していると、実はもっともうらやましがられるのがここです。まず大前提として、成果を出した人こそがさらに大きな仕事がもらえること自体は間違いありません。「失敗してない人は、挑戦していない人」という考え方がありますが、大きな成果を生み出している人はその分だけ大きなチャレンジをしています。

チャレンジするということは、リスクがあるということ。だから、成功する可能性がある一方で失敗の可能性もあります。ここで人の気持ちはどちらかというと「失敗したくない」という気持ちが働きがちです。特に大きな失敗経験がない人や、仕事の経験がない人ほどそういう気持ちになるものです。私も社会人なりたてのころは失敗もしたくないし、怒られたり恥をかくことも恐れていました。

「挑戦への意欲」よりも「失敗の慣性」のほうが、強いのです。

こうして失敗をおそれるあまり、「何も挑戦しない」状態に近づいていきます。時には挑戦している人を見て、揶揄したり批判したりする方向にも向かう時があります。

その気持ちを乗り越えて、挑戦を続けると新しい学びが増えます。その挑戦が成功すると、自分に対する信頼が高まりより大きな挑戦ができるようになります。また失敗したとしても、セカンドチャンスを提供する環境があれば、次の挑戦でその学びを活かすことができます。


人材育成において、最も危惧すべきことは「挑戦しなくなること」です。だからこそサイバーエージェントでは大きな仕事を任して、自分なりの学びを持ってもらえるような環境を増やしています。

「どのような挑戦をすれば、良い経営者になれるのか」というほど簡単ではないのが人材育成の難しさと醍醐味があるところ。何かの真似事をして経営者が育つわけではなく、実際のリーダー経験や経営経験を通じて自分の価値観や周囲の環境を織り交ぜて、学んでいく。そういうものだと思っています。


リーダー育成というものは前任の経営者のコピーを増やすものではなく、その個人がさらに大きな成果を出せるような自分なりのリーダー論を持てるように支援していくもの。


たくさんの気づきがあったパネルディスカッションでした。


そのあとは打ち上げ。成長しつづける企業についての議論やリーダー育成についてもりあがりました。

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このお食事でも話題にあがった田久保さんの書籍。300年以上続く会社がこれだけあることと、それを体系的にまとめられた非常に学びの多い、面白い本です。

創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか/東洋経済新報社


これからもたくさんのチャレンジャーが生まれるような環境づくりを進めていきます。