4時間超えオールスタンディング(ももクロ出番最後半)&ももクロは例年、曲数少なめ。というのが許容できれば、黒フェスは大箱ライブハウス規模でももクロを見れる、今や貴重なイベントだ。
オルスタは「皆がちょっとずつ嫌な思いを支払って良い思いをする」場所になる。支払いはなるべく少なく済ませたいし、良い思いはたくさん受け取りたいのだが、ステージ前に近づくほど人が密集していて苦痛を受ける可能性が高くなるので、良いものを得ようとするほど支払いも膨れる可能性があり、ギャンブルみたいなところがある。
ただ「嫌」と感じる尺度が人によってまちまちだから、嫌な思いメーターが鈍感で、良い思いメーターの感度が高い人は最強だ。長時間立ちっぱなしだし、隣の人とは密着するので、必然的に体格の良さ=オルスタでの強さ、という弱肉強食の世界でもある。
そんな戦場に、毎年ステージに近づけるという餌に釣られてやってきてしまう自分は、前向きで安定した精神も体格の良さも持っていない。少しでも嫌な思いが小さく済むよう、臨機応変な位置取りが必要なので、どう動くかのシミュレーションをしている開場前がプレッシャーのピークだった。
建物に入ってからライブホールへの導線中で、ほぼ自動的にドリンク代分の飲み物がもらえる親切設計になっていたが、自分のバッグにはすでにペットボトルが2本ある。整理番号順に次々と後ろの人が入場してくるので、歩みを止めて考える時間が無く、必要無さそうなもう1本を反射でもらってしまった。毎年、全ての記憶を無くして、このシステムに驚いてとっさに水1本をもらっている気がする。
満タンのペットボトル3本はダンベル小くらいの重量で足に負荷がかかる。足が棒になるイベントなのは分かっているので、今日は尿意のことは忘れて惜しみなく水を飲み重量を消す必要がある。
ライブホールの中にはステージと平行に、等間隔に柵が配置してある。最前の柵と前から2本目の柵の間のスペースが、ステージを近くで見たい人たちみんなが入りたい場所だ。
中に入ると↓赤斜線の箇所がすでに人で埋まっていた。あまり冒険をしないで楽しむのであれば、やや密度が低くなる2本目の柵前に行ってステージ前の混み合いを避けるのだが、久しぶりの声出し黒フェスだし、嫌な思いの支払いが多くなったとしても近くで見たい。不安を抱えながらも前方の人の群れの後ろについた。
↓図のような、柵についているちょっとしたでっぱりの効果か、前方でも意外と人の密度が薄くなるポイントがあり視界は良好だった。
あとは演者が入れ替わるのと同期して客が入れ替わる時、変な位置に流れないよう気をつければいいだけだ。つまり、ももクロ登場まで気が休まらない。
各出演者、1曲しかやらなかったり、5~6曲くらいやってくれたり、ホントにまちまちで、ももクロは2017年だけ6曲で、あとは4曲~5曲といういつも曲数少なめなセトリで登場する。
出演者たちは次の順番で登場した。
THE冠
超ときめき♡宣伝部
丘みどり
LiLiCo
nobodyknows+
OCTPATH
華原朋美
ももいろクローバーZ
ペレ草田
松崎しげる
事前にこの順番を知ることはできないが、例年ももクロはだいたい最後半に登場するので、その予想だけは立てられる。
室内でクーラーが効いているとはいえ、人が塊になっているので、風通しが悪くなかなかに暑かったのと、ダンベル水を少しでも軽くしたかったので、nobodyknows+が終わったあたりで水1本消費に成功していた。
OCTPATHが出演者中、最多曲数の8曲をやった。披露される曲数への期待が膨らむが、彼らの尋常じゃない汗の量を見て負荷が高い要求であることに気づき考えるのをやめた。男性アイドルは、曲中で決め顔などがあると「キャー!」の声が上がるのが新鮮だ。女性アイドルだとここが「フー!」になりそう。「キャー!」の方が身体が緊急事態と認識し、心拍数が上がる感じがいい。
黒フェスは進行MCの人がいて、その人が今歌った出演者のインタビューや告知情報などを教えてくれる時間がある。「フェス」と名がついたイベントだが、その時間は音楽番組のような作りになっている。
ダンベル水を抱えた状態で長時間立っているのもあり、MCはなるべく素早く短めに進んで欲しい気持ちもあるが、この時間がたっぷりあるおかげで意外と面白く話が転ぶこともあるので、頭に湧いてくる文句を噛み殺しながら静かに話を聞いている。
(今年は夏菜子ちゃんが親知らずを抜いたという知らない話が急に出てきた)
華原朋美さんも、そのMC時間、進行役に促されて自分のイベントの告知をしていたが、この日は客がほぼももクロ目当てなことを誰よりも理解しており「まぁでも私、ももクロじゃないんで!みんな来ません!」と言い始めて止まらなくなってしまった。
自虐なのか、客への苦言なのか判断できず苦笑いの顔をして聞いていたが、それを受けてなのか、ペンラを持ち出すモノノフが増えていったので、おいおい朋ちゃんに対して臨戦態勢か?と思ったら、次はももクロが出てくるらしいと気づいた。実は朋ちゃんなりの次の出演者に向けて、煽りだったのかも知れない。ありがとうと思いながら自分もペンラのスイッチを入れた。
セトリ
- ロードショー
- 黒い週末
- モノノフニッポン
- TDF
- 走れ
朋ちゃんが去った後、一旦たいめいけんの茂木シェフが登場してCMタイムになりずっこけたが、その後本当にももクロ登場。ここまで緊張しながら位置取りに気を遣っていたが、最終的にステージへの視界が開けている状態でこの時を迎えられた(気が強くぐいぐい押してくる人は隣にいた)。私がももクロちゃんを見れる嬉しさより、ももクロちゃんが私の顔を見てくれる喜びが強い。私はここにいます。
事前に歴代の黒フェスのセトリをチェックしていたので、近年黒い週末が登場しすぎにより、何かしら変化球があるんじゃないかと思ってたが、変化球は黒い週末ではなく、ロードショーとThe Diamond Fourの選曲だった。
先日こちらのブログ記事でも書いた、自分が大遅刻して最後の「走れ」しか聞けなかった「2019年のロッキン」のセトリが「ロードショーとThe Diamond Fourを両方やる」セトリだった。
2019年は5thアルバム「MOMOIRO CLOVER Z」の発売年で、ももクロが参加した各種フェスのセトリは、ほぼほぼこのアルバム曲が選曲されている。しかし、アルバムの2大スター曲と言えるロードショーとThe Diamond Fourを両方披露したのは、ロッキンだけだ。
私はロッキンでこの2曲セットが聞けなかった悔しさから、2019年はその後、事前に参加表明されているフェスには全て参加したので、その後2度とこの2曲同時セトリが無かったのをよく覚えている。
それが、4年後に、黒フェスという曲数少ない上に何が飛び出るか分からないフェスで突然実現されたので、その事実に気づいて嬉しさで震えたのは、ライブも終わって帰りの電車の中だった。
2023年は新曲の「MONONOFU NIPPON」と「Re:volution」の同時披露がロッキンだけとなりつつあるので、知らないどこかであの時の自分のような悔しさを抱えた人間が生まれて、2023年フェス全通を決めているかもしれない(でも15周年ツアーで両方聞けるよな)
思わぬThe Diamond Fourにより、4曲で終了が多い黒フェスが、ラスト走れが入り5曲で終了。
その後、MCによるももクロインタビューで、散々モノノフニッポンが布袋寅泰さんコラボだと話をした後に、シークレットゲスト枠として布袋さんのものまね芸人ペレ草田さんが登場。「サラバ、愛しき悲しみたちよ」をやったのでももクロちゃんが再登場してくれた。
この流れがあるからシークレットだったのかな。と思ったが、ももクロちゃんたち、サラバが始まってから急いで舞台袖に集まってきたのが見えたし、ステージに出てもどう動くか探り探りな感じだったので、ももクロに対してまでシークレットだったのかよく分からなかった。
ももクロ登場の時間を経て、水が一気に消費され、ペットボトルの水はほとんど無くなっていたが、体力も一緒に消えて、足が今にも割れそうで震えながら愛のメモリーを聴き切ってイベント終了。
今年は開場が20分ほど押したので、終演がもっと遅くなるかと不安だったが、終わった後に投稿された舞台裏の写真に「音止め厳守!22:00」と書かれているのを見て、今後の黒フェスに向けて安心感が増えた。
黒フェスアルバム-3#LiLiCo #黒フェスバンド #ももいろクローバーz pic.twitter.com/GMWKcOeIhJ
— 松崎しげる (@shigeru_mats) September 6, 2023
帰りの電車でやっと座れて足を休めながら、来年で黒フェス10回目という話を振り返り、今年73歳の松崎さんがいつまで黒フェスを続けてくれるのかと考えていた。来年も、今の足の辛さなど全て忘れて、またチケットに飛びつけるような状況であってほしい。