オレは座ったアラタさんにいろんな『ゴメン』を口にした。

「アラタさん…よく聞いてね、
まず一つ目。大学に寝泊まりするようなことをさせてゴメンなさい。

二つ目…オレが不甲斐ないばかりに、怒らせてしまってゴメンなさい。

三つ目…怒らせるような勘違いをさせてゴメンなさい。

四つ目、『浮気』なんて言葉を口にさせてゴメンなさい。

五つ目…オレがアラタさんを好きでゴメンなさい…」

5つの謝罪… 中でも一番大きいのは
オレがアラタさんを好きなこと。
それが根底にあるから、アラタさんに嫌な思いをさせてしまった…

だから、一つだけ絞って謝れというなら
間違いなくそれだ。

「好きだから謝るのか?」

そこがポイントなのか?と確認してくるアラタさん。

「はい、全てはオレがアラタさんを好きだからで…だから、オレの行動にアラタさんも落ち着かなくなるんだろうなって…。
ほら、ずっと好きを言い続けると、自分もなのかなって思い込む人居るでしょ?アラタさんも…もしかしたら、本当は好きじゃないのに…
オレのせいで思い込んでるのかもって…」

「なら、聞こうか…。あの男は誰だ。お前が俺の気持ちを疑うのであれば、それを言うのは容易いだろ?ほら…説明しろよ、真行寺」

そうだね…
もう何もかも考える必要が無いのであれば…

「あの人はね…ある出版社の社長なんだ」

「出版社?それはお前が載っていた雑誌のか?」

なんで知ってるの?あれはほんとに、あれきりの仕事だった…。それにとても小さいもの…

「なんで知ってるの?」

「それはどうでもいい。兎に角、その社長なのか?お前はずっとあいつと繋がっていたのか?」

「違う!その雑誌は、母さんからの依頼だったんだ。どうしても休んだモデルの代わりが見つからないって…だから、代わりに仕事をしてくれないかって…断ったんだけど、オレの写真を見た依頼主が気に入ったとかで…結局することになって…」

「そう言えば、お前の母親は出版社務めだったな…」