約二週間ぶりに帰った部屋は、
もう人の温もりを消していた。

「…真行寺」

テーブルには俺が書いたメモ

『しばらく、大学に泊まる。好きにしろ』

そしてその横に…

『オレを信じて…でも…ごめん』

その『ごめん』は何に対してなのか…
俺にあの場をみられたから?
俺が家を空けることになったから?

それとも…俺に愛想をつかしたから…
ーーーーー
"プルルル"

携帯をかけてみるが、反応はなし。

いつから部屋を出た?
全ては俺の勘違いが招いたことだが、
もう手遅れなんだろうか…
こんな風になるはずじゃなかった。
家を空ければ、あいつなら大学にやってきて

『アラタさん、ごめんなさいっす!』

そう、リセットしに来るものだと…勝手に思っていた。
真行寺にも思いはあるのに…言い訳だってあっただろうに…

全ては俺の身勝手な考え…。
それがスレ違いを生んでしまった。

後悔先に立たず…

崎にあれほど、忠告したのに…
俺は同じ轍を踏んでしまったことに、今更ながら気付くことになった。

真行寺…もう間に合わないのか…

ここに来て、崎があの日…苦しみながらスヌーカー勝負をした気持ちを俺は身をもって知った…