「三洲くん」

俺を呼び止めたのは、あの日真行寺を診察してくれた先生だった。

「お疲れ様です」

「ほんと、キミはブレないねぇ。彼以外はみんな同じか…。まぁ、いい。えっと、その真行寺君だけど、そろそろ退院と思ってるんだ。でもリハビリはして貰いたいんだよね。近くの病院に紹介状を書いてあげたいんだけど…キミはシェアしてるんだよね?キミが決めるかい?それとも…」

俺が決めたとして、真行寺がそこに行ける時間があるか…

「いえ、本人に聞いてください。学校帰りに寄るとなると…ちょっと悩むところもあるので」

「そうか、そうだね…じゃ、本人に尋ねるとするよ。では…ホープくん、頑張れよ!」

時々言われるそれ。
ホープって…俺は別に外科医でもないし、内科医でもない…大袈裟なんだよ…

背中をバンと叩き、先生は次の場所に向かった。
しかし、通院か…
きっと大学の近くを選ぶことになるんだろう…
相談されれば受けるが…最近のおかしな行動が俺の天の邪鬼を発動させそうで…
まともなアドバイスが出来るだろうか…

それほどまで、あの二人が頭の中でチラチラとし、俺の気持ちを逆撫でしていた。