最近のルーティーンは、日課を終わらせた後に病室に寄ること。

「真行寺…」

ドアがオープンになっている4人部屋…
何故オープンになっているかと言うと

『病室にいるだけで、なんかスッゲ病人になった気にならない?それならさ、カーテン取っ払ってさ…わいわいとやろうよ…俺たち外科だしさ…少しでも明るく過ごそう!』

そう、患者たちに勧めたらしい。
それにみんなが同意し…この部屋だけは、まるで合宿所なのか?というくらい、賑やかだ。
だが、覗いても真行寺の姿はなく…

「あ、三洲先生!真行寺くんなら、多分談話コーナーですよ。最近よく行ってます…誰かと会ってるみたいで」

「そう、ありがとう」

特に毎日顔を見る必要はない…。だが、偶然にも隣の建物な訳で…だから、一声…
そう思って寄っていた。 
だが、誰かと会っていたことなど全く知らず…

それが誰なのか…と、こっそり談話コーナーを覗くことにした。

ーーーーー
「あははは」

楽しそうに笑う声…それは紛れもなく真行寺のもの。
そんなに楽しそうに笑っているのを俺は見たことがない…
いや、笑っていない訳じゃなくて…
大声で笑うところを見たことがない。
それが、曲がり角まで聞こえてくる。
そんなに楽しく誰と喋っているんだ…

その相手を確認しようとしたが、真行寺の影に隠れてよく見えず…
俺はその日、真行寺に声をかけることなく
家に帰った。