この時に…ちゃんと気づいてさえいれば…
ーーーーー
「真行寺…どうしたんだ?」
駒澤に連れられて帰って来た真行寺。
「や、何でもないっす」
「おい、三洲さんにちゃんと説明しろよ真行寺!」
駒澤に注意され渋々俺を見る。
「で、どうしたんだ?」
再度、同じく言葉を口にする俺。
「あ、あの…部活っていうか、その…」
「こいつ、大学の先輩に物申したんす。実は今日、うちの学校と合同練習があったんすけど…そのときに、ちょっとありまして…。
大したことないものだったんすけど、真行寺の先輩があまりにも理不尽なことばかり言うもんで…そしたらコイツ…」
「だって仕方ねぇだろ!いつまでもさ、子供みたいに『挨拶もらってねぇ』だ、『ここはうちの学校だ』とか…情けねぇじゃん…だから言ったんすよ…『そんなとこ言ってないで、自分から挨拶すれば良いんじゃないんですか?』って…」
「そしたら…その先輩…『生意気な!』って…真行寺の膝を蹴ったんすよ…」
「膝を?で、病院には行ったのか?」
「頑として、大丈夫だって言い張って…最後まで部活やったんす…コイツ」
「だって、悔しいじゃん!」
「で…帰りに冷やして、テーピングして…病院には行かないの一点張りで…」
「見せてみろ!」
それはかなり腫れていて時間も経ったせいか、少し色も変わった来ていた…
「バカだろ!ほら、行くぞ!俺の大学の病院は時間外もあるから!駒澤、すまなかったな…ありがとう」
「いえ、じゃ…ちゃんと診てもらえよ、真行寺」
駒澤を玄関で見送った後、
リビングの椅子をそこまで持ってきて
真行寺を座らせ、タクシーを呼び…俺は病院に行く準備をした。