「おはよう、真行寺くん」
朝の挨拶をしながら入ってきたのは、
白神先生だった。
「おはようございます」
「あのね…そろそろ退院を…と思ってるんだけど、その前にほんとに全身に異常がないか写真を撮りたいんだ。今日やってしまいたいんだけど…どうかな…内臓じゃないから、造影剤も使わないし」
「構いません…。そっか…退院…」
「なら、予定は14時ってことで。後から看護師が来るからね」
オレはその日に覚悟を決めなければならなくなった…
ーーーーー
検査を終え、写真を確認した先生が部屋にやってきた。
「真行寺くん。申し訳ないけど… 」
そしてオレは、想像通りの結果を聞かされた…
ーーーーー
「寝てるのか?」
ノックしたんだろうけど、オレの耳には聞こえなくて…
「三洲先輩…」
不安げに部屋に入ってきたのは…
オレとルームシェアをしている人だった。
「どうした…気分が悪いのか?」
ベッドに潜っていたオレを見たからだろう、そう心配する。
「いえ…大丈夫です…」
「なんだ、泣いてたのか?泣き虫小僧くん」
赤い目を見て、ふざけながらそんな言葉を言うぶっきらぼうな人。
「泣いてないです…」
悔しくて…つい、そんなことを言ってしまう。
「まぁ、泣きたいときに泣けば良いさ…」
そう言って、オレの頭をポンポンと優しく触れた。
思わず流れる涙…
「ほんと、泣き虫だな…真行寺は…」
「ごめんなさい…でも…」
「ほら…」
そう言って、オレを抱きしめ…
「誰も見てないから…俺も見てない…だから、思い切り泣けよ」
ばあちゃん以外に言われたことのない慰め…。そんな大きな優しさで包んでくれた。
「うぅっ…ふぐぅっ…」
オレよりも断然細いその人の胸は、とても温かくて…慈愛に満ちていた。