場所はギイが用意した。

言わなきゃ良かったのに、あのときに
「ケーキ代は今度行った時に飯奢ってやるからそれでチャラだ」
とか言うから‥


ケーキ代の何倍払うんだろ‥
でも楽しみにしてるようだからお任せするけどね(笑)


予約してたのは古民家温泉付きのお店。
外から見たら完全に豪農の家だ。
庭は広いし花木も素晴らしい。
ダイヤモンドリリー
『また会う日を楽しみに』
サフラン『歓喜』
リンドウ
『悲しんでいるあなたを愛する』『正義』
なでしこ『純粋な愛情』『貞節』
コスモス『調和』『乙女の純真』
彼岸花『情熱』『独立』『再会』
金木犀 『謙遜』『気高い人』『真実』
パッと見ただけでもこのくらいはある。
そして‥鯉まで
美しい日本庭園がそこにあった‥

※イメージです。ちなみにこの写真は富山にある農豪です。温泉も宿泊施設もついてません、悪しからず。

「ホントにギイってお店選びにセンスがあるなぁ」ボソッと言った言葉が耳に入ったのか
ギイが満面の笑みを浮かべて、肩を抱き寄せてくれる。
暫く庭を歩いていたら
「なぁ、ここの花ってタクミのことを表してるよな。秋の花の花言葉って綺麗なものが多いんだな‥」
そう全部その花の前に看板があり、名前と花言葉をセットに書いてある。
「そうかなぁ、ぼくにはギイのことのようにも見えるけど。」
特に金木犀なんて香りもそうだけど『気高い人』なんて、ホントにピッタリだと思うんだ。
昔からぼくは金木犀の香りが大好きだ。
何て言うか、癒される?みたいな。
あー、ギイの匂いってやっぱり花の香りだ。
だからホッとするんだなぁ。
その場所にちゃんと帰ってこれて良かった!
その場所がちゃんと空いてて、空けてくれてて良かった‥
二人で夕焼けを背に玄関に入ると
みんながぼくたちを待っていた‥