確かに、井上さんだ‥


あんまり覚えてないけど、あの階段の出来事の時に見た顔のように思える‥
何しろぼくって顔を覚えるの苦手なんだよね‥

「‥そーだな‥、おっあそこに居るの島田御大じゃないか?」

ぼくたち三人は
テントから歩いてくる島田先生を見つけた。
10年経って、更に温かみのある人になってる‥‥


「やぁ、元気にしてたかい」


「「「はい!」」」


「御大、その節は申し訳ありませんでした!」

ギイはあの文化祭のことを言ってるんだろう‥
でもあれはギイだけが悪い訳じゃない‥

確かに文化祭の間、部屋から出ないようにと通達はあったけど、エリコちゃんを探すように島岡さんからヘルプがあったのも事実だ‥
そこに朝比奈くんのイレギュラー‥
あれさえなければ、ちゃんと皆に説明して挨拶も出来たんじゃないかって皆悔しがってた‥

「あれは、君のせいじゃないから‥
それにもう終わったことだ。
元から卒業は予定に無かったからね‥‥
まぁ、私としては卒業まで居させてやりたかったが‥‥君のお父さんもなかなか折れなくてね‥結果秋休みで折り合いが着いてたんだが」


「それもちゃんとギイが二年の時に話してくれてれば皆で回避法も出し合ったろうに、いつも一人で暴走するんだよな」

「‥章三、もう、責めてくれるなよ‥土下座したじゃないか‥」

「崎君が土下座とは、さすが赤池くんだ。
皆が認めた相棒は健在なんだね」


「こいつを怒鳴れるのは僕くらいでしょう‥
葉山じゃやり込められるのがオチですから」



「あはは、そうだろうね。じゃそろそろ部屋に向かうかな、まだ誰も入ってないみたいだし」


「「「‥えっ?」」」


目を向けたそこには、中央に居たはずの井上さんの姿が無かった‥