寄生獣 | キャバクラ嬢を口説く為の500の方法 すすきの恋愛論

寄生獣

呑み屋での話題のネタ作りのためによく映画やDVDを観る。というわけで全然デートに向かない「寄生獣」を観ました。



以下、ネタばれします。

『地球上の誰かがふと思った』というモノローグが出る予告編を観て、田宮良子なら絶対言わないセリフを深津絵里に言わせてる時点で何やら嫌な予感がしたのだがひどく残念な出来だと思う。まさか劇中で本当に喋らせるとは思わなかった。

『インターステラー』をIMAXで観た5日後だとガッカリ感が半端ない。

原作と設定やストーリーが異なったり、場面をはしょるのは映画だからしょうがないのだけれど、色々といじくったせいでおかしなことになっている。まるで、新一+ミギーvsパラサイト軍団の戦いにシフトしていってる印象に思える。

まず前提として、ミギーの声なのだがアベサダヲの配役は失敗だと思う。ミギーの造形はただでさえ滑稽に思えるのに、アベサダオの声だとさらにそれが増長してしまう。また、映画のミギーはやたら喋る。しかも日本語の発音がばっちりで感情をこめて喋る。だから、どうにもミギーがコミカルなパートナーにしかみえない。ミギーは友達でもドラえもんでもないのだ。声の解釈に関してはアニメ版の平野綾の機械的な声の方が正解だと思う。

もう最初から仲良い感じで行動してるので、これでラストの別れをどう描くつもりなのか?と激しく問いたい。ところどころで、冷静な判断を下すミギーが最後で人間っぽい戦闘や別れかたをするあのラストに繋がっていく気配が全然しないのだ。

原作のテーマでは「人間という生物は何なのか?」ということがしばし描かれる。

なのに、子犬をゴミ箱に捨てたままで地中に埋葬しないのは納得できない。「死んだ犬はただの肉のかたまり」と発言した後で、ちゃんと公園の木の下に埋めて埋葬することで、人間としての感情がちゃんとあることを表現しているのだ。

「やっぱり新一君が止めを刺すのは違うと思うよ」と宇田が言うのはそれが人間的な価値観だからだ。

なのにここをカットしたり、てんぷら油のシーンがなくてセリフですましたり、Aを新一自身が殺したりというおかしなことになっている。

そのせいで原作のテーマは薄れて、新一+ミギーのちょっとおかしなコンビvsパラサイト軍団のアクション映画になってしまったのだ。

続編はもうレンタルでいいや。

以下、おかしな場面。

・母子家庭になってる。映画でも言ってたけど母親いなくなって生活どうしてんだよ。学校と役所は放置かよ。
・宇田&ジョーは出てきません
・Aに心臓貫かれてミギーの再生術で復活して胸の傷跡を鏡で確認するシーンで左腕の肘から下が写ってないように見えたんだけど気のせい?
・Aがなぜ攻撃を外したのか意味不明なんだよなぁ
・Aとのバトル直前でミギーが眠っちゃうわけですが、Aを倒した後、死体の前でミギーと信一が会話してます。4時間そこに立っていたのかよ昼間っから死体の前で?
・村野里美がパラサイトとミギーを目撃してます。続編をどうするつもりか激しく問いたい。
・合理的な判断を下す田宮良子がなぜ一撃で殺せない爆薬で島田秀雄を攻撃したのかよくわからない。パラサイトの死体を警察が目撃すれば警察が自分たちの脅威になることはわかるはず。

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by G-Tools , 2014/12/01