6.韓国対イタリア at 大田
6月18日
宿代を聞くと60000ウォンだった。半分の30000ウォンを支払った。ここの旅館はどう見ても30000ウォンくらいにしか見えないが日本で予約してきているので、きっと間にコミッションが入っているのだろう。 Nさんの飛行機の時間があるので6時45分頃タクシーで全州駅へ向う。7時50分の西大田行きの乗車券を購入して駅近くの食堂へ。店の人が強力に薦めてきたコンナムルクッパを食べる。Nさんかなり喜んでいた。
6月18日7時50分 全州駅発
6月18日9時20分 西大田着
今日は時間がありあまるほどある。今日の焦点はやはり日本戦をどこで見るかに尽きる。駅近くでぶらぶらしていたら、駅の案内所で見たことのある人を発見。昨日の夫婦だった。
彼らはホテルにまずチェックインしてから観光に行くらしい。よければどうですかと誘われたがやはり日本戦が気になるのでお断りした。韓国戦の座席を確認すると同じブロックだったので、競技場で会いましょうといって別れた。
テレビ観戦するにはやはり大田市内と思い、大田市内までバスで移動。ぶらぶらしながら考えたが、日本の試合は15時半、試合終了は延長なしで17時半。延長、PKまでいったら18時半。
市内から競技場まで約1時間だから20時半の試合開始に間に合いそうだが、なんだかせわしない。こんなに時間に余裕があるのに最後の試合まで慌てることはない。
競技場の近くに行って見たほうが安心できるし、雰囲気を存分に楽しむことができる。どっかにテレビ付きの食堂があるはずだ。 そうと決まれば宿探し。翌日のヨンドンポ行きのセマウル号を予約して、駅から徒歩3分くらいの旅館に聞くとあっさりOK。宿代も30000ウォン。まだ午前中だったがチェックインできた。とても疲れていたので日本戦に間に合う時間まで部屋でゆっくりすることにした。
できるだけゆっくりしたかったが、日本戦がどこで見ることが出来るのか気になってしまい、12時半ごろスタジアムへ向った。13時半大田のスタジアムに到着。過去の3試合はスタジアム周辺でのんびりすることが無かったので周辺を歩きまわった。
おなじみのBe the redsのティーシャツやバンダナ。KOREA FIGHTHINGと書かれたタオル。Be the redsのTシャツはお土産に重宝しそうだったので購入。直前に韓国人が1枚8,000ウォンを7,000ウォンに値切ってさらに5枚買うからもっと安くしろと交渉して5枚を33,000ウォンで買っていった。自分も同じ条件で購入した。品質は全州で買ったものより悪かった。(帰国後、数を数えたら4枚だった。一枚上手だ…。)太極旗等々が露天で販売されていた。
歩いて5分くらいのところに食堂が何件かあったので、中をみてテレビがあるところをチェックしたその内の一軒が比較的テレビが大きかったので一度中に入り、15時から日本戦を見たいけどOKかどうか確認した。15時に又来ますと言い残し、また周辺をブラブラした。快晴でとても暑かったので歩いているだけで汗が出てきた。スタジアムに隣接して市場があった。果物や野菜がたくさん置いてあった。そこのエリアにある木陰には警察の人達の休憩所になっていた。全部で200人くらいいたのだろうか?雰囲気ちょっと恐かった。
15時10分くらい前に入店。ビール1本とテンジャンチゲを頼む。15時放送開始。日本、トルコの国紹介や事前のセレモニー等が映し出される。入店した時には自分の他に6人くらい韓国人の客がいた。6人とも普通の服装。ところが試合が始まってから韓国のユニフォームやBe the redsのTシャツを着た韓国人がどんどん入店した。
試合終了の時には全部で40人以上になっていた。試合は前半にトルコが先制した。先制したときにまだ韓国人は多くなかったので目立たなかったが若干歓声があがった。後半が始まるとどんどん韓国人が増え、明らかにトルコの応援をしていた。トルコが攻めると歓声が、攻めが失敗すると落胆の声が聞こえてくる。韓国大田の食堂で一人アウェーのゲームとなってしまった。日本の負けが決まると韓国の人はみんな喜んでいた。
自分の中では日本が勝ったら、韓国の応援を心置きなくできるのはもちろん。例え日本が負けたとしても気持ちを切り替え、韓国の応援を出来ると思っていた。この食堂で日本対トルコを見るまでは…。試合が終り、店を出た。日本が負けたことのショックと「本当の韓国」を感じてしまったことで放心状態になってしまった。
後でいろいろな人に聞いたら、日本対チュニジアの時は2回あった得点シーンに韓国の人から悲鳴があがったらしい。ワールドカップに前回初出場して2回目の出場で決勝トーナメントに韓国より先に行ってしまうことに対する嫉妬らしい。その時点でポルトガル戦を控えていたので、日本ベスト16、韓国予選敗退というのはサッカーでは長きに渡ってリードしていた国としては許しがたいことだったようだ。もちろん、日本に対するライバル意識や敵対心もそれに拍車をかけているとは思うが。仕事で20回以上も韓国に行っている時にはそんな「反日」の姿勢を見せられたことがなかったのは、日本企業と付き合うための「表面的親日」な態度だったのではないかと思えてきた。このことが初めての観光でわかったのはなんとも皮肉だ。
Be the redsのTシャツを着てはいるけど、韓国には日本と同じくベスト16で終って欲しいと思った。日本戦が終ってスタジアムに向うと、もう周辺は真っ赤になっていた。入り口が混雑し始めていた。スタジアムの周りのベンチに座っていると目の前で40歳くらいの男と10歳くらいの少年がリフティングを交互に行い始めた。最初は何気なくみていたが一度も落していないことに気がついた。足の甲、膝、頭を使った極めて普通のリフティングだったが5分か10分か一度も落としていない。その内40代の男が一人でリフティングを始めた。今度は頭の上でボールを止めたり、頭の上で止めたままジャンプをしたり寝転んだままリフティングをしたり、踵やつま先でリフティングを始めたりした。さっきまでのは準備運動だったのだ。気がついたら周りには人だかりが出来ていた。最後にチラシを配っていたのできっとこれでメシを食っているのだろう。
韓国対イタリアの試合だというのに日本人が結構多い。自分もそうだが、イタリアのいるグループとポルトガルのいるグループが対決する組合せなのでベスト16でイタリア対ポルトガルを想定してチケットを取った人も多いのだろう。
自分がチケットをとったのもイタリア、メキシコ、クロアチアのどれか対ポルトガル、韓国、アメリカのどれかの試合を2試合見られると思ってチケットを取ったのでイタリアの熱烈なファンならやはりチケットを取るだろう。
日本人は赤いTシャツの人が5割くらい。青いユニフォームが5割くらいだろうか。青いユニフォームの半分は日本代表のユニフォーム。残りの半分はイタリア代表のユニフォーム。イタリア代表が好きな日本の女性も多数来ていた。
韓国人はだいたいBe the redsのTシャツかワールドカップコリアジャパンの薄手のユニフォーム。または選手名の入ったいかにも安そうなレプリカジャージが主で、ゴール裏の熱烈なサポーターたちはホントのレプリカジャージをそこそこ着ていたようだった。
日本での日本代表の試合の様に5割以上がレプリカジャージを着ているような状態ではなかった。今日のスタジアムの日本人もイタリア代表のであれ日本代表のであれ、いかにも高価そうなレプリカジャージを着ている人がほとんどだった。
真っ赤になっている会場では試合の前から「デーハンミングッ!」「ハングッ!」「ピルスンコリア」(それぞれ大韓民国、韓国、必勝コリア)と叫んだり歌ったりしていた。割りきれない気持ちではあったが、ホームの雰囲気はいいものだなと思った。試合前、イタリア代表がピッチの状態を確認しに出てくると大ブーイングが、韓国代表が出てくると大歓声が起こった。試合前、ゴール裏のサポーター席には予め赤と白の紙が置かれていて赤地に白で「AGAIN 1966」という人文字が浮かびあがった。北朝鮮がイタリアに勝ってアジア勢唯一のベスト8に行ったときの再現を意味しているらしい。横断幕では「韓国5-0イタリア」とか「ようこそアッズーリの墓へ」などが印象的だった。試合前の韓国国家斉唱の時、2階席の一番上から1階席の一番したまで覆い尽くす50mくらいの国旗が出現。あまりの大きさに驚いた。
試合開始直後、韓国がPK獲得。スタジアム中興奮状態となった。ほとんど勝ったような騒ぎだった。が、アンジョンファンPK失敗。一瞬静かになったがすぐに元気を取り戻す。ビエリのゴールでイタリア先制。
その後ファンソンホン、イチョンス、チャドゥリを投入、最後はホンミョンボを下げてまで攻めたがやはりここまでか。順当にイタリア勝利。PK失敗が鍵だったな。と思っていたら、ソルギヒョン同点ゴール。後半は守りに入っていたイタリアから得点を奪う。揺れるスタジアム。
直後にイタリアに決定的なチャンスがあったが外す。後半から走り勝っていた韓国は延長になったら有利。韓国サポーターの最高潮。トッティ退場。延長も後半終了が近づいてきて、PKでは経験に勝るイタリア有利かなどと冷静に考えていたら「アンジョンファン…」。
スタジアムの韓国サポーターたちはみんな大騒ぎだった。トッティの退場。イタリアチームには厳しかったオフサイドの判定等、審判が韓国寄りだったような気もするが堂々と渡り合った姿に例え負けていたとしても感動的な試合だったと思う。
韓国の代表チームはそれこそ優勝でもしたかの様に喜びを爆発させていた。スタジアムの外では花火が派手に打ち鳴らされた。極めて上げる確率の少なかった花火を準備していることがすごいと思った。
日本対トルコでは準備していたのだろうか?選手とサポーターの歓喜は延々と続いた。自分もそれらの騒ぎを楽しんだ後、スタジアムを後にした。スタジアムを出ながら皆で「デーハンミングッ!」が自然に発生する。しかも何度も何度も。
大田行きのシャトルバスには長蛇の列が出来ていた結局バスに乗るために1時間待った。大田駅行きのシャトルバスに並んでいるときの後ろ側に並んでいる人は名古屋から来た20台の日本人の男二人に声をかけた。
彼らは早くからスタジアムにいたらしいが日本の試合結果が判ると韓国人は皆拍手だったらしい。自分と同じように割りきれない気持ちで韓国を応援していたらしい。
大田の郊外にスタジアムがあるせいか韓国人は車でも多く来場しており細い道では列に並んでいる人をかき分けるように車が通って行くがこの時のクラクションが「デーハンミングッ」の合図のドラと同じリズムで鳴らすので周りにいた人は条件反射的に「デーハンミングッ」とやってしまう。
この光景はバスで大田駅に向っている時も、大田駅についてからも何度も何度も見た。大田駅についたときには夜中の12時過ぎているのにである。まさにお祭り騒ぎだった。夕飯を食べていなかったので大田駅前の屋台をいくつか物色していると屋台の客のオジサンに引きずり込まれた。ハングルで早口に言われたのでよく判らなかったが、ソジュをごちそうしてくれるらしい。お腹が空いていたのでキンパブ(のり巻き)を自分で買おうとするとそれもごちそうしてくれた。オジサン、オバサン、オジイサン等5,6人のグループがみんな韓国の勝利を祝っている。日本はなんで負けたのか?日本は強かった。日本に勝って欲しかった等々言われて口々になぐさめられた。気を落すなとも言われた。はっきり言って拷問のような時間。
自分はスペイン戦も頑張ってくれ、必勝韓国と伝えておいた。宿はどうしたとか聞いてきて泊めてやるぞぐらいのことを言われたが、近くに宿をとっているといって断った。早めに切り上げようと思っていたが結局1時間くらいいたのだろうか。50mくらいしか離れていない旅館に戻った。
中田浩二のパスミスのシーンが何度も頭を通り抜ける。
補足
韓国2-1イタリア ビエリ18分、ソルギヒョン88分、アンジョンファン延長27分
イタリア ブッフォン、パヌッチ、マルディーニ、ココ、サネッティ、デルピエロ、トッティ、トンマージ、ザンブロッタ、ビエリ、イウリアーノ、途中出場 ガットゥーゾ、ディリービオ。出場しなかった控えに、カンナバーロ、インザーギ、ドニ、ネスタ、ディビアッジョ、デルベッキオ、モンテッラ、マテラッツィ。
韓国 イウンジェ、チェジンチョル、キムナミル、ユサンチョル、キムテヨン、ソルギヒョン、イヨンピョ、アンジョンファン、ホンミョンボ、パクチソン、ソンジョングック、途中出場 ファンソンホン、イチョンス、チャドゥリ。出場なしチェヨンス、イウリョン、ユンジョンファン。