関東のワイン愛好家の中では小林 史高氏の名前をご存知の方は多いだろう。彼はデグュスタトゥール1号からの我々の雑誌のシャンパーニュの記事を寄稿予定のライターだった。私と同じで数多くのスクールやイベントで講師として活躍し、また、無料のワインレッスンとしてYoutubeで講義は多くの資格取得希望者から熱心に観覧されている。この雑誌の立ち上げに当たり以前から交流があった小林氏とは、今までにない雑誌にしたいこうゆうコンセプトだと長々と説明すると、岩田さん。是非やらしてほしい。売価が安すぎない?とこちらを気遣ってくれていた。年明けの先月、療養中の身であるにも拘らず明日にでも編集長の所に会いに行くと言い出して、「いや、まだいいからしっかり休んで」と。
ところで小林さんの肩書を何にしようと相談したときも"第6回ワインアドバイザー全国選手権大会 優 勝者"で行こうと提案すると、そんなの過去の話だから小林酒販(株)代表取締役社長、シャンパンクレージーで著書のシャンパンデータブックとしておいてと。実に照れ屋で肩書やキャリアを一言で片づけられるのも嫌な様子だった。Youtubeの収録も終わるとお茶も飲まずにさっさと退散し、また次回と挨拶だけして戻っていく。実に彼らしい。本当の意味の古いタイプのワインビジネッサーでもある。私より10歳も若いが経験も見識も深くある意味、今のワインジャーナリズムを嘆いていた。
そんな彼の原稿待ちを2月5日に控えた1月25日入院先の病院で急逝した。
携帯電話がつながらず、その他の電話もつながらず、どうなったのかと思い。以前からご実家に電話をすると大変声の似ている弟さんに繋がり、気軽に「こんにちは岩田です。どう?」と声かけると、どちらの岩田さんですか尋ねられ、デギュスタトゥールの岩田ですと言うと。「兄関係の方ですか?」「兄?」「文高ですか?」小声で言われ、「岩田さんはまだご存じないですか? 」との声にとても嫌な予感がした。「兄、文高は2週間前に亡くなりました。」 そこから先はご遺族との個人的な話となるので省かせてもらうが、死因は心筋梗塞だそうだ。今年に入って身の回りの関係者が3人も他界している。しかし、小林文高の代わりになりえるワインのトッププロは日本にいない。彼は知識だけを教えていたのではない。何より情熱をもって語り、ワインの世界に一人でも多くの人を引き寄せようとしていた。目利き人としてのスキルにたけていた。ご家族の意向で密葬となり、まだ故人のと縁やゆかりのある方々にもすべてお知らせしきっていないとの事だった。私と同じ彼の多くの生徒さんたちも悲しくやりきれない気持ちであろう。こころより故人のご冥福をお祈りする。