相続法改正5 | 出口裕理法律事務所のブログ

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父死亡 相続人は男子2人

遺産は現預金が4000万円

長男に生前贈与2000万円

こんな時

生前贈与の2000万円は

計算上元に戻して1人あたりの取分を

(4000万円+2000万円)÷2と計算し

長男は既に2000万円もらっているので

遺産の4000万円のうち1000万円だけ

二男は残りの3000万円がもらえます

 

この長男への生前贈与等を

「特別受益」といい

特別受益を計算上戻すことを

「持ち戻し」と言います

 

これで長男二男共に生涯で3000万円もらえて平等になるのです

 

しかし

仮に長男が父死亡後に遺産の4000万円のうち3000万円を無断で引き出して使ってしまっていたらどうでしょうか

 

残りの1000万円は当然二男のものですが

 

無断で引き出した3000万円は

長男に対して

不当利得として地裁で返還請求しますが

取戻せるのは

法定相続分(1/2)の1500万円だけ

最終的に

長男:(2000+3000)-1500=3500(万円)

二男: 1000     +1500=2500(万円)

となって不公平になります

 

そこで

今回の改正で

処分された財産を遺産に(計算上)戻すことについて,処分した相続人以外の相続人の同意があれば、処分した人の同意がなくても,遺産分割の対象にできるということになりました(民法906条の2)

 

上の例で言えば

父親死亡後に引出した3000万円を

計算上遺産に戻して

遺産1000万円

+戻した3000万円

+生前贈与2000万円

合計6000万円を二人で分けるので

1人3000万円

結果

二男が遺産1000万円を取得し

長男から二男に代償金2000万円が支払われ

長男:(2000+3000)-2000=3000(万円)

二男: 1000     +2000=3000(万円)

と平等になります

 

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