小学1年の冬
国語で
「北風と太陽」をやった。
北風と太陽は、どちらが強いか勝負をしようと話し合っていた。
ちょうどそこに分厚い上着を着込んだ旅人が通りかかった。
あの旅人の上着を脱がせることが出来た方が勝ちだ。
ここまで教科書を読み進めると
担任の若い女性教師は言った。
「北風と太陽 皆さんはどちらが勝つと思いますか?」
私はなぜそんな質問をするのか理解に苦しんだ。
なぜなら教科書の次のページをめくれば
答えが書いてある。
なんなら文章を読まずとも
わざわざご丁寧に
太陽を浴びて上着を脱ぐ旅人の挿し絵までが載っている。
「北風が勝つと思う人はこっちに集まりなさい。」
「太陽が勝つと思う人はあっちに集まりなさい。」
みんなわーわー楽しそうに移動した。
北風の方に3分の1ぐらいが集まって
太陽の方に3分の2ぐらいが集まった。
私はわざわざ机を教室の後ろに動かしてまでこれをやることの意味がさっぱり分からず
しぶしぶ負けの「北風」の方に行った。
全員が移動したのを見届けると
女性教師は言った。
「それではみんな机を元に戻して席について
教科書の次のページを開いて読んでみましょう。」
ということは
女性教師は児童が教科書を読んでいないという前提で授業をしていたということになる。
小学校時代の教科書は
学習内容があまりに少なすぎると思う。
授業は毎日退屈極まりなく
全く面白くなかった。
唯一大好きだったのはテストの時間だった。
内容が少なすぎるとはいえ
授業中はイヤでも教師の言葉を聞いて頭を働かせなければならないが
テストの時間はさっさと答えを書き終えてしまえば
頭の中は自由。
リラックスタイムだった。