■アルコール依存症の映画を作りたい…
映画「エリ殺人日記」の企画より前
おそらく2012年頃の話。
私は「飲んで死にますか?やめて生きますか?」
というアルコール依存症についての本に出会いました。
実際のアルコール依存症についての本なので
面白いというのは不謹慎なのですが…
これがむちゃくちゃ面白いわけですよ。
それからアルコール依存症関連の本を
読みまくりました。
そこでアルコール依存症を描いたシナリオを書き始め
知人の女優、松本めいさんに映画制作について
相談し始めたのですが…。
そんな折、私は勤めていた制作会社をやめ、
フリーランスとして独立することになったのです。
大きく環境が変わり映画制作どころじゃない…。
当時は仕事が大変な状況で、映画制作に踏み切れませんでした。
そこで私は、松本さんを呼んで相談しました。
そこは確か高田馬場の居酒屋さんだったような…。
「映画なんだけど、会社辞める事になったので
一旦中止にしようか迷ってるんだけど、どう思う?」
けれど松本さんは「作りましょう!逆にチャンスです!」
とノー天気…いや、スーパーポジティブ。
よし作るか!
そんな感じで松本さん主演の映画の制作が始まったのです。
■ベッドメイクして死ぬわ
(ベッドメイクして死ぬわ/出演 松本めい、広田さくら 他)
とはいえ、長編として考えていたアルコール依存症の映画は
さすがに重いと考え、まずは予行演習で短編を作ろう!
と計画変更することに。
長編のシナリオでは松本さんの役は主役ではありませんでした。
けれどいい味出してる役なので
彼女だけのストーリーに変更し短編にしたのが
「ベッドメイクして死ぬわ」です。
アルコール依存症の女性が病院から抜け出し彷徨う
というだけのお話。
入念にリハーサルをすることでメインのシーンは
ほぼ一日で撮影しました。
ちなみに「ベッドメイクして死ぬわ」のタイトルは
Holeというバンドの「Miss World」の歌詞からとっています。
また、松本さんの妹役で登場する広田さくらさんは
その当時、現役バリバリの女子プロレスラーで、
松本さんの知り合いでした。
※短編映画「ベッドメイクして死ぬわ」は
youtubeにてご覧になれます。
■エリ殺人日記の制作へ
おそらく2014年頃。いよいよ長編の制作です。
当初はアルコール依存症について描いていたシナリオは
スケジュールや予算など、諸々のことを考え別作品に変更しました。
「ベッドメイクして死ぬわ」で描いた
松本さんの役が気に入ったからです。
アルコール依存症の設定は、むしろストーリーを
面白くすることの足かせになりつつあったので
別の「病気」にしよう、ということになりました。
けれど私個人の考えですが、
映画やドラマに出てくる「病気」などが
実際と全然違うのが、たまらなく嫌なんです。
例えば一時期流行った「多重人格」とか「サイコパス」など
安易で便利な設定が安っぽくて本当に苦手。
とはいえアルコール依存症に代わる
別の「心の病」など都合よくあるはずもなく…。
今から勉強するのも一苦労。
そこで架空の病気を作っちまおう!との考えで
「ゼリグ病」が生まれました。
「ゼリグ」はウディ・アレンの映画「カメレオンマン」
に出てくる主人公の名前です。
彼は、その時、その場所にいる人々に馴染むため
姿を変える病気の持ち主です。
黒人の中にいたら黒人になったりするコメディ。
その「症状」だけをいただいて
「エリ殺人日記」というシナリオが生まれました。
作品自体は「カメレオンマン」とは全然違います。
ようやく撮影に進める!いやっほー!
シナリオが完成し、キャストが決まって
撮影がスタートしたのは、おそらく2016年頃
だったような気がします。
けれどまさか、
撮影開始から完成までに、こんなにも時間がかかるとは…。
その時は誰一人知らなかったのです。
つづく






