イキルサイノウ / THE BACK HORN

2003年に発売されたTHE BACK HORNの3枚目のオリジナルアルバムです。

 

これまで、このブログで色々なアルバムを紹介してきましたが、アルバムによって様々な特性があることも書いてきました。

 

アルバムや曲を聴くタイミングも重要だと思います。

 

例えば、恋愛をしているときは、恋愛ソングを聴き、何か熱中していることがあるときは、応援ソングを聴いて共感することが多いと思います。

 

私が、バックホーンの音楽を聴くときは、孤独や悲しみを感じているときが多いです。

 

バックホーンの音楽は、孤独や悲しみを肯定し、生きていく強さを表現してくれています。

 

何かに絶望したり、努力した結果が報われず、自分自身に虚無感を感じ、周りと比べて劣等感を感じてしまう。

 

そんな日々の中のどうしようもない悲しみや孤独を、何か別の形で昇華することなく、感情のそのままを肯定してくれる音楽。

 

それがバックホーンの曲、アルバムなのです。

 

そして、今回、紹介するアルバム「イキルサイノウ」の魅力は、

「人は、絶望の中で、何を手にしてきたのか。」だと思います。

 

私は、「イキルサイノウ」というアルバムタイトルを見たとき、はじめて読んだはずの言葉なのに、どこか納得感というか、すっと入り込んでくる感覚がありました。

 

なるほど、生きる才能か。自分にはあるのだろうか、そんな才能が・・・。ないだろうな。

 

それが、タイトルを読んだまず最初の印象でした。

 

今回も、何曲か紹介します。

 

1曲目 「惑星メランコリー」

 

私たちが、生まれ育ち、生きている地球。その地球が破壊され、消滅していくという展開。

 

圧倒的なスケールの絶望から、アルバムは、はじまり、ありきたりな言葉たちは否定され、救いのない世界感が広がっていきます。

 

「愛が地球を救うなんて誰が言う」

 

圧倒的な絶望の中で、どんな言葉や優しさも、意味を持たないぐらい無意味なものになるときがあるかもしれません。

 

それは、私たちの人生でもあると思います。

 

自分にしか分からない絶望の中では、他人の言葉は、何も響いてこないときがあります。

 

目に入る言葉やキャッチコピー、耳に入って来る音楽の全てが作り物にしか思えなくなり、何も感じなくなってしまう。

 

そんな絶望と向き合うには、どうすればいいのでしょうか。

 

 

5曲目 「花びら」

 

このアルバムのテーマである「イキルサイノウ」の、生きるとは、そもそもどういうことなのだろうか。そんなことを考えさせてくれる1曲です。

 

よく、「あれ?もう今月も終わりか、早いなあ」とか

「一年もあっという間だったなあ」とか、言いますよね。

 

毎日の生活に慣れていくと、時間のスピードはどんどん加速していきます。

 

そんな、同じサイクルで進んでいく日々の中で、何かマヒしてしまったまま、なくなってしまう感性があるような気がします。

 

単純で、何も変化のないような毎日の景色の中にも、もしかしたら変わっていたことはあり、それに気づかずにいるかもしれません。

 

自分にとっては、この日々が本当に生きるということなのか?

この曲を聴きながら、そんなことを考えてみるのもいいのではないでしょうか。

 

 

10曲目 「ジョーカー」

 

この曲を聴いたとき、まさに「イキルサイノウってなに?」と考えさせられました。

 

はじめてアルバムタイトルを見たときに思った「生きる才能」は、

例えば、勉強ができて、社会に適応して、人間関係が豊富で、誰からも好かれるみたいなことを想像していました。

 

でも、それだけでいいのか。そんな固定概念だけが「イキルサイノウ」なのか。

 

本当に自分が生きるための才能は、もっと自由で、多種多様なものなんじゃないのか。

 

まわりが勝手に作り上げた「生きる才能」を、勝手に人に当てはめて、勝手にその人を定義しようとしているんじゃないのか。

 

その「生きる才能」に当てはまらない人は、生きることも出来ない人間なのか。

 

でも、悲しいかな、やっぱり私も、誰かのテンプレの生きる才能を持つための努力ばかりしてきたと思います。

 

勉強して、大学に入り、就職して、誰からも好かれるために笑う努力をする。

 

そして、そんな当たり前の「生きる才能」から逸脱した人を自然に、ジョーカー扱いしていたかもしれません。

 

でも、それでも、そんな私でも、この曲を聴くと、どうにもならないぐらい共感し、泣きそうになります。

 

心のどこかで、自分にもジョーカーだという意識があるのかもしれません。

 

100人が100人、この曲を聴いて共感するのかは分からりませんが、絶対に何人かはどうしようもなく共感する人がいると思います。

 

そんな人達に向けて、直接的な感情そのものを叫び続けるのがバックホーンの音楽なのです。

 

圧倒的な絶望が生じても、その絶望を乗り越えたとは言えなくても、なんとか生きていかなければいけません。

 

そして、そこには誰の中にも必ず、それぞれの「イキルサイノウ」があったはずです。

 

これまで人生で、見出した「イキルサイノウ」と共に、これからも頑張りましょう。

 

最後に、

このアルバムの曲は、タイトルが「イキルサイノウ」であることで、全曲が生命力みなぎるものになっています。

 

絶対に全曲聴いてほしいアルバムです。ぜひ!

 

ありがとうございました。

 

ではー。