蒸し暑い夏の日の夕暮れ…
雨上がり、歪む田舎道…
微かな風にざわめく稲穂…
子供の頃、ずっと歩いた道。
懐かしむようにゆっくりと…小さく遠くなった道草を眺めつつ…

赤い西の空を残して暗闇に塗り潰されてゆく。

家まであとわずか…
となり町、集落の甍の波が途切れた田んぼ道をあと少し…

サッサッ…スッスッ…
タッタッ…トットッ…

ん?

誰かついてくる!?…

まだぼんやりと見える山の稜線の下、目を凝らして見る…

気のせいか!?…

スタスタ…ヒタヒタ…
………………

止まれば止まる…


そういや、子供の時にもあったなぁ…
恐くなって走って帰ったっけ…

ウチに帰省していた叔父さんに話したら、「それは妖怪かもしれないよ。子供たちが遊んでいると一緒に遊びたくて近づいてくる…時にはいつのまにか一緒にまじって遊んでることも。いつのまにか見覚えのない子がまじってた事はなかったかい?」
「遊び終わって、寂しくて…誰かの後をつけてくるんだ…」
子供の記憶なんてイイ加減なもので、誰と誰がいたなんて覚えてない。
そういや1人多かったような…


あの時と同じ感覚だ…

なぜついてくるんだ…
こんな時、何か唱えればよかったような…

「お先にどうぞ!」

……………………

行ったかな?

もう子供じゃない私についてきたって何もないのに…

ズズッ…ザリッ!

あっ…


童の妖怪じゃなかったのか?

雲から顔を出した月の明かりに、大きなカマを持った人影のようなモノが見……………

ブゥーン、ザシュッ!
「キキキッキキキー!」








リリリ…リリリ…
コロコロロロ…
ガチャガチャ…
リーンリーン…

虫たちが鳴き出した…

一層静かな長い長い秋の夜を連れて来る…