梅雨末期…
窓の外は灰色に塗りつぶされた空と、カエルの大観衆の拍手のような雨音が止まない。

ザーザー
ザーザー
ザーザー…

全ての気配を消すかのような雨の音…
静まり返った部屋に充満するざわめき…

ふと気づくと、窓の外の裏木戸の向こう、雨に濡れたキツネが顔を出してジッとこちらを見てるよう。

ザーザー
ザーザー…

雨に煙ってハッキリしない、なぜか人の視線のように感じた。
遠い遠い生まれる前から知っていたような懐かしく優しく、そして恐ろしいような…

ザーザー
ザーザー…

いつの時代にも人のそばにいて、自然界への畏怖と生き物としての戒めを気づかせる存在…

ザーザー
ザーザー…

雨音が孤独をつくる、薄暗く重い雲が頭の中にも入り込む…

ザーザー
ザーザー
ザーザー
ザーザー…

ピカッ!
……………
ゴロゴロ~

湿気で張りつめた空気を突然雷が切り裂く!

カッ!!
バシッ、バリバリ!

近づく閃光と轟音…

ゴロゴロ…

やがて通り過ぎる…

雨もやんだ…
ポト、ポト、ポト…
静かな張りつめた空気をやわらかくやぶったのは軒下に落ちる雨の雫…
ポトッ…

空が明るくなった!
一気に夏の空気が押し寄せて来る。

心なしか蒸し暑さも気持ちいい…

白い雲がやかましく夏を連れて来た!


裏木戸を見た、
もうキツネは居ない…