「Real Clothes(リアル・クローズ)」6巻(槇村さとる) | 水の中。

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「2Fに若者向けのアンテナ・コーナーをつくる」
百貨店ばなれの若年層を呼び戻すためのプロジェクトを任された絹恵
ヤング・カジュアルのメイン・チーフである小西まみと出会い、
仕事の出来るやり手の契約社員である彼女に違和感を感じるのだったが……


Real Clothes 6 (6) (クイーンズコミックス)/槙村 さとる
¥440
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水の中。-REAL CLOTHES


さて、ヤングカジュアル部門の活性化を任された絹恵の出した起死回生のアイデアとは、なんと。


メ、「メッセージTシャツ」!!


女性のあたくしの主張! がプリントされているエイジレスなアイテムとして、Tシャツ。

ありえねえ買うわけねえ!! という自分のシュミはさておき(でも全年齢的にウケないと思うよその案。セミオーダーで自分の言葉を入れられるなら付加価値かもしれんが)。

なんといいますか、初登場キャラの契約社員・小西さんの言うことは、まあ本当にいちいちもっともなのですよ。


「リスクが高いと思います」
「とにかく失敗はできないし」
「上司と部下では立場が違います」


それに対して、われらが絹ちゃんは言ってのけるのです。
「失敗は勉強にもなるよ! みんなでやってみんなでコケるほうが面白い!」

……ですってよ。



なんじゃそらありえねえ!!
逆では?
それはさー、逆ではないですか、物の考えが。
これは主人公・絹ちゃんがオカシイというよりも、組織で働いている者に対する作者さんの理解が足りないせいかと思いますが、

あーのー、社員として会社に守られている立場としてはですね、会社の利益が最優先なのですよ。
それが社員としての責任なのですよ。
やりたいとかやりたくないとか、失敗しても勉強になればいいとか、そーゆー自己実現だか修行だかは、ヨソでやってくれ。



なんというかもう呆れ果ててしまった主人公の言動なのですが(小西さんも気の毒にな……)、

それにしてもねえ。
このコはさー、何年も百貨店にいながら、いったい今さら雇用形態の違いに何を言うのやら。
「仕事できる人が報われないのはオカシイ」
ってそりゃーそうだけど、会社は部活やってんじゃないんすよ。利益出して生き残ってナンボなわけで、経営側は正社員にかかる人件費なんてカットしたくて当たり前なんすよ。
まあ日本にはそれをよしとしない終身雇用絶対なありがたーい風土があったわけですが、近年法律も変わっちゃって、そーゆー非道はやりやすくなってますからねえ……。



というわけで、物語への感想というよりも
「なんじゃそら、アホか!」
という罵りのようになってしまって申し訳ないですが、これが正直な読後の感想です。



それにしてもTシャツはないよなー……。
しつこいようですが、買うわけがない。
メッセージが10パターンなんて、よけいに買わないわー。服くらい他人とかぶりたくないものってないじゃないですか。
寄付つきであることを売り物にするのだったら、もういっそエコバックにすればいいのになあ……。


しかし後半に絹恵がようやく出してきた「百貨店ならではのヤングカジュアル案」は面白いなーと思うので、Tシャツはお祭り限定販売だけにとどめて、ぜひとも成功させてもらいたいものです。


(失敗してもいいなんて、上司の立場にある人間が言っちゃイカン!)