天使の一撃。 | 水の中。

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水の中。-226 (写真は記事と無関係な倉敷ですー!)



新年(いつの話……)でございますよ、こんばんは!


さてお正月のこと。
例年どおり、旦那の実家でヨメ業をやりとげ、実家に顔を出したあてくし。
「行くわよ散歩!!」
雑煮を食べるなり、仁王立ちになって宣言しました。
しましたってつまり、うちの犬にですが。



「えっ、なにも来た早々に犬の散歩なんてしなくても……」
酒をつごうとしていた母が、「今日は寒いから」と引き止めます。
しかし実家にいたときは、毎朝五時半に散歩に出ていたこの体、昼間の風くらい、寒いことなどありません。
いいえ正直になりましょう。



わたしは犬の散歩が死ぬほど好きなのです。
やりたくてやりたくてたまらないのです。
そのためだけに毎月のように実家へ帰っているのです!!



(ちなみに前述の母に、「あんたって、このコ(←いぬ。)がいなくなったら、ここへは帰ってこなくなりそうね~」と言われ、ついふつうに「それはそうだよ」と頷いて親を悲しませてしまった、ひとでなしな自分……)



「あのー、お、おれは寒いんだけど……」
ついてこなくてもいいのに、何故か一緒に散歩に来てしまった旦那(体脂肪ナシ)が、強風に震えています。


「えー、これくらい寒くないよふつうだよ太陽でてるし」
「おまえ薄着なのによく平気だな……」


うしろからついてくる旦那が、こころなしか青ざめているのを見て、さすがにかわいそうになってきました。
「あ、じゃあアレやろう! さ、これ持ってみて」
よいことを思いついて、私は旦那にリードを預けます。
そのとたん、相変わらずおそろしいほどに神経質なうちの犬が、ただそれだけの出来事に(なんでこいつ?!)という顔でさっと振り向いて、全身をこわばらせました。


「あのね、このリードをね、そのへんのフェンスに縛ってね、ダーッと走って姿を消して戻ってくるという置いてけぼりゴッコをね……」


私の説明するところの、この「置いてけぼりごっこ」。
これは私と姉が好きな遊びで、この神経質な犬をからかうために昔よくやっていたもの。
まあ姿を消すといってもフリをするだけで、数秒で戻ってくるのですが……



しかし旦那が私の言葉を遮り、
「やらないよ」
と言うのです。



「え、なんで?」
「なんでって……」


すると、ここで予想もしなかった一言が。



「なんでって、そんなことしたらコイツがかわいそうじゃないか」



しーん。


「コイツが」と指さされた当の犬、会話の内容が分かるわけもなく、いやむしろ嫌いな人間にリードを持たれて「ウウウ」と唸っています。
「か、かわいそう……?」
このぜんぜん自分に対して可愛げのない(今もそこで唸っている)、なつかない(何年たっても変わらぬ鋼のような警戒心)、この犬が「かわいそう」……?


ポカーンとする私にあらためて彼が言うには、
「ふざけてるなんてコイツには分からないんだし、そういうことするな」
なのだそうです。


「は、あ、はいゴメン、もうしません……」
動物を飼ったこともない相手に諭され、反省させられる愛犬家な自分。
あまりにびっくりして
(なにこの善良発言。天使……?!)
とか思ったことはナイショです。