「DEJAVU(デジャヴ)」トニー・スコット監督作品(2006年) | 水の中。

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マルディグラにわきかえるニューオリンズで、フェリー爆破事件が発生。
捜査官ダグ・カーリン(デンゼル・ワシントン)は、川から上がった女性の死体に既視感を覚える。


――もしも過去に干渉できるとしたら、死んだ彼女を救うことはできるのか?


デジャヴ (ブルーレイディスク)
¥4,441



<ネタばれ感想ですので、これから観る方はご注意願います>




なんとなくサラッと見終わってしまいましたが、
考えるほどに辻褄の合わないストーリー。



これを観た殆どの人が抱く感想ではないかと思うのですが……



●SFならSFと言っとけ

(現代サスペンス風に始まり、途中でSFであることが明かされるガッカリ感は大きい。タイム・ウィンドウってつまりタイムマシンじゃないすか)



●デジャヴじゃないし

(ただの既視感ではなく「これが二回目だから」「なつかしく感じる」と言いたいようなのですが、それはおかしい。現在のダグにとってヒロインはあくまでも初めて出会う女性であるはず。救出に失敗して同じ時間を繰り返し廻り続けなければならなくなるラストなら、その理屈もアリですが……)



えーとですね、主人公の捜査官が「過去の復元映像」と思って見ていたものは、
じつは政府が偶然つくっちゃった「タイム・ウィンドウ」でした! すごいでしょ、これ四日前の過去がライブ映像として見られるのよ!


そこで捜査官は思うわけですよ。


「ねえねえ、それならさー、過去も変えられるんじゃないのー?!」←本物はオネエキャラではありません



ええっ、そう?
そういう理屈になる??



……と、ここからすでに私的には疑惑のまなざしだったわけですが、まあ理屈がどうとかは置くとして、何が気に入らないかと言えば
「過去を変えられる」

というテーマそのものですね。


過去というのは、絶対に変えられない。


「時間もの」というのは、この大前提があってこその夢物語なので、もちろん過去を改変するラストがあってもいいのです。
ただなあ、この物語の場合は描かれ方が安易すぎて、せっかくのハッピーエンドも「はあ?」となってしまう。

そもそも、捜査官ダグが会ったこともない被害者の映像を見ているうちに「彼女を救いたい!」と思い始める――という展開自体に説得力がないのですよね。それくらいの同情で、帰る方法もない過去へと飛び込んで行けるものでしょうか。


しかもさー、彼女を救ったダグA(未来から来たほう)は死んじゃった!
でもここにはダグB(何も知らない過去のダグ)が生きてたヨカッター! という、
何がよかったんじゃ!! なラストには、もう半笑いになるしか……。


「過去の車を追いかける」という、カー・チェイスは斬新で大迫力なのですが、 

げ、現在の車は撥ね飛ばしていいのか……?!(←何の罪もない民間人が大クラッシュしてる)

というムチャクチャぶりに、「命を救うために過去を追ってるんじゃなかったの?」とガックリしてしまったり。



あのー、時間もの古典名作「タイムマシン」の「過去は変えられない。変えられるのは未来だけだ」というテーマのほうが、私としては共感できますね。
安易な「死ななくてヨカッタね!」な話ではなく、「どんなに頑張っても過去を変えられない」と苦悩する内容であったほうが、より面白いドラマになったであろうと思うのですが(ていうかアレら伏線はそーゆー意味でなかったらオカシイと思うのですが……)


もしも過去を変えるのだとしたら、現在のすべてを捨てるだけの覚悟があるのか、という物語でなくてはダメだと思います。