「アジ玉。」黒川あづさ(中央公論新社) | 水の中。

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「誰でもいいから」と思って結婚した、外国人の夫(不法滞在歴18年)の言動には、ときどきおかしな部分がある。
日本語が不自由だからだろうと思っていたのだけれど、一緒に実家へ帰ってみると……?

バングラデシュ人の夫を持つ作者の、国際結婚レポート。

                    


私はエッセイ漫画が大好きで、特に海外生活を描いたものなどは大好物です。
中でも国際結婚まんが!!はイイのですよ~。
やはり親戚づきあいというのは、ただの現地生活とは違う、その土地の文化風俗との濃密な関わりがあるわけで……これが、とっても面白いのです。


ところで、この「アジ玉。」ですが。
バングラデシュ情報は、ええと……少ないですね。
なにしろ夫クリリン、意外にも実家がすんごい資産家であったために(タイトルの意味はつまり「アジアの玉の輿」)、現地での庶民の暮らしぶりが、よくわからんのです。



それなのに、何が面白かったかと言うと――作者のキャラクターが
作者のクールでニヒルでゴルゴな(←TIMでなく13のほう)キャラクターと、対する夫クリリンの愛らしさ(妻である作者曰く、ハゲでデバラなオッサンだそうですが)のぶつかりあいが面白いのです。



いやー、このご夫婦はイイですね。
ナイスカポー!
実際、これほど鋭いタイプの女性は、これくらいつきぬけておおらかでツッコミどころのある相手でないと、リラックスして暮らせないんじゃないでしょうかね……。
などと思いました。
こういう愛もアリだな~。



あのー、とつぜんですが、

私は浦沢直樹「20世紀少年」で、

ケンヂは生きていたとしても絶対にどこかに監禁されているはず

と思っていたのです。
だって長すぎる。
ただの行方不明だとしたら数年だろう。18年なんて、ありえないだろ。長すぎる。



と・こ・ろ・が、20巻で判明したところによると、やっぱり彼はただの行方不明だったので、
「エーッ、そんな長く失踪してるヤツはもう帰ってくんな!」と逆ギレ。
だってだって、カンナちゃんがどんなに悲しんでいたことかー!!
というわけで、いまだに納得できずに

「長すぎる……」

とかブツブツ呟いていたのですが。



しかし、この「アジ玉。」によって、私は認識を改めました。
夫クリリンは、お金がなくて不法滞在者なのでバングラデシュへ帰ることができず、結婚して在留特別許可証を得て、やっと祖国へ帰るのです。
18年ぶりに。
じゅ、じゅうはちねん……?



ケンヂを許せるような気がしてきました。
バングラデシュ人のおおらかさに触れて、小さなことが気にならなくなる、そんな一冊です。



(期間限定「アジ玉」ブログはこちら 。裏話などが読めるそうです。)