「四日間の奇蹟」浅倉卓弥(宝島社文庫) | 水の中。

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脳に障害を持つ少女・千織を助けたために、指を失ったピアニストの青年は、ある山奥の診療所で、ひとつの奇蹟に出会う――。


著者: 浅倉 卓弥
タイトル: 四日間の奇蹟



正直に言いましょう。がっかりしました。

奇蹟ってコレ?こういうこと?
ピアニスト敬輔と千織の関係も、真理子さんの辛い過去も、全てがこんな陳腐な奇蹟を起こす為につくられたもののようで、それはあんまりじゃないかと。

特に、診療所の職員である、真理子さん。この人、こんなツライ過去があって、こんなに頑張ってるとゆーのに、わけわかんない事故に巻き込まれた挙句、ヘンテコなミラクルによって現世に引き止められ……これはもう、奇蹟じゃなくて悲劇だろ……

この静かな診療所の人々との交流によって、千織と敬輔の葛藤に救いがもたらされる、という奇蹟じゃダメなのか。
脳内でヘンテコミラクルを排除した「四日間の奇蹟」を想像してみましたが、そっちのほうが名作になりそうな気がする……。

真理子さんも、ちょっとしゃべりすぎです。この作品の半分は、この人の長セリフで出来ているのでは?
話の落としどころが見えてくる終盤あたりは、「もう読むの面倒くさい……」とさえ思いました。

そもそもの発想からして疑問符だらけの本作なので、不満しか出てこないのですが、この作者が小説が下手かというと、実はそうではない。
むしろ上手い。こんな陳腐な内容にもかかわらず、かなり読ませます。

そういうわけで、こんなハンパなトンデモ話ではなく、いっそ気持ちよく現実を離れたタイムトラベル物らしい「君の名残を」を読んでみたいなと思いました。

(評価★)