「死者の書」 ジョナサン・キャロル(浅羽莢子訳・創元推理文庫) | 水の中。

水の中。

海外小説のレビューと、創作を。


作家マーシャル・フランスが愛した町・ミズーリ州ゲイレン。
大ファンであるフランスの伝記を書く許可を得て、主人公トーマスはこの町へ滞在するが、ここの住人はどこか奇妙。
彼らが伝記の完成を急がせる、その理由とは――
キャロルのデビュー作にあたる、ダーク・ファンタジー。


というわけで、ジョナサン・キャロルです。
これがキャロルの世界の始まりにあたる作品ですが、「月の骨」のように他作品とリンクする部分はなく、どちらかと言えばホラー色の強い一作。

主人公トーマスは映画スターを父に持つ、抑圧された人格の持ち主で、趣味は仮面収集。
気難しい彼が好きなものがもうひとつあって、それがマーシャル・フランスという作家の作品なのです。
同じ本を奪い合ったことから出会ったガールフレンドの提案で、トーマスは夢にまで見たゲイレンを訪れるのですが、そこには恐怖が待っていた、というわけです。

この恐怖がどういう恐怖であるかは読んでいただくとして、ラストが素晴しい。
残酷などんでん返しと、その後の予想もつかない結末。
変な話ですが、私はちょっとスカッとしました。

良さを語ろうとすると、だいたいネタバレになってしまうという、非常に紹介の難しい作品。
なので、ちょっと卑怯な手段で宣伝を。
世界一のお話おじさんである、スティーヴン・キング様(サマって……)が、なんとコレを読んでキャロルにファンレターを出してしまった、という逸話でいかがでしょうか。

ちょっと読みたくなりませんか?


(評価★★★★)