- 犯罪を犯しながらも、責任能力のない囚人を収容する施設「スタークウェザー州立病院」。
この病院に勤める臨床心理医が、無残に殺された。
囚人たちは外部へ出ることは不可能で、犯人の可能性はゼロだという。
臨床心理医アレックスは警察のコンサルタントとして、手がかりを求め、スタークウェザーを訪れるが……
邦訳されているアレックスのシリーズとしては、本作は12作目にあたります。
一作目の「大きな枝が折れる時」は、なんと1985年の作品なのですね!うわー、ご長寿シリーズ……。
子供と虐待をテーマにサイコ・サスペンスとして始まり、一作ごとに趣向を変えながら続いてきた人気シリーズですが、今回のこれは……。
すみません、アレックスが大好きな私のひいき目で見ても、「そんなんでいいのか?」という出来です。
今回は「プリズン・サスペンス」と銘打たれていますが、収容所は出てくるものの、そこが舞台というわけではありませんので、この帯の謳い文句は言い過ぎですね。
それはともかく、かなりの長編でありながら、アレックスと、親友である刑事マイロがですね、
「~だな」
「~に違いない!」
と推理しながらふたりで語り合い、それによって物語が進み、それだけで終わってしまうという……。
被害者も加害者も、物語には関わってくることなく、よって緊張感ゼロ。
「まさかこのまま終わってしまうんじゃ……」
と不安になりながら読んでいたら、
いつのまにかエンドマークがついていました(ホントに終わっちゃったよ!)。
喜びも悲しみも、緊張感もゼロのまま。
そして、おなじみのキャラクターのドラマも無いまま……。
これが60枚程度の短編であれば、それもひとつのスタイルかもしれませんが、こんな長編で、そんなバカな……。
設定も面白そうなのに、何故こんなことに。
(ここでひとり反省会)
せめて……せめて、一家殺しの凶悪犯罪者として収容されている「モンスター」ピーク、彼が本当に殺人者であるのかどうか、これを最後まで引っ張るべきだったのではないかと。
この件に早々に結論が出てしまっているために、どこにもドラマが生まれなかった……。
(反省会おわり)
しかし、このシリーズが駄目シリーズなわけではないのです!
扶桑社ミステリーと新潮文庫で出ている既刊はオススメなのです!
講談社さんで新装版として、既刊を全部出してくれないでしょうか。私も捨てちゃって(オイ)、もう一回読みたいものもあるので。
というわけで、既刊のほうをオススメ。本作はパス。
(評価★)
